ブレゲとクラシック 5157の物語。天才時計師が築いた名門に迫る

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2021.04.03

「クラシック 5157」は、天才時計師として名高いブレゲの意匠が詰め込まれた傑作だ。時計史に残る数々の発明が、洗練された美しいモデルのいたるところに見て取れる。クラシック 5157をはじめ、ブランドや代表的コレクションの魅力に迫る。

クラシック 5157


クラシック 5157の特徴

ブレゲの魅力がふんだんに詰め込まれた「クラシック 5157」の特徴を紹介する。新品・中古品の価格相場もチェックしておこう。

これぞブレゲという意匠

クラシック 5157

シルバーに仕上げられたゴールド製のダイアルに、伝統的なクル・ド・パリ装飾を施した「クラシック 5157」。ブルー・スティールのブレゲ針との組み合わせも実に優雅な雰囲気。

クラシック 5157は、ブレゲの伝統的なスタイルが随所に見られる時計だ。5.4mmの超薄型ケースには、シリコン素材のひげゼンマイを備えた自動巻きムーブメントが搭載されている。

ダイアルに手彫りで施されたクル・ド・パリ装飾と、ケースバンドのコインエッジ装飾は、18世紀の天才時計師アブラアン‐ルイ・ブレゲ(1747~1823年)が生み出した、ブランドを象徴する意匠である。

シンプルなシルバーの文字盤上で時を刻むのは、優美かつ繊細なブルーのブレゲ針。先端が月の形をした斬新な針は、創業者の名を冠した名称で時計界に広く流布している。

また、12時近くのダイアルに目を凝らせば、文字盤に刻まれたシークレット・サインがあることに気付くだろう。本物のブレゲ製品であることを示す刻印である。

現行は3モデル

クラシック 5157

ブレゲ「クラシック 5157」
自動巻き(Cal.502.3)。35石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KRG(直径38mm)。3気圧防水。223万3000円(税込み)。

クラシック 5157の現行モデルは「5157BR」「5157BB」「5157BA」の3種類だ。それぞれケース素材には、ローズゴールド、ホワイトゴールド、イエローゴールドが使われている。

ストラップに用いられているのはアリゲーターで、カラーは5157BBのみブラック、ほかのふたつはブラウンである。そのほかの機能やデザインに、モデルごとの相違点はない。

どのカラーを選んでも、気品高く完成度の高い、ブレゲのクラシックコレクションが持つ魅力を存分に堪能できるだろう。

価格の目安

現行モデルの定価は、5157BRと5157BBが税込み223万3000円、5157BAが211万2000円に設定されている。ブレゲの上位ラインとして、ふさわしい価格と言えるだろう。

並行輸入店で比較的安価に購入できるとはいえ、保証やメンテナンスなど、正規品のメリットは享受できないので、正規店での購入をお勧めする。


ブレゲの魅力

高級時計を語る上で、ブレゲは外せないブランドだ。「クラシック 5157」などの傑作を数多く展開するブレゲについて、魅力をおさらいしておこう。

天才時計師の名を冠する名門

懐中時計

1801年、アブラアン-ルイ・ブレゲはトゥールビヨンの10年間の特許権を取得。05年には商品化を果たし、翌06年にパリのアンヴァリッド広場で開催された工業製品博覧会で一般に披露された。

ブレゲは、ブランド名にもなっている天才時計師ブレゲにより、1775年にフランスのパリで設立された名門である。

トゥールビヨンや永久カレンダーなど、多くの革新的な技術を生み出したブレゲは、「時計の歴史を200年早めた」とも評されている人物だ。

ブレゲの歴代オーナーには、ビクトリア女王、マリー・アントワネット、ナポレオンなど、歴史上の偉大な人物が名を連ねている。

美しさが人気の理由のひとつ

クラシック7147

現在ではエナメル文字盤の時計に用いられることの多い、ブレゲ数字のインデックス。このフォントが初めて登場したのはフランス革命以前のことで、デザインしたのはアブラアン-ルイ・ブレゲ自身。写真は18KWGとホワイトエナメルダイアルとのコンビネーションが美しい「クラシック7147」。価格は256万3000円(税込み)。

ブレゲが時計史に残す功績は、複雑機構などの機能面だけではない。ブレゲが作り出した美しい意匠の数々は、現在も多くの時計に採用されている。

例えば、今でこそ一般化されているギヨシェ彫りは、ブレゲが発明した装飾技法だ。ブレゲを象徴するクル・ド・パリ装飾は、ギヨシェ加工の一種である。

ケースの側面を貨幣の縁のように装飾するコインエッジも、ブレゲの発明だと言われている。高い技術を求められる技法であり、今でも一部の時計にしか見られない。

また、洗練された印象を与えるブレゲ針も、ブランドの美しさを表現する要素のひとつ。アラビア数字を斜体で表したブレゲ数字と呼ばれるインデックスもある。


ブレゲの主なコレクション

ブレゲの定番モデルから、代表的なコレクションを紹介する。いずれも、ブランドの特徴を生かしながら、コレクション独自の魅力を放っている。

ブレゲの真髄が詰まる クラシック

クラシック 7137

ブレゲ「クラシック 7137」
自動巻き(Cal.502.3 DR1)。37石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWG(直径39mm)。3気圧防水。476万3000円(税込み)。

ブランド誕生当時の作品群に着想を得て生まれたコレクションが「クラシック」だ。ブレゲを特徴付ける要素が、すべて詰め込まれている。

文字盤に施されたギヨシェ装飾、ラウンドケースの側面に施されたコインエッジ装飾、ブレゲ針やシークレット・サインなど、ブランドの魅力を時計全体にまとっている。

美しい丸型フォルムに加え、シンプルで無駄のない洗練された雰囲気や、視認性、機能性の高さなど、理想的な時計を表現したシリーズだ。

伝統の懐中時計を再現 トラディション

トラディション レトログラード デイト 7597

ブレゲ「トラディション レトログラード デイト 7597」
自動巻き(Cal.505Q)。45石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KWG(直径40mm)。3気圧防水。459万8000円(税込み)。

初代ブレゲが制作した懐中時計「スースクリプション」から、インスピレーションを得て誕生したコレクションが「トラディション」である。

1794年に開発された衝撃吸収装置と可変慣性テンプを搭載。文字盤とケースバックはトランスパレント仕様になっており、どちらからも機械動作美を鑑賞できる。

ブランドの原点に立ち返りつつ、未来への方向性も示唆する意味で「トラディション=伝統」の名が付けられている。

スポーツモデルでも上品 マリーン

マリーン5517

ブレゲ「マリーン 5517」
自動巻き(Cal.777A)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KWG(直径40mm)。10気圧防水。584万1000円(税込み)。

ブランドの伝統を継承しながら、よりスポーティーでモダンな装いをまとうコレクションが「マリーン」だ。

初代ブレゲは、フランス海軍の航海用精密時計も手掛けており、当時のモデルからヒントを得て、現代のニーズに合わせたデザインが施されている。

ダイアルの手彫りギヨシェ装飾やケースサイドのコインエッジ装飾など、ブレゲの伝統をしっかりと継承しつつ、現代的な雰囲気が冴えるコレクションだ。


ブレゲの意匠を楽しもう

「クラシック 5157」は、ブレゲのクラシックラインの中でも、特にブランドの意匠が際立つモデルで、クル・ド・パリやコインエッジ、ブレゲ針といった特徴を堪能できる。

ブレゲには、クラシック以外にも、トラディションやマリーンなど、魅力的なコレクションがそろっている。ブレゲを身につけ、天才時計師の足跡を感じてみよう。



Contact info: ブレゲ ブティック銀座 Tel.03-6254-7211

川部憲 Text by Ken Kawabe


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