オヤジにも、ナウなヤングにも。タイメックスのレトロな新作は幅広いユーザーが気軽に使えるデイリーウォッチ【着用レビュー】

2026.06.09

2024年12月、タイメックスから登場した「リイシュー 1983」。2025年には「E-Line Automatic」として、バリエーションが追加された。“TVダイアル”をはじめ、1983年発表のモデルに採用されていた意匠をよみがえらせたレトロなテイスト、使い勝手の良いスペック、そして手頃な価格設定を備えた本作は、世代を超えて使われるデイリーウォッチとして、好適な1本である。

タイメックス E-line

【朗報】タイメックスさん、〝オヤジ時計〟が上手すぎる。「リイシュー 1983 オートマティック」を実機レビュー!

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鶴岡智恵子(クロノス日本版):写真・文
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2026年6月9日公開記事]


タイメックス「リイシュー 1983 オートマティック」にバリエーションが登場

 2024年12月、タイメックスから「リイシュー 1983 オートマティック」という腕時計がリリースされた。モデル名からも推察できるように、1983年に同社が製造していた腕時計に範を取ったモデルで、オリジナルにあったスクエア型がアイコニックな“TVダイアル”をはじめ、1980年代に流行したユニークさとドレッシーさを併せ持つ意匠を特徴とした。この1980年代の空気感を感じさせるレトロなモデルはすぐに完売。その後再販された経緯から、多数のバリエーションを展開するタイメックスの中でも人気の高いコレクションであることがうかがえる(ちなみに弊社の広告営業の大島も購入)。

 そんなリイシュー 1983 オートマティックのスタイルを踏襲した新バリエーションが「E-Line Automatic」として2026年3月にリリースされた。モダンな淡いピンクやブルー文字盤のモデルが追加された中で、リイシュー 1983 オートマティック同様に“オヤジ”臭を放っていたイエローゴールドカラー×グリーン文字盤の1本を本記事ではインプレッションのうえ、紹介する。

タイメックス E-line

タイメックス「E-Line Automatic」Ref.tx-tw2y67700
自動巻き。SSケース(直径34mm、厚さ14mm)。50m防水。4万2900円(税込み)。


懐かしくも新しいデザイン

 前述の通り、リイシュー 1983 オートマティックは1983年製のモデルに範を取った意匠を最大の特徴とする。1970〜1980年代に見られた流線型のケースフォルム、スクエア型の“TVダイアル”、そこに組み合わされた細身の針とインデックス、そして今ではなかなか見かけなくなった蛇腹式ブレスレット……。往年の時計好きにとっては懐かしの、半面、タイメックスを日本で取り扱う株式会社ウエニ貿易のマーケティング担当者N氏によると「(この時代の時計を知らない)若い世代にとっては新しさを感じる」というデザインは、ヒットに大きく寄与したのだろう。

 そんなリイシュー 1983 オートマティックに加わったイエローゴールドカラーをまとったE-Line Automaticは、レトロさに磨きのかかった“金時計”。針、インデックスもイエローゴールドカラーとなっており、組み合わされた深みのあるグリーン文字盤と相まって、手元でたっぷりの存在感を放ってくれる。

タイメックス E-line

文字盤はサンレイに仕上げられているため、光が当たる角度によって表情を変える。針、インデックスは細身であるものの、グリーン×イエローゴールドカラーの組み合わせであるため、埋没せず、強い光源下でも判読性は高かった。

 自分自身、ヴィンテージやネオ・ヴィンテージなどと称される時代の腕時計を愛しつつ、実際に1980年代の雰囲気を知っているわけではない。そのため本作の意匠は、N氏が言うところの「新しさを感じる」ものがあった。ディテールひとつひとつには、現代であっても真新しさはない。角型ダイアル、ボックス型アクリル風防、細身の針にインデックス、イエローゴールドというカラーリングは、現行モデルにも存在する。一方、これらのディテールがレトロにまとめられたパッケージは、決して多くない。まるで、祖父の家の物置を整理していたら見つけたような「見覚えはない」、しかし「昔年の思い出が詰まっていそうな腕時計」が手元に届いた思いである。

タイメックス E-line

このインプレッションの原稿を書いている最中、PCの画面いっぱいにこの画像を表示させていたところ、新入社員のHから「なんですか、この時計!?」と声を掛けられた。やっぱり異彩を放っているよね。

 ケースの直径は小ぶりで、34mm。サイズ感は往年のドレスウォッチを彷彿とさせるものである一方、近年の腕時計は再び小径ケースに回帰する傾向があり、この点でも“新しさ”を感じさせる。

 もっとも、最大の懐かしさにして新しさは、蛇腹式ブレスレットだろう。サテンとポリッシュに仕上げ分けされた台形型のコマは、固定された部分を除いてエクステンション式となっており、伸び縮みする。そのため一般的な腕時計のブレスレットに取り付けられるバックルは持たず、伸縮させて手首から脱着させるのだ。一部のアクセサリーで採用されているが、現代の腕時計ではほとんど見ない仕様である。

タイメックス E-line

バックルは持たないが手首内側に当たる部分のコマは固定式となっているため、やや厚みがある。そもそも厚みのあるケース・ブレスレットであり、薄型ドレスウォッチのようなスタイルではない。とはいえデスクワークの際に邪魔になるといったボリュームではない。着用していて疲れや違和感を覚えることはなかった。

 このように、ある世代にとっては懐かしさを、ある世代にとっては新しさを感じさせる本作は、結果として幅広いユーザーを魅了する懐の深さを持つに至っている(尖ったデザインであるがゆえに、好みは分かれるだろう)。また、この現代では異彩を放つ腕時計を着用する中で、世代間のコミュニケーションツールになるかもしれないと、ふと思った。オヤジが着用していれば、若い世代から「珍しい時計ですね」と、ナウなヤングが着用していれば、目上の世代から「懐かしい時計だね」と……。着用中に本作について何か聞かれた・言われたといったことはなかったものの、そんな楽しい空想が捗るレビュー期間であったことをついでに記しておく。


気軽に使えるディテールと価格

 目を引く復刻デザインを最大の特徴とする一方で、ディテールは日常使いがしやすい現代基準になっている。

 タイメックスも本作のアピールに「ヴィンテージだと少し心配の残る取り扱いや精度も、往年の見た目を維持しながらストレスフリーで楽しめる」とうたっているように、1970〜1980年代のデザインに魅了されても、この時代の腕時計は防水性に不安があったり、独特なブレスレットは調整の際にカットしなくてはならなかったりと、現行モデルと比べて手が掛かる。そんな手間も愛着につながるとはいえ、オールシーズンのデイリーユースウォッチとして使うのであれば、扱いやすいに越したことはない。そんな事情が手伝って、近年は現代技術におけるアーカイブの復刻が各ブランドで行われており、本作もそんな復刻モデルのひとつにあたる。そのため気軽に使えるディテールは、大きなアドバンテージだ。

 かつてワンサイズが一般的であった蛇腹式ブレスレットには、取り外しできるコマが装着された。しかもこれらのコマは工具不要で脱着ができる。構造はシンプルで、ブレスレットの裏側からコマの腹を押しながら引くことで取り外しが可能だ。ただし価格相応な作りであるため、あまり頻繁に脱着を行うと劣化してしまうことを懸念した。とはいえ一度手首にフィットさせれば、伸縮するということもあり、コマを再び外したり着けたりするタイミングは少ないだろう。

タイメックス E-line

外したコマの裏側。本作は約12.1~22.0cmの手首回りに対応するという。なお、ブレスレットの全長は約17.5cmだが、伸縮によってこの最大幅まで延長が可能となっている。

タイメックス E-line

蛇腹式はユニークでる一方で、夏場は汚れがコマとコマの隙間に入り込んでしまうのがどうしても気になる。使い終わった後はクロスで拭くといったお手入れを欠かさず行いたい。

 直径34mmのケースは小ぶりで全長も短い。自動巻きであるがゆえにスクリューバックはやや膨らみを持ち、ケース全体でも14mmの厚みがあるため着用しにくいかと思いきや、手首幅からはみ出さないこと、そして蛇腹式ブレスレットが手首にフィットさせやすいことから、着け心地は良かった。ただしブレスレットの処理は価格相応であるため、少しエッジの肌あたりが気になった。もっともこの肌あたりは許容範囲で、かつブレスレットを手首よりも少し余裕を持たせることで解決した。

 この着用感の良好さは、見た目に反して重すぎないということが大きい。本作は自身の手首回りに合わせてコマを7個外した状態で約71.5gとなり、軽快だ。

 防水性は5気圧。日常生活には十分であろう。ただし蛇腹式ブレスレットのコマとコマの間に汚れが溜まりやすいので、夏場は特にこまめにクロスで拭ってあげたい。

 リュウズの操作性が良いことも、特筆すべき点だ。小ぶりでドレッシーな腕時計はリュウズが薄く、引き出しや回転がしにくいことがある。しかし本作のリュウズはある程度の大きさがあり、主ゼンマイの巻き上げや時刻調整がしやすかった。

タイメックス E-line

本作はMIYOTAのムーブメントが搭載されている。パワーリザーブや精度は公開されておらず、今回実測はしなかったが、毎日着用する中でズレや止まりが気になることはなく、4万2900円(税込み)という価格を考えれば良心的な性能と言える。

 このように本作は現代基準の仕様は取り扱いが容易で、価格相応な部分はあるものの、4万2900円(税込み)という手頃さが相まって、気軽に使えるデイリーウォッチに仕上がっていると言える。


バリエーションの多彩さも手伝って、世代を超えてお勧め!

 2026年4月にタイメックスからリリースされた、「E-Line Automatic」を着用レビューした。

 1983年に製造されたモデルにルーツを持つ本作は、ある世代には懐かしく、ある世代には新しい意匠を特徴としており、結果として世代を超えて、幅広い層に受け入れられる腕時計に仕上がっていると強く感じた。

 4万2900円(税込み)と、機械式時計としては気軽に手を出しやすい価格ということもあり、気になる読者は一度その手首に載せてみることをお勧めする。



Contact info:ウエニ貿易 Tel.03-5815-3277


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