イタリア発のマイクロブランド、エコ/ネイトラが手掛ける「リヴァネラ ブラック」は、古典的なドレスウォッチとはひと味違う1本だ。直線を強調したアールデコ調のケースにはグレード5チタンを採用し、時計全体の重量はわずか21g。さらに手巻きムーブメントETA Cal.7001を搭載することで、サファイアクリスタルを含めても厚さ5.9mmという極薄のプロポーションを実現した。イタリアンデザインとスイス時計製造を融合した個性的なドレスウォッチを、『ウォッチタイム』ドイツ版のヨハネス・ベアが紹介しよう。

手巻き(ETA Cal.7001)。17石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。Tiチタンケース(縦40×横27mm、厚さ5.9mm)。3気圧防水。1450スイスフラン。
[2026年9月3日掲載記事]
エコ/ネイトラが掲げる「エモーショナル・デュラビリティ」
エコ/ネイトラは、ニコラ・カレガロとクリスティアーノ・クアリアによって設立されたイタリアの時計ブランドだ。建築やドロミテ山塊、イタリアのデザイン文化から着想を得ながら、流行だけを追うのではなく、長く使い続けられるデザインを目指している。
ブランドが掲げる考え方が「エモーショナル・デュラビリティ(感情的な耐久性)」である。時計が長く正常に動くだけでなく、使い続けることで所有者との間に愛着が生まれることを重視する。そのため、素材や加工、プロポーションにも注意を払い、イタリアのデザインとスイスの時計製造技術を組み合わせている。

伝統的なドレスウォッチと距離を置く「リヴァネラ ブラック」
「リヴァネラ ブラック」が特徴的なのは、一般的なドレスウォッチの定石から意識的に距離を置いていることだ。ポリッシュ仕上げのステンレススティールや柔らかな曲線ではなく、角張ったグレード5チタン製ケースとブラックを基調としたカラーリングを採用する。コレクションの開発には約2年を要したと言う。
アールデコの影響を感じさせる角張った造形
ケースはラグ・トゥ・ラグ40mmで、風防を除いた厚さはわずか5.5mm。フラットなサファイアクリスタルを含めても5.9mmに収まる。シャープなエッジと広い平面を組み合わせた造形は建築物を思わせるもので、一部に施されたポリッシュ仕上げがアクセントとなっている。
ブラックダイアルにはアプライドインデックスを配し、光の当たり方によって立体感を演出する。アールデコの意匠をそのまま再現するのではなく、その幾何学的な明快さを現代的なデザインへと置き換えたものだ。

わずか21gの軽さをもたらすグレード5チタン
サンドブラスト仕上げのケースにはグレード5チタンを採用する。チタン90%、アルミニウム6%、バナジウム4%からなる合金で、高い強度を備える素材だ。ケースの薄さとチタンの軽さによって、時計全体の重量はわずか21gに抑えられている。
テクニカルな姿勢を持つドレスウォッチ
リヴァネラはエレガントウォッチとして設計されているものの、貴金属製ケースに代表される古典的なドレスウォッチとは表情が大きく異なる。サンドブラスト仕上げのチタンケースには計器のような機能的な雰囲気があり、力強いケースラインも一般的なラウンド型ドレスウォッチとの違いを際立たせている。
一方で、5.9mmというケースの薄さや要素を絞ったダイアル、ブラックを基調としたカラーリングによって、フォーマルな服装にも合わせやすい落ち着きは確保されている。スポーツウォッチとドレスウォッチの境界を独自の方法で再構築したモデルと言えるだろう。

薄型ケースを支える手巻きムーブメントETA Cal.7001
搭載されるのは、薄型手巻きムーブメントとして長い実績を持つETA Cal.7001のエラボレ仕様だ。ムーブメント自体の直径は23.3mm、厚さはわずか2.5mm。17石を備え、毎時2万1600振動で駆動する。パワーリザーブは約42時間である。
機械式時計でありながらケース全体を5.9mmに抑えられた背景には、この薄型ムーブメントの存在がある。自動巻き機構を持たない手巻きムーブメントだからこそ、リヴァネラの極薄のプロポーションが成立している。
ラバーとサフィアーノレザーの2本が付属
ストラップは2種類が付属する。ブラックラバーは時計のモダンでスポーティな側面を強調する一方、ブラックのサフィアーノレザーを組み合わせれば、よりクラシカルなドレスウォッチらしい印象となる。ひとつの時計で異なる表情を楽しめる点も、リヴァネラ ブラックの特徴だ。
イタリアンデザインとスイス製ムーブメントを融合
本作は、薄型ドレスウォッチという伝統的なジャンルに、チタンやサンドブラスト仕上げ、角張ったケース造形といった現代的な要素を持ち込んだモデルだ。わずか21gという軽さと5.9mmという薄さを実現しながら、強い個性を持ったデザインに仕上げている。
イタリアらしいデザインと、実績あるスイス製のETA Cal.7001を組み合わせることで、古典の再現とは異なる方向からドレスウォッチを再解釈したエコ/ネイトラ。独立系ブランドならではの個性がよく表れた1本である。



