時計ライターが選ぶ、予算「10万円」で購入したい機械式腕時計

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2026.09.18

予算10万円という枠組みの中で魅力的な機械式腕時計を、時計ライター佐藤しんいちが5本選出して紹介する。昨今の加工技術の底上げによって、予算10万円で選べる腕時計の品質は高まっているほか、眼の肥えた時計ファンを狙ったかのようなコンセプトを持つモデルも存在する。そういった魅力的な5モデルを詳しく解説してゆこう。

ライターが選ぶ、予算「10万円」で購入したい機械式腕時計

佐藤しんいち:文
Text by Shin-ichi Sato
[2026年9月18日公開記事]


予算10万円でも魅力的なモデルは盛りだくさん!

 今回は、予算10万円という枠組みの中で魅力的な機械式腕時計を紹介しよう。筆者の相場観で恐縮であるが、近年の機械式時計市場では、信頼性の高いムーブメントが搭載され、文字盤や外装のクォリティが高まり、手にした時に満足感が得られるようになる価格レンジというのが、おおよそ5万円以上と考えている。加工技術の底上げによって、このレンジのモデルでは品質は高まっているほか、眼の肥えた時計ファンを狙ったかのようなコンセプトを持つモデルも存在する。筆者の好みから、選出した5本はクラシカルなテイストのモデルに寄ってしまったが、いずれも完成度が高く、要注目だ。

セイコー 5スポーツ「SNXS」Ref.SBSA255

 最初に取り上げるのは、長年にわたって手の届きやすい、カジュアルな機械式腕時計としてロングセラーを博してきた「セイコー 5スポーツ」から選出する。魅力的なモデルの多いコレクションであるが、今回は「セイコー 5スポーツ SNXS」Ref.SBSA255をピックアップした。

 現在のSNXSは、長年親しまれてきた同名のモデルのスタイリングを受け継ぎ、2024年にラインナップされた。コンセプトは、EDC(Everyday Carry)、すなわち「日々持ち歩く相棒」である。SNXSのアイコンは、中央がふっくらと膨らみ、ラグへと滑らかにつながるケースだ。当時の開発部門で「へびたま」と呼ばれていたこの形状と、その輪郭を邪魔しない4時位置のリュウズを継承している。ケースは直径37.4mmであり、手首に沿うようラグを下方へ向け、多くのユーザーにとってコンパクトで良好な着用感が期待できる仕立てとなっており、「日々持ち歩く相棒」というコンセプトが具現化されている。ブレスレットにも丸みを帯びたリンクを採用し、ケースから続く柔らかな輪郭を形作っている点が魅力となる。

 搭載されるのは、長年、セイコーのエントリーモデルを支えてきた4R系ムーブメントのCal.4R36である。3時位置にはデイデイトを備え、セイコー 5スポーツらしい文字盤デザインとなっている。

セイコー 5スポーツ

セイコー「セイコー 5スポーツ SNXS」Ref.SBSA255
自動巻き(Cal.4R36)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約41時間。SSケース(直径37.4mm、厚さ12.5mm)。10気圧防水。5万6100円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012

ハミルトン「カーキ フィールド メカ」Ref.H69439931

 続いても長年の定番である、ハミルトン「カーキ フィールド メカ」を取り上げる。1960年代後半のハミルトンは、アメリカ軍の陸上部隊向けのシンプルなフィールドウォッチと、デザインを共有しつつ秒針停止機能を持つパイロット向けモデルを納入していた歴史を持つ。それらのモデルの民生品として販売されたモデルを祖とするのが、紹介するカーキ フィールド メカであるのだ。

 さまざまなカラー、そしてパワーリザーブ付きといったさまざまな機能が並ぶコレクションの中で、紹介するRef.H69439931はミリタリーウォッチの系譜が強く感じられる最もスタンダードなモデルだ。ブラックの文字盤に、シリンジ型の時分針、アラビア数字インデックス、その内周に記載された13から24までの表記、最外周に配置された三角形のポイントは、当時の納入モデルとその民生モデルを彷彿とさせる。マットな質感の直径38mmケースには手巻きムーブメントのCal.H-50を搭載。パワーリザーブは約80時間で、金曜日の夜に本作を外して、月曜日の朝を迎えても、十分に稼働している計算となる。これは現代基準で十分な実用性と言えるだろう。さらに、自動巻きローターがないため薄い仕立てを実現できており、時計の仕上がり厚さは9.5mmと、オリジナルモデルのようなスリムなシルエットを維持している。

 現代のモデルとして珍しい仕立てとして注目すべきは、ケースのラグ部にバーが固定され、そこにストラップを通す仕様が採用されている点だ。これもオリジナルモデルを継承したのもので、付属するストラップのほか、サイズの合った引き通しタイプやNATOタイプと呼ばれるものであれば簡単に交換可能だ。

 そんな本作最大の特徴は、色あせない魅力であろう。多くの人がカーキ フィールド メカを手に取り、フィールドへと連れ出してきた。一度使えば、その人気の理由が分かるはずだ。

カーキ フィールド メカ

ハミルトン「カーキ フィールド メカ」Ref.H69439931
手巻き(Cal.H-50)。17石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径38mm、厚さ9.5mm)。5気圧防水。9万4600円(税込み)。(問)ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン Tel.03-6254-7371

オリエント「オリエント バンビーノ 36」Ref.RN-BB0101S

 続いては、よりコンパクトなシルエットを得た、オリエント「オリエント バンビーノ」の新作を取り上げる。バンビーノは、オリエント「クラシック」コレクションに属するモデルで、ラウンドケースに細いラグ、緩やかな曲線を描く文字盤とボックス型風防を持つ、コレクション名の通りのクラシカルなスタイリングが特徴だ。

 その中でも最もクラシカルな時・分・秒の3針表示モデルは、従来は直径40.5mmまたは38.4mmというラインナップであった。ここに2026年の新作として追加されたのが、今回ピックアップする直径36.4mmの「オリエント バンビーノ 36」である。

 直径36.4mmというサイズ感は1950~1960年代の標準的なサイズ感にあたる。そのため、手首の細い男性や女性だけでなく、周長約18cmと日本人平均よりも太めの筆者の手首においても、違和感なくフィットする点が大きな魅力である。また、直径38.4mmの従来モデルと比べても、ひと目で分かるほどのダウンサイジングとなっており、バンビーノの特徴であるヴィンテージテイストがより強まった。

 オリエント バンビーノ 36のデビューに際して、紹介するゴールドカラーケースモデルのほか、シルバーカラーケースにホワイト文字盤、アイボリー文字盤の定番カラーの組み合わせと、モダンなグリーン文字盤モデルが用意される。いずれも自動巻きムーブメントのCal.F6524を搭載し、日付表示のない、よりエッセンシャルな文字盤デザインだ。また、JIS1種(4800A/M)の耐磁性能や3気圧の防水性能を備え、現代のライフスタイルにマッチする実用性も備えていると言える。

 バンビーノは、目の肥えた時計ファンにも支持されてきたコレクションであり、よりヴィンテージテイストにあふれた36.4mmモデルの追加は、大いに歓迎されることだろう。

オリエント「オリエント バンビーノ 36」

オリエント「オリエント バンビーノ 36」Ref.RN-BB0101S
自動巻き(Cal.F6524)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径36.4mm、厚さ12.3mm)。3気圧防水。4万6200円(税込み)。2026年9月25日(金)発売予定。(問)オリエントお客様相談室 Tel.042-847-3380

タイメックス「マーリン ハンドワインド」Ref.tx-tw2w93300

 続いて紹介するタイメックス「マーリン ハンドワインド」も、ヴィンテージテイストにあふれたモデルだ。ケース径は34mmと、現代基準で非常にコンパクトなスタイリングが特徴で、ヴィンテージウォッチを取り入れたかのようなコーディネートを楽しむことができる。それもそのはずで、本作は1960年初頭に存在した「マーリン」を忠実に再現したモデルであるのだ。

 1950年代に登場したマーリンは、当時としては珍しく、防水・防塵・耐衝撃性による高い実用性を備えたモデルであった。当時は、男性向けのドレスウォッチとして直径34mm程度のケースを持ったモデルが多く存在し、それらのライバルに対してマーリンの高い実用性が優位点であった。

 紹介するRef.tx-tw2w93300は、高い実用性を持つマーリンの系譜を引くモデルとして企画されている。ブラウンの文字盤には、細くシャープな書体のアラビア数字インデックスとバーインデックスを組み合わせた文字盤は、ヴィンテージモデルの意匠を受け継ぎながらも、現代目線ではモダンにも映るデザインだ。ラグが細く鋭い仕立てで、引き締まった印象を生み出すことに寄与している。本作には文字盤カラーに合わせたブラウンのレザーストラップが組み合わされ、さまざまなファッションスタイルに取り入れやすい、シックなカラーコーディネートとなっている点も良い。

 タイメックスがアメリカのブランドであることにちなみ、やや幅広のラペルのスーツとハットという、当時のアメリカントラッドのスタイリングに合わせたくなるような1本である。

タイメックス マーリン ハンドワインド

タイメックス「マーリン ハンドワインド」Ref.tx-tw2w93300
手巻き。20石。2万1600振動/時。(未)SSケース(直径34mm、厚さ10mm)。30m防水。4万1800円(税込み)。(問)株式会社ウエニ貿易 Tel.03-5815-3277

カシオ「エディフィス オートマティック」Ref.EFK-200DG-5AJF

 最後はカシオの「エディフィス オートマティック」の「EFK-200」シリーズをピックアップする。「カシオのエディフィスで機械式腕時計?」と不思議に思う読者もいるかもしれないが、紹介するエディフィス オートマティックは、カシオ初の機械式腕時計として2025年6月に誕生し、早くも高い評価を集めているコレクションだ。

 元々エディフィスは、モータースポーツの世界観をデザインや機能に取り入れて展開されてきた。そのコンセプトを受け継ぎつつリリースされたカシオ初の機械式腕時計「EFK-100」は、モダンなスポーツカーのようなエッジの効いたシルエットを持つモデルである。そして今回取り上げる2026年登場のEFK-200シリーズは、一転して柔らかな曲線を主体とした流麗なシルエットが特徴である。EFK-100とデザインテイストは大きく異なるが、クラシックスポーツカーを思わせる流線形のシェイプによって、エディフィスのコンセプトが受け継がれていると言えるだろう。

 紹介するRef.EFK-200DG-5AJFは、ゴールドカラーの外装にブラウンのグラデーション文字盤を組み合わせた、華やかな配色を持つモデルだ。ケースとブレスレットはステンレススティール製で、表面にゴールドIPが施される。ケースからブレスレットへと連続するフォルムに、多面カットを施したベゼルを組み合わせ、スポーティーな輪郭を形作っている。また、ベゼルではヘアライン仕上げとポリッシュ仕上げを使い分け、光の当たり方によって表情が変化する点が見どころだ。

 文字盤には、電鋳による細かな凹凸模様を採用する。ブラウンの色調は外周に向かって暗くなるグラデーションとし、表面の立体的な模様に色の濃淡が加わり、奥行きを感じさせる仕立てとなっている。搭載するムーブメントは、信頼性の高いミヨタ製の自動巻きムーブメントのCal.MIYOTA8215だ。

 エディフィス オートマティックはいずれのモデルでも、文字盤外周のスケールまでしっかりと届いた分針と秒針を持つことで引き締まったデザインとなっており、インデックスや文字盤、外装仕上げの品質も良好である。そのため、手にした際の満足度が高い、優れた完成度を誇っている。店頭でぜひチェックしてほしい1本だ。

カシオ エディフィス EFK-200

カシオ「エディフィス オートマティック」Ref.EFK-200DG-5AJF
自動巻き(Cal.MIYOTA 8215)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径38mm、厚さ11.9mm)。10気圧防水。6万6000円(税込み)。(問)カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925


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