18KYGケースをまとってMB&F「レガシー・マシン パーペチュアル」が限定復活

FEATUREWatchTime
2020.04.21

2015年に発表されたMB&Fの「レガシー・マシン パーペチュアル」は、翌16年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリでベストカレンダーウォッチ賞を受賞するなど、複雑機構を得意とする同ブランドの製品の中でも特に高い知名度を有するモデルだ。そんな同作はデビュー以来、18Kレッドゴールドや18Kホワイトゴールド、さらにプラチナやチタンなどあらゆる素材を用いてそのラインナップを拡張してきた。そしてこの度、レガシー・マシン パーペチュアルに新たなバリエーションが投入される。それが今回ご紹介する18Kイエローゴールドケースにブルーダイアルを組み合わせたモデルである。

レガシー・マシン パーペチュアル

MB&F「レガシー・マシン パーペチュアル」
手巻き。41石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KYG(直径44mm、厚さ17.5mm)。3気圧防水。
Originally published on watchtime.com
Written by Mark Bernardo

MB&F「レガシー・マシン パーペチュアル」

 MB&Fは創業者のマキシミリアン・ブッサー(MB)と才能あふれた“チーム=Friends”(F)によって構成される「コンセプトラボ」だ。今回紹介する「レガシー・マシン パーペチュアル」は、フレンズからアイルランド人独立時計師ステファン・マクドネルが参加し、設計・開発をブッサーと共同で行っている。

 同作の採用するムーブメントはエボーシュやMB&Fの既存ムーブメントを使用せず、ゼロから開発をしている。もちろんパーペチュアルカレンダー部分にモジュールは用いられておらず、一体型として全て専用に設計がされた。これら事実は文字盤側に設けられた吊り下げ型テンプや、ケースバック側に配置されたガンギ車とアンクルという特殊な設計を見れば特別同作に対して知識がなくても想像できるだろう。

レガシー・マシン パーペチュアル

カレンダー表示のサブダイアルは、オープンワークの文字盤上に浮かんでいるように見える。またテンプは文字盤側の大きなブリッジによって吊り下げられている。

余った日付を飛ばすのではなく、足りない日付を足していく

 581個のパーツから構成されるレガシー・マシン パーペチュアルの手巻きムーブメントは、いくつかの重要な点において伝統的なパーペチュアルカレンダーとその趣を異にする。最も代表的なのが、平常時における1カ月の日数を何日と想定させるかだ。

 一般的なパーペチュアルカレンダーでは1カ月を31日と規定し、その例外となる小の月では翌月頭に不要な日数を飛ばす、というのが設計段階での大前提としている。しかし、同作では1カ月を28日と規定して、平年の2月以外の月末に、必要な日数を追加するという、全く逆のアプローチを取ったのである。そのため輪列に障害が生じる可能性がある、日付を飛ばすプロセスが必要なくなったのである。

 また、パーペチュアルカレンダーに限らず多くのカレンダー機構は、日付変更機構が動き出しているときに不適切な調節を行うとダメージを受けやすかった。しかし、レガシー・マシン パーペチュアルはカレンダー機構が動いているときに、プッシャーを作動不能にすることにより、このリスクを回避している。

レガシー・マシン パーペチュアル

日付送りの制御にはレバーを使用しない

 もうひとつ、同作が伝統的なパーペチュアルカレンダーと大きく異なっている点を挙げるならば、日付送りの制御を司る「レバー」を使用していないことだ。48カ月カムを用いて大の月と小の月を見分け、テコの原理を用いて日付ディスクを送る古典的なレバーの代わりに採用されるのが、同社が特許を出願中の多層ディスクからなる「機械処理装置」である。また、年調整用のクイックセットプッシュボタンがケース側面に配されている点も同作ならではだ。

 ダイアル側中央で回転する大きなテンプは長いテン真で、ケースバック側に配された脱進機につながっている。テンプの下に見えるサブダイアルは、その下に垣間見える機構から浮かび上がっているようだ。テンプを支えるアーチ状ブリッジはMB&Fらしさ全開である。
レガシー・マシン パーペチュアル

手巻きのムーブメントはオートオルロジュリの仕上げに満ちている。

 12時位置の伝統的なホワイトサブダイアルは、時分表示をするためのもの。ローマンインデックスと青焼きの針という構成だ。他に3つあるサブダイアルは時計回りに、3時位置が曜日表示、6時位置が月表示、9時位置が日付表示である。4時位置のアーチ状のインジケーターが約72時間のパワーリザーブ表示、そして7時位置にあるのがレトログラード針による閏年表示である。

 トランスパレントバックには風防に同じく両面反射防止加工が施され、ムーブメントを背面から鑑賞できる。他のMB&F製ムーブメントと同じく、コート・ド・ジュネーブや面取り、手仕上げのエングレービングといったブリッジに施される装飾は目が離せなくなるほど。69のパーツで構成されるケースには、手縫いのアリゲーターストラップとイエローゴールド製フォールディングバックルが合わせられている。

レガシー・マシン パーペチュアル

ムーブメントのツインバレルはパーペチュアルカレンダーを搭載しながら、約72時間のパワーリザーブを可能にする。


Contact info: MB&F https://www.mbandf.com/en


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