F.P.ジュルヌのミニッツリピーター「レペティション・スヴラン」。見る人を魅了するメカニズムと仕上げ

2026.10.13
PR:F.P.Journe

ムーブメントの厚みは4.5mm。F.P.ジュルヌが2008年に発表した極薄ミニッツリピーターCal.1408が、透明なダイアルによって表に全容を現した。中央付近に時・クォーター・分の各ラックやスネイルが積層する様子は、極薄の中に豊かな奥行き感を育んでいる。メゾンとしては極めて異例なフルオープンダイアルウォッチは、精巧なメカニズムに加え、繊細な手仕上げにおいても見る人を魅了する。

レペティション・スヴラン

レペティション・スヴラン
透明なダイアルにあらわになったミニッツリピーター機構は、ムーブメントのパーツ数が312点と他社と比べてはるかに少なく、非常にコンパクトかつ薄型化が実現された。チャイミング機構が備わるモデルのケースには、貴金属に比べて密度が低く音響効果に優れるステンレススティールを用いる。手巻き(Cal.1408)。33石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約56時間。SSケース(直径40mm、厚さ8.50mm)。3気圧防水。要価格問い合わせ。
奥山栄一、三田村優:写真
Photographs by Eiichi Okuyama, Yu Mitamura
髙木教雄:文
Text by Norio Takagi
Edited by Yuzo Takeishi
[クロノス日本版 2026年11月号掲載記事]


ダイアル越しに広がる繊細な仕上げと清澄な調べ

 ダイアルにメカニズムの大半をあらわにしているにもかかわらず、何の情報もないままに上の写真を見て、これがミニッツリピーターだと気付けない人は多いかもしれない。なぜなら他社の同機構とは異なり、パッと見ではハンマーはひとつしかなく、リング状のゴングが見当たらないからだ。伝統的な複雑機構を、卓越した創造性で独創的に革新するフランソワ-ポール・ジュルヌは、ミニッツリピーターのハンマーを二層構造とし、ゴングを板状としたのだ。同じ形のゴングは、この「レペティション・スヴラン」に先駆けて2006年リリースされた「ソヌリ・スヴレンヌ」で初採用されている。ジュルヌによれば、「板状ゴングは従来のリング状よりも、大きく美しい音色が生み出せる」という。

レペティション・スヴラン

ふたつが重なるハンマーは、上層が時・分とクォーターの最初の音を、下層がクォーターのもう1音を担当する。板状ゴングは、上端部で強く2回折れ曲がりながら細くテーパードし、ハンマー部に至る。このゴングの“くびれ”を削り、音をチューニングする。ハンマーの右上に、V字のバネで支えたふたつのパレットが見える。

 2008年の登場時から開口部にゴングの動きだけを見せていたレペティション・スヴランに2020年、サファイアクリスタル製ダイアルのモデルが追加された。これは、同メゾンとしては極めて異例だ。ジュルヌ自身「私はスケルトンウォッチの製作に積極的ではなかった」と自認しているほど。なぜなら「時計の真価は外装ではなく、機構に宿っていると考えているから」。唯一の例外が、アワー表示を、指を折り数えるオートマタとした「FFC」。それが今回、「顧客からの強い要望を受けた」ことでミニッツリピーターの透明ダイアルが実現された。

 F.P. ジュルヌは、圧倒的な表現力を持つダイアル工房、カドラニエ・ジュネーブを傘下に持つ。メゾンとしてスモーキーなサファイアクリスタル製ダイアルは初の試みだが、他ブランドには過去に提供している。各インデックスの印字は一切のにじみがなく、かつ明瞭であり、スモールセコンドとパワーリザーブ計の各インダイアルの筋目仕上げも実に繊細で、出来栄えは申し分ない。

レペティション・スヴラン

クロノメーター・スヴランに搭載されるCal.1304と一体になるよう、ミニッツリピーターを組み込んだ。ケースバック側のテンプの隣に備わる調速ガバナーは、無音の遠心式。ブリッジと地板は、すべてゴールド製である。

 これまでダイアルに隠されていた板状ゴングは、音階が異なる2枚がハンマーと同じく上下に重なっている。それだけでもミニッツリピーターとしてはかなりの異彩を放つが、中央付近12時側に見られるミニッツラックも、ソリッドな形状で明らかに他社とは異なる。さらに、そのラックの歯が、12時位置近くの歯車=打鐘ホイールと噛合しているのも同機構としては異例である。通常のミニッツリピーターでは、ラックの歯がハンマーの動きを司る打鐘パレットを直接動かしているからだ。しかしレペティション・スヴランが搭載するキャリバー1408では、ラックが噛む打鐘ホイールを介してパレットを動かしている。同ホイールには、2組のラチェットギアが備わり、一方が時・分、他方がクォーターの1音を司り、上部のハンマーを動かす。つまり時・分を同じ音階としているのだ。クォーター用のもう1音用のパレットは10時位置近くにあり、打鐘ホイールと接続するパレットからV字のバネで保持され、クォーターラックで動かして下層のゴングを打つ設計だ。

レペティション・スヴラン

レペティション・スヴラン
2008年の登場時から今日まで続く、クル・ド・パリのギヨシェ装飾を施したソリッドなシルバー製ダイアルも継続してラインナップ。9時と10時の間を開口して、ハンマーの動きを見せている。板状ハンマーは、一般的なリング状よりも各ゴングの共鳴が小さく、音色がよりクリアになるとか。薄くて装着感に優れ、十分に長いパワーリザーブと3気圧防水が備わり、日常使いしやすい。手巻き(Cal.1408)。33石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約56時間。SSケース(直径40mm、厚さ8.50mm)。3気圧防水。要価格問い合わせ。

 この独創的な設計により、従来は時・分用に各ひとつ、クォーター用にふたつの計4つ必要だったパレットがふたつで済んだことで機構自体がコンパクトになり、信頼性も高まった。また打鐘ホイールには巻き上げ車が重なり、その軸はリピーター用の香箱と同軸にある。結果、リピーターのスライダー操作時に時ラックの移動によって香箱が巻き上げられるため、部品数はかなり減少する。

 設計は極めて巧妙であり、随所に見応えがある。



Contact info:F.P.ジュルヌ東京ブティック Tel.03-5468-0931


スイス・ジュネーブの旧市街に位置する、F.P.ジュルヌのブティックとレストランを訪問

FEATURES

陣頭に立ち続ける孤高の時計師 フランソワ-ポール・ジュルヌ

FEATURES

F.P.ジュルヌ理想のクォーツウォッチ、「Cal.1210」【傑作ムーブメント列伝】

FEATURES