A.ランゲ&ゾーネ 「ランゲ1・タイムゾーン」の完全刷新を経て 生まれ変わったプロダクトファミリー

FEATURE本誌記事
2020.09.20

2005年のファーストローンチから、15年ぶりとなるフルリニューアルを受けた「ランゲ1・タイムゾーン」。1994年のブランド復活と同時に発表された、L901系ムーブメントを用いる最後のモデルが刷新されたことで、ランゲ1のプロダクトファミリーは、完全に新たな血筋に生まれ変わったのだ。

星武志:写真、鈴木裕之:取材・文
Photographs by Takeshi Hoshi (estrellas), Text by Hiroyuki Suzuki
[クロノス日本版 2020年9月号初出]

ランゲ1・タイムゾーン

ランゲ1・タイムゾーン

ランゲ1・タイムゾーン
2005年に発表されたランゲ1・タイムゾーンを完全刷新。大径の新型ムーブメントに置き換えられたほか、サマータイムマーカーなどの新機軸も盛り込む。手巻き(Cal.L141.1)。38 石。2万1600 振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KWG(直径41.9mm、厚さ10.9mm)。予価551万円(8月以降発売予定)。

 4月に開催されたインターネット配信版のウォッチズ&ワンダーズでは、例年以上の〝寡作〞に徹し切ったA.ランゲ&ゾーネ。しかし6月になって、今年の本命とも言えるモデルが追加発表された。15年ぶりのフルリニューアルを受けた「ランゲ1・タイムゾーン」である。最も大きな変更点はムーブメントの刷新。2012年に発表されたキャリバーL095系をベースに新規開発された「キャリバーL141・1」が搭載されたのだ。とはいえ、実際にL095系から転用されたのは、香箱のプロファイルと調速脱進機の基本構成のみ。香箱内に収まる主ゼンマイのトルクまで変更されているというから、2〜4番車に至る基本輪列も新規設計の可能性が高い。ともあれ、1994年発表のL091系を搭載する最後のモデルだったランゲ1・タイムゾーンが刷新されたことで、ランゲ1のプロダクトファミリーはすべて、自社ヒゲゼンマイを搭載する〝新たな血筋〞に生まれ変わったことになる。

ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター

ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター

ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター
10分単位で打鐘するデシマル・ミニッツリピーターの新色。注目はディープブルーのダイアル。ゴールド地では発色しにくいとされるブルーPVDだが、シルバー無垢の地金を採用することで、重厚な色味を得ている。手巻き(Cal.L043.5)。93石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約36時間。18KWG(直径44.2mm、厚さ14.1mm)。世界限定30本(取り扱いはブティックのみ)。参考価格44万9000ユーロ。

 新しいL141・1は、シングルバレルで約72時間のパワーリザーブを発揮するなど、基本スペックはL095系から受け継いでいる。24カ国表示の都市名ディスクと連動するデュアルタイム表示の操作方法は旧作と同様だが、新作では第2時間帯表示内にサマータイムマーカーが追加されている。EU諸国では21年のサマータイム廃止が決定しているが、北米各都市をはじめ、まだまだサマータイムを使用している地域は多く、新機能の恩恵は大きそうだ。

 また、4月に発表された「ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター」の新色も同時上陸。PVD処理で表現されたディープブルーのダイアルカラーがハイライトだが、シルバー無垢製の地金を用いたことによる、重厚な発色が見事だ。


Contact info: A.ランゲ&ゾーネ Tel.03-4461-8080


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