2025年に創業75周年を迎えたオリエント。この年に新たに「オリエント ストレット」コレクションが発表され、続く2026年、バリエーションモデルが追加された。そのうち、独創性あふれる腕時計を製造してきたオリエントだからこその手腕が光る「オリエント ストレット サンアンドムーン」について、本記事で紹介する。

Photographs & Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2026年3月17日公開記事]
2025年に初代モデルを見た時の驚きがよみがえる
1950年に前身となる多摩計器として創業したオリエントは、2025年に75周年を迎えた。そんなオリエントの現在の特徴を挙げるとするのなら、国産の機械式時計ブランドであるということ、そしてユニークなデザインをあまた有するということである。とりわけ後者は根強いファンの獲得に寄与しており、現行品でも復刻モデルとしてラインナップされている「ワールドダイバー」や「SK」に代表される、独創的なフォルムやカラーの腕時計は、オリエントの大きな強みとなっている。
この強みが生きた新作モデルが、2026年新作「オリエント ストレット サンアンドムーン」だ。

自動巻き(Cal.F6B24)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径41.5mm、厚さ13.0mm)。5気圧防水。2026年春夏シーズン限定。6万2700円(税込み)。
昨年、75周年記念モデルのうちのひとつとして、同ブランドの「コンテンポラリー」に追加された「オリエント ストレット」。ストレットとはイタリア語で「クライマックスを演出するためにテンポを加速させる」という意味の音楽用語で、「高揚感のある都会での豊かなライフスタイルを思わせる」と、本コレクションのプレスリリースに記されていた。75周年記念モデルは3種がリリースされ、いずれもオリエントの定番と言える「セミスケルトン」をベースに、オーソドックスなケースとブレスレットを備えながらも、グレーのニュアンスカラーにオレンジを差し色にした、しゃれっ気のある文字盤が組み合わされていた。この文字盤が、確かに洗練された都会的なエレガンスを有しており、文字盤の発色の良さと、その発色や質感からは想像しなかった手の届きやすい価格とが相まって、初めて実機を見た際には、とても驚かされた記憶がある。

この驚きを再び体験することになったのが、本記事で取り上げる新作オリエント ストレット サンアンドムーンを見た時であった。
ビビッドな複数カラーをまとめ上げた手腕
今年発表されたオリエント ストレットは、このカラフルなサンアンドムーンを除き、5種類だ。ポップ&メタリックをテーマに、鮮やかなグリーン、ブルー、ピンク、オレンジ文字盤をまとったレギュラーモデル、そしてブルーグラデーションにストライプが与えられた文字盤を持つ限定モデルがラインナップの顔触れだ。
自動巻き(Cal.F6722)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ11.2mm)。5気圧防水。2026年春夏シーズン限定。4万8400円(税込み)。
自動巻き(Cal.F6722)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ11.2mm)。5気圧防水。2026年春夏シーズン限定。4万8400円(税込み)。
自動巻き(Cal.F6722)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ11.2mm)。5気圧防水。2026年春夏シーズン限定。4万8400円(税込み)。
自動巻き(Cal.F6722)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ11.2mm)。5気圧防水。2026年春夏シーズン限定。4万8400円(税込み)。

自動巻き(Cal.F6722)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ11.2mm)。5気圧防水。世界限定2300本(うち国内300本)。5万600円(税込み)。
そしてオリエント ストレット サンアンドムーンは、これらの文字盤の4色すべてが盛り込まれた文字盤というキャラクターとなるのだ。
複数の色を組み合わせるというのは難しい。統一感だったり、はたまたメリハリだったりを考えなくてはならず、ともすればうるさいだけの組み合わせとなってしまうことも珍しくない(少なくとも筆者は)。しかも、今回採用された4色というのは、いずれもビビッドな色調で、単体だけでもコーディネートの難易度が高いように思える。しかし本作にうるささは感じられず、むしろ“ひとつのデザイン”として、しっかりとまとめ上げられている。この点に、長きにわたって「ユニークであること」によって、他社と差別化を図ってきたオリエントの強みを感じられる。ユニークな色を使い慣れているからこそ、難しい組み合わせであっても、しっかりとコントロールすることができるのではないか? ネイビーブルーをバックに、大きすぎず小さすぎないスペースで各配色を与えることで、それぞれが喧嘩せずに、しかし主張したデザインに仕上がっていると言える。

手の届きやすい機械式腕時計というポジション
本作に限らず、オリエントの美点として強く推したいのは、手の届きやすい価格設定を貫いているということだ。本作は機械式ムーブメントを搭載した腕時計で、時分秒針の3針表示のほか、デイト窓、曜日表示、サン&ムーン(昼夜)表示を兼ね備えるという多機能さを持ちながら、6万2700円(税込み)という良心的な価格で販売されている。

近年、為替や世界的なインフレの影響から、時計業界でも物価高が深刻になりつつある中、アンダー10万円で購入できる機械式腕時計が、徐々に少なくなっている。もちろんまったくないわけではないが、多機能モデルで、しかも優れた発色や、立体感をもたらすインダイアルの斜面のなだらかさ、そしてバリのない放射状の装飾などを含め、これほど高い作り込みの文字盤を持つ腕時計というのは、決して多くはないだろう。
もちろん価格相応の部分はある。例えばオリエントには上位ブランドとしてオリエントスターが存在しており、こちらのブランドの方に採用されている、シリコン製ガンギ車を備えたCal.F8ムーブメントに比べれば、性能面は後塵を拝するかもしれない。

しかし本作、そしてオリエントは、そもそもそういったハイエンドブランドの高性能モデルと戦っていないだろう。日差+25~-15秒、パワーリザーブ約40時間というベーシックな性能の中で、ユーザーの満足度を高めるデザインやディテールに凝り、結果として冒頭でも記した“根強いファン”を獲得しているのだ。
独創的な腕時計を手掛けてきたオリエントの強みが存分に伝わる新作モデルであった。
財布片手にオリエント取扱店に走れ!
オリエントが2026年に発表した、新作「オリエント ストレット サンアンドムーン」を紹介した。
いくつかの美点を挙げる中、やはり「買える腕時計」であるということは、時計ジャーナリストの端くれであると同時に、時計好きでもある筆者にとってはうれしいポイントだ。しかも、安かろう悪かろうではない。価格以上の満足感をユーザーに与えてくれる。気になる読者は、ぜひ一度実機を見に、お店に立ち寄ってみてほしい。もちろん今年発表されたモデルは本作のみにとどまらないので、気になる1本を見て、手首に載せてみてほしい。オリエントの強みを、手元からじっくりと感じられるはずだ。



