来年まで待っても手に入れたい、ラグジュアリースポーツの新作5選

　時計のなかでも特別な人気のあるのが「ラグジュアリースポーツウォッチ」と呼ばれるジャンル。ファッション系の雑誌でも人気が高く、よく誌面に登場しているのをご覧になったことがあるだろう。しかしそういう雑誌ではしばしば「高価なスポーツモデル＝ラグジュアリースポーツ」としているのを見るが、それはちょっと違うように思う。とはいえ、正確な定義があるわけでもないのだが。
ラグジュアリースポーツは1972年のオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」に始まる。それまで高級時計はゴールドやプラチナのケースが常識であったのを、より軽く傷のつき難いステンレススティールで高級時計をつくりあげたことから、ラグジュアリースポーツという名称が生まれたのだ。
そしてもうひとつ「ロイヤル オーク」の大きな特徴がケースとブレスレットを一体化させてデザインしたこと。
それが人気となり、ボーム＆メルシエ「リビエラ」、ジラール・ペルゴ「ロレアート」、パテック フィリップ「ノーチラス」、ヴァシュロン・コンスタンタン「222」などのフォロワーが続々と登場し、今日のラグジュアリースポーツの世界的人気へとつながっている。だから「SSケース＆ブレスレットの高級時計＝ラグジュアリースポーツ」とするのが正解のように思う。今日ではチタニウムやセラミックといった新しい実用的素材も含めてよいだろう。

　さて。そんなラグジュアリースポーツの新作がジュネーブやバーゼルの後にも次々と登場している。そこでそのなかから5本をご紹介したい。ただし、なかには発表から間もないため年内に入手できるかわからないものもある。だが、どれも来年まで待っても手に入れる価値のあるものばかり。従って、今回も順位なしだ。

A.ランゲ＆ゾーネ「オデュッセウス」

この10月に発表されたばかりの最新作で、A.ランゲ＆ゾーネのレギュラーモデルで初のSSケース＆ブレスレットが大きな特徴。3時位置にアウトサイズデイト、9時位置に曜日表示を備え、リュウズ上下のプッシュボタンでそれぞれを進めることが可能。リュウズにより日付と曜日を逆戻しできるのも優れた特徴。発売予定は11月以降で、来年3月まではブティック販売のみとのこと。とにかく待ち遠しい！

ショパール「アルパイン イーグル ラージ」

共同社長のカール-フリードリッヒ・ショイフレが1980年に生み出した最初の時計「サンモリッツ」はメゾン初のSSケース＆ブレスレットのラグジュアリースポーツであった。それを40年後に息子のカール-フリッツが発見し、祖父である会長のカールの力を借りて現代に蘇らせたモデル。そんなファミリーの物語も美しく味わい深い、まさにラグジュアリーな作。スモールサイズの36mmもラインナップする。

ベル&ロス「BR05」

今年3月のBASELWORLDで一部のメディアに紹介されたものの、正式発表まで情報公開厳禁とされていた新しいコレクションが、先の9月に遂に世界デビュー。ケースとブレスレットを一体化させたデザインが特徴で、スクエア型のケースからテーパードしたブレスレットへと滑らかにつながるラインが美しい。ブレスレットのしなやかさも素晴らしく、手首へのフィット感が抜群だ。

パネライ「ルミノール マリーナ-44mm」

今年の4月に突然登場したS.I.H.H.未発表の新モデル。パネライのアイコン的仕様であるサンドイッチダイヤルではなくアップライトインデックスにされているのが目を引く特徴。ヘアライン仕上げのシルバーダイヤルというのもこれまでにない新しさだ。また、すべてをシルバーに統一しつつ、スモールセコンドの針のみブルーにしたカラーリングも洒脱。42mmもラインナップする。

ブレゲ「マリーン クロノグラフ 5527」

ブレゲのスポーツコレクションである「マリーン」のチタニウムケースモデルにブレスレット仕様が新登場。チタン製のブレスレットはコレクション初。ブレスレットを簡単に分解しメンテナンスできる新開発機構も注目点だ。実際に手に取ると驚くほど軽く、ブレスレットの装着感も素晴らしい。チタン独特のグレーがシックで、スレートグレーのダイヤルとの組み合わせもラグジュアリー感抜群だ。