ザ・シチズンの新作「高精度年差±5秒 エコ・ドライブ 藍染和紙文字板限定モデル」を深掘りする。本作は、筒巻き絞り染めの技法を用いることで霞を表現した、土佐和紙ダイアルが特徴のモデルだ。世界限定200本が用意され、同じ模様のダイアルはひとつとして存在しない。
Text by Tsubasa Nojima
[2026年7月28日公開記事]
“人生に永く寄り添う腕時計”、ザ・シチズン

Photograph by Masahiro Okamura (CROSSOVER)
シチズンを代表する高級時計ブランド、ザ・シチズン。同ブランドの魅力は、「精度」「品質」「デザイン」「ホスピタリティー」への挑戦を絶やさない、オーナーの人生に永く寄り添う腕時計というブランド哲学に表れている。
多くのモデルに搭載されるCal.A060は、定期的な電池交換が不要な光発電エコ・ドライブでありながら、年差±5秒という高精度を実現。それだけにとどまらず、2100年2月28日までカレンダー修正を必要としないパーペチュアルカレンダーや、衝撃による針ズレを検知する衝撃検知機能、万が一ズレが生じた際に自動で補正する針自動補正機能、0時ジャストカレンダー更新機能など、日々の使用を支える数々の機能を備えている。日常使いにふさわしい高級時計として、特別な手間がかからないのはうれしいポイントである。
さらに、購入者のみが入会できるシチズン オーナーズクラブに登録することで、最長10年の無償保証と無償点検が提供される。ほぼメンテナンスフリーとはいえ、腕時計は精密機器だ。知らず知らずのうちに蓄積されるダメージや故障への手厚いサポートは心強い。
今回は、そんなザ・シチズンの2026年新作である「高精度年差±5秒 エコ・ドライブ 藍染和紙文字板限定モデル」の魅力についてお届けしたい。ザ・シチズンが得意とする和紙ダイアルは、光発電エコ・ドライブとの相性が良く、多彩な表現が可能な素材だ。和紙を用いて“霞(かすみ)”を表現した今回の新作。そこには、どのような思いが託されているのだろうか。

ザ・シチズンの新作として発表された特定店限定モデル。筒巻き絞り染めという技法を用いた和紙ダイアルを採用している。光発電クォーツ(Cal.A060)。フル充電時約1.5年駆動(パワーセーブ時)。スーパーチタニウム™ケース(直径40.0mm、厚さ12.2mm)。10気圧防水。世界限定200本。44万円(税込み)。2026年8月6日(木)発売予定。
ダイアルに描かれた霞模様
本作の最大の特徴は、白と青が入り混じったユニークなパターンが浮かんだダイアルだ。そのベースは、ザ・シチズンではおなじみの土佐和紙。古くから障子などに用いられてきた和紙は、薄くても高い強度を備え、光を透過するという特性を持つ。そのため、光を動力へと変換するエコ・ドライブのダイアルにとっても理想的な素材なのだ。光発電クォーツの腕時計では、ダイアルに高級感を持たせることが難しいとされていたが、ザ・シチズンでは和紙を用いることでこの課題を克服している。
本作では、その土佐和紙を日本古来の天然藍で染め上げている。使用されるのは、蓼藍の葉を乾燥・発酵させて作る蒅(すくも)を用い、木灰汁(もくあく)などを加えて染液を発酵させる「天然灰汁発酵建て」と呼ばれる伝統技法だ。化学染料では表現できない柔らかな色彩と奥行き感を生み出すこの技法によって、光の加減や光源の違いによるさまざまな表情の変化を楽しむことができる。
複雑な模様を作り出しているのが、筒巻き絞り染めの技法である。主に布の染色で用いられてきた技法だが、ザ・シチズンでは今回、和紙への応用に挑戦している。筒巻き絞り染めでは、まず筒に和紙を巻き付け、細かな皺を寄せながら一定方向へと手繰り寄せる。そして、絞りと染色の工程を何度も重ねることで、繊細な絞り模様を生み出す。こうして現れる陰影や奥行き感が、本作のモチーフである霞を作り出すのだ。
手作業で染め上げるという工程上、絞り模様や色合いには必ず個体差が生まれ、ひとつとして同じものが存在しないことも魅力である。世界限定200本という時点で稀少だが、さらに1本1本が唯一無二の存在なのだ。

工芸品で終わらせない、ザ・シチズンならではの実用性
日本の伝統工芸を用いたダイアルは、本作の大きな魅力である。しかし、ザ・シチズンらしい実用性の高さも忘れてはならない。ケースに採用されているのは、シチズン独自のスーパーチタニウム™。これは、軽量で錆びにくく、肌にも優しいチタンに対し、表面硬化技術であるデュラテクトを施すことで、ステンレススティールの約5倍という高い表面硬度を実現したものだ。さらに本作では、デュラテクトの一種であるデュラテクトプラチナが採用され、明るいシルバーカラーに仕上げられている。ザ・シチズンの掲げる“人生に永く寄り添う腕時計”として、これほどふさわしい素材はなかなかないだろう。
ケースバックには、ザ・シチズンのシンボルであるイーグルマークが刻まれている。これは、「常に先を見据え、理想を追求する」「身に着ける方に永く寄り添う」という、ブランドのふたつの意志を表す証しだ。
風防にはデュアル球面サファイアクリスタルを採用し、両面に薄膜の多層コーティングを施すことで反射を抑え、高い視認性を確保している。時刻が読み取りやすいことに加え、和紙ダイアルをストレスなく鑑賞することが可能だ。

ムーブメントは、年差±5秒を誇るCal.A060を搭載する。先述の通り、パーペチュアルカレンダーをはじめとする機能性が魅力である。
ストラップには、エレガントなワニ革を採用。環境への配慮や製造工程における安全性などの評価基準を満たす、LWG(レザーワーキンググループ)による認証を経たタンナーの革を採用している。ブレスレットモデルの多いザ・シチズンにおいて、ブラックのレザーストラップというシックな要素と、遊び心あふれるダイアルとの組み合わせに新鮮さを感じる。三つ折れ式のフォールディングバックが装着され、素早く安全に脱着ができることと、ストラップを痛めにくいことも魅力である。
個性と実用性を両立させた、ザ・シチズンの哲学を体現する1本
“人生に永く寄り添う腕時計”として現代の高級腕時計に求められるのは、日常使いにふさわしい機能性と、自己を表現できる個性、そして充実したブランドのサポートだろう。
精度が悪かったり、防水性や堅牢性が極端に低かったりする腕時計は、たまに使う分には支障ないが、毎日使うとなるとオーナーにストレスを与えかねない。また、スマートフォンをはじめ、時計以外のデバイスで時刻を容易に確認できる環境においては、腕時計は単なる道具ではなく、自己表現のアイテムという側面も持つ。自らの好みを反映させたデザインであるほど、永く愛着を持ちやすいだろう。
そして忘れてはならないのが、ブランドのサポートだ。高級腕時計は、不具合が生じたからといって簡単に買い替えるものではなく、修理をしながら共に人生を歩んでいくものだ。しかしそのためには、ブランドに十分なサポート体制が整っていることが前提となる。
デュラテクトプラチナを施したスーパーチタニウム™製のケースや、高精度な光発電エコ・ドライブムーブメントによる高い実用性を備え、唯一無二の模様を浮かべた筒巻き絞り染めのダイアルに個性を忍ばせ、さらに最長10年の無償保証と無償点検をはじめとするサポート体制を備えた本作は、まさにブランドの掲げる“人生に永く寄り添う腕時計”という哲学を体現する1本なのである。




