ミン「37.06 ライトニング」登場! 手彫りギヨシェと熱処理チタンが生む唯一無二のダイアル

FEATURE WatchTime
2026.08.27

ミンが「37.06 ライトニング」を発表した。グレード2チタンのダイアルに手彫りギヨシェを施し、さらに熱処理によって鮮やかに発色。ひとつとして同じ表情を持たない、独創的なダイアルに注目したい。

Text by Zen Love, originally published by WatchTime.com
[2026年8月26日掲載記事]

予測不可能だったコラボレーションの結実

 優れたコラボレーションウォッチには、ある共通点があることが多い。それは、ブランドのアイデンティティ同士が、自明ではない形で融合していることだ。一見不可能に思えるようなものを生み出している点が、その最たる例だろう。

 ミンとJ.N.シャピロがチームを組み、ひとつの時計を作り上げた。そのアイデアだけでも十分にエキサイティングである。この組み合わせが何を生み出すかを予測するのは難しかったはずだ。結果として誕生した「37.06 ライトニング」のようなモデルを想像できた者は、おそらくいなかっただろう。

コラボレーションの主役はダイアル

 結論から言おう。ここでのコラボレーション要素は、主にダイアルに集約されている。腕時計のその他の部分は、基本的にミンの「37」シリーズの系譜に連なるものだ。同ブランドでお馴染みの直径38mmケース(厚さ10.9mm、100m防水)を採用し、内部には専用にカスタマイズされたセリタのCal.SW210.M1ベースの手巻きムーブメントを搭載している。針やミニマリストな蓄光インデックスといった要素も、ミンの美学を決定づける特徴そのものだ。

 しかし、特筆すべきはやはりダイアルだ。J.N.シャピロのチームがグレード2チタンにギヨシェ彫りを施し、さらにミンが熱処理を行うことで、この色鮮やかな効果を生み出しているのである。

ミン × J.N.シャピロ「37.06 ライトニング」
手巻き(Sellita Cal.SW210.M1ベース)。Tiケース(直径38mm、厚さ10.9mm)。100m防水。6250スイスフラン。


L.A.の手彫りギヨシェと、クアラルンプールの熱処理

 カリフォルニアを拠点とする独学の独立時計師、J.N.シャピロ。彼を知る者であれば、そのシグネチャーのひとつがギヨシェダイアルであることをご存じだろう。それは、伝統的な手動のローズエンジン旋盤で製作される緻密な装飾だ。時計に「ライトニング」という名を与えることになったこの特別なパターンをシャピロが使用するのは、今回が初となる。

 ギヨシェ彫りが施された各ダイアルは、その後ミンが拠点を置くクアラルンプールへと送られ、色付けされる。その作業は、ブランド創業者であるミン・テイン自身の手によって、ひとつひとつ個別に行われている。

過酷な熱処理プロセスと廃棄率

 ご存知ない方のために付け加えておくと、ミン・テインは実に多才な人物だ。ブランドのプレスリリースには、面白くも意味深な注釈が添えられている。

「熱処理をチームの共同作業にしようと少し試みた結果、他のミンのチームメンバーにブタントーチを監視なしで任せることはできないと結論づけられた」

 熱処理によるブルースティール針には馴染みがあるだろう。あのプロセスは、温度によってさまざまな色を生み出すことができる。そしてそれこそが、この37.06 ライトニングのダイアルに見られるものの正体だ。つまり、何らかのコーティングを施した結果ではないのだ。

一切のコーティングを行わず、チタンへの熱処理のみで発色させているため、ダイアルの色合いは1点ごとに異なる。

 ここからが少し狂気じみている。ブランドによると、なんとダイアルの3分の2が熱処理による色付けの段階で廃棄(リジェクト)されるというのだ。タイミングがわずかに狂うだけで、理想的でない色合いになってしまう。

「ギヨシェ彫りの工程によってチタンの結晶構造のばらつきが露呈し、最終的な仕上がりを損なうことがある」

 同ブランドはそう語る。言い換えれば、J.N.シャピロが手作業で仕上げたギヨシェダイアルのうち、3枚に2枚が使えなくなってしまうということだ。そのため、月に約10本しか生産できないという。

コレクターの心をくすぐる両者の立ち位置

 しかし、その結果として出来上がったものは、実に「雷に打たれたような(ストライキング=衝撃的)」なものである。お分かりだろうか? 名前のライトニングにかけているのだ。各ダイアルの正確な色合いは、それぞれが唯一無二となる。

 ミンとJ.N.シャピロは、どちらも並外れたダイアルを作ることで知られている。本作はそれらを非常にクールな方法で融合させた。ひとつの製品の中に両方のブランドの要素が同居しているという事実それ自体が、コレクターにとっては単純に興味深いことなのだ。

ラグはミンの腕時計らしい、先端に向かって広がる形状だ。


インディペンデント界のスター同士による共作

 ミン×J.N.シャピロによる37.06 ライトニングのようなモデルを注目すべき存在にしているもうひとつの要素は、両ブランドの立ち位置やステータスにある。どちらもインディペンデント界のスターでありながら、「知る人ぞ知る」という魅力的な奥ゆかしさを保つ、絶妙な境界線上にいるのだ。

 両ブランドの美学は、一見すると明確な親和性がないように思える。しかし、このパートナーシップがまったく予期せぬものだったわけではない。彼らは以前にもブレスレットやケースで協業している。さらにはインディペンデントブランドである「フレミング」と共に「オルタナティブ・オロロジカル・アライアンス」を共同設立している。とはいえ、両者がダブルネームで時計を製作するのは今回が初めてだ。

さらなるコラボレーションへの期待

 上記の複数の理由から、ライトニングは美しく、そして抗いがたい魅力を放っている。だが一方で、これは「J.N.シャピロのダイアルを載せたミンの時計」であるという印象を拭えないのも事実だ。もちろん、それ自体に何の問題もない。

 しかし、コラボレーション要素をさらに一歩推し進めていたらどうだろうか。両ブランドのDNAをより均等に融合させていれば、単独では作れず、かつ両ブランドらしさを明確に残した何かが生まれたのではないか? 当然ながらそれはより困難な作業となるが、我々が愛してやまない、真に画期的で記憶に残るコラボレーションとは往々にしてそういうものだ。

 そんなミンとJ.N.シャピロの腕時計は、果たしてどんな姿をしているのだろうか。ミニマリストでデザイン志向のJ.N.シャピロか? それとも、比較的クラシカルなミンか? それは誰にも分からない。だが、想像するだけで胸が高鳴るではないか。

 この37.06 ライトニングは、ミンのオンラインショップおよび実店舗にて、6250スイスフランで販売される。限定本数は設定されていないが、前述の通り、生産能力による制限が設けられている。



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