今、ヴィンテージが新鮮だ。過去の空気感を醸し出す古着は、僕らにとって〝選ばれた自由〟であり、サステナブルな価値観や自己表現の手段として、存在感を放っている。そしてこの夏に合わせたいのは、最先端の「夏時計」。軽やかで機能的でありながら、どこかノスタルジーを漂わせるコーディネートが、手元に深みと抑揚をもたらす。時代を超えて共鳴する〝今と昔〟。そのミックス感覚がお洒落なのだ。スタイルを、時間を、自分らしくまとう。6つのカテゴリーに分けて最高の組み合わせを提案する。
菊池陽之介:スタイリング
松本和也(W):ヘア&メイク
平井智正(BE NATURAL):モデル
安部 毅:編集・文
※価格はすべて消費税を含んだ税込み価格です。
GMT機構が、旅先の冒険に時差なく応えてくれる

突き抜けるようなターコイズブルーと重ねたベストが生む立体感。2000年代のコロンビアのシャツが呼び起こすのは、旅の始まりの予感だ。手元に添えたのは、ハミルトン「カーキ ネイビー スキューバ GMT」。ふたつの時間を読み取れるGMT機構が、異国の海と今の時を、静かに重ね合わせる。セラミックベゼルや300m防水の本格仕様を感じさせない、軽やかで確かな存在感。冒険の気配を、音もなくそっと身に着ける。それは、旅慣れた者だけが知るスタイルだ。
進化系ダイバーズ × アウトドアスタイル

ブロンズケースに300m防水、GMT機構を搭載した本格派でヴィンテージ風の無骨なルックスが魅力。赤いGMT針とセラミックベゼルが視認性と軽快さを引き立て、旅先での時刻管理にも活躍する。軽量で肌なじみも良く、夏場も快適に使える。自動巻き(Cal.H-14)。2万1600振動/時。パワーリザーブ約80時間。SS×ブロンズケース(直径43mm、厚さ13.9mm)。300m防水。24万7500円。(問)ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン Tel.03-6254-7371
ダイバーズウォッチは、もはや潜水用ツールの枠を超えた存在だ。都市とアウトドアを自在に行き来する現代では、堅牢性と冒険心を兼ね備えた「進化系ダイバーズ」が注目を集める。
ハミルトン「カーキ ネイビー スキューバ GMT」は、その象徴的モデル。ブロンズケースとNATOストラップのミリタリーテイストに、セラミックベゼルとGMT機構を融合させた本作は、旅慣れた男の手元にこそ似合う。多忙な日常から、ふいに始まる夏の冒険まで。異国の時間を読み、潮流を読み、心を動かす。

ヨットのソロ外洋レース「ヴァンデ・グローブ」から着想を得た意欲作。ケース素材には海洋回収漁網やカーボンを用いており、サステナブルな視点と先端技術が融合。紺×赤のグラフィックが映え、力強い印象を与える。自動巻き(Cal.UN-118)。50石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。鋼×PA6プラスティックケース(直径44mm、厚さ14.81mm)。300m防水。世界300本限定。225万5000円。(問)ソーウインド ジャパン Tel.03-5211-1791

中央には、レーザー加工による精緻な描写が印象的な地球モチーフが広がる。その周りを囲むワールドタイマー機構は、世界24都市の時刻をひと目で正確に読み取れる仕様だ。ホームタイムの昼夜を示す24時間表示リングと、タイムゾーン変更に即応する時針単独操作も備える。手巻き(Cal.8938)。38石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。セラミックケース(直径45.5mm、厚さ18.99mm)。600m防水。228万8000円。(問)オメガ Tel.0570-0000871
この1本があれば、世界がぐっと身近に感じられる。
そんな時計の魅力を引き立てるのが、アウトドアの機能美をまとったヴィンテージアイテムだ。まず紹介したいのは、1961年創業の老舗カベラスによるリアルツリー柄ナイロンショーツ(写真1)。ハンティング由来のリアルな迷彩パターンと軽量素材が融合し、街でも野でも視線を引き寄せる。
次は、2000年代のコロンビアのシャツ(写真2)。南国の熱気をいなす通気設計と、くたびれたコットン地の風合いが、まさに〝使える古着〟の美学を体現する。最後に、1990年代のパタゴニアA/Cシャツ(写真3)。吸湿性に優れた薄手素材とルーズなシルエットが、夏の風を柔らかくはらむ。
実用性を追求し、現代の暮らしに寄り添う進化系ダイバーズと、時を経たアウトドア古着の共鳴。そこに描かれるのは、〝旅する装い〟の新たな可能性だ。