ロジェ・デュブイ、加速する独創性を表現するふたつの新作

2023.12.05

新たに開発されたフライバッククロノグラフムーブメントによって操作性や計時精度を向上させるとともに、実にロジェ・デュブイらしい、モータースポーツのダイナミズムを表現する先鋭的なルックスをも手に入れたふたつの新作。これらのタイムピースからはモータースポーツに対する情熱に加え、とどまることのないロジェ・デュブイの創造性があふれている。

エクスカリバー スパイダー フライバック クロノグラフ

エクスカリバー スパイダー フライバック クロノグラフ
ロジェ・デュブイ初となるフライバッククロノグラフ機能を備えるのみならず、その複雑なメカニズムを駆使したダイナミックなデザインが目を引く。自動巻き(Cal.RD780)。39石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。カーボン×セラミックケース(直径45mm、厚さ15.7mm)。10気圧防水。1430万円(税込み)。
竹石祐三:編集・文 Edited & Text by Yuzo Takeishi
[クロノス日本版 2024年1月号掲載記事]


フライバッククロノグラフで到達した、ロジェ・デュブイのネクストステージ

エクスカリバー スパイダー フライバック クロノグラフ

6時位置に姿を見せるコラムホイール。クロノグラフ操作時には小気味良い動きも堪能できる。9時位置には衝撃耐性を確保し重力の影響も低減すべく、12°に傾けたバランスホイールが備わる。

 2023年のウォッチズ&ワンダーズで披露された「モノヴォーテックス スプリットセコンド クロノグラフ」は、12年の「パルジョン クロノグラフ」以来、ロジェ・デュブイにとっては実に11年ぶりの登場となるクロノグラフウォッチだった。このモデルはトゥールビヨンを搭載したハイコンプリケーションであり、発売時期はなおも未定だが、これに続く新作として7月に発表されたのが、クロノグラフにフォーカスし、その復活を高らかにうたった「エクスカリバー スパイダー フライバック クロノグラフ」である。

エクスカリバー スパイダー フライバック クロノグラフ

3時位置には視認性に優れ、デザインのアクセントにもなっている120°回転式のミニッツカウンターをレイアウト。

 ロジェ・デュブイでは17年にエクスカリバー スパイダーを始動させるにあたり、モータースポーツにインスパイアされたコレクションにおいてクロノグラフは不可欠との考えから、新しいムーブメントの開発に着手。しかも、革新性を追求し続けるブランドの姿勢がその創造力に拍車をかけ、約4年もの歳月を費やしてフライバッククロノグラフ機能を備えるCal.RD780を完成させた。

エクスカリバー スパイダー フライバック クロノグラフ

ケースには軽快な装着感をもたらすカーボンを、ベゼルには耐傷性に優れるセラミックスを採用。スケルトン仕上げのプッシュボタンが、時計のメカニカルな雰囲気を一層強調する。

 この新キャリバーにおけるハイライトのひとつがコラムホイールだ。精巧な仕上げによってブランドのサヴォアフェールを明示するとともに、このコンポーネントを6時位置に配置してダイアル側に可視化させる、新鮮なクリエイションを取り入れた。しかもCal.RD780の先進性は視覚的な要素にとどまらない。通常クロノグラフが停止する際には、垂直クラッチによって持ち上げられたプレートが秒クロノグラフ車と接触し、その摩擦によって歯車が停止するまでにわずかながらも遅れが生じる。これを解消すべく、ロジェ・デュブイは新機構のセカンドブレーキシステムを考案。クラッチのクランプに直接スプリングを取り付けるという実用的なシステムによって、クロノグラフ使用時の安定性も向上させたのだ。

Cal.RD780

約4年の開発期間を経て完成したのが、連続した計測に有用なフライバック機能を備えたジュネーブ・シール認定のクロノグラフムーブメントCal.RD780。計時の安定性を測るセカンドブレーキシステムや、120°回転式のミニッツカウンターなど、特許出願中の新機構を搭載する。

 3時位置には120度回転式ミニッツカウンター、9時位置には12度に傾斜したバランスホイールを備えるなど、新機軸のムーブメントによる先鋭的ルックスのタイムピースを完成させたロジェ・デュブイは続けて、その発展形となるモデルの製作にも着手。「エクスカリバー スパイダー レヴエルト フライバック クロノグラフ」は、17年より続くランボルギーニ・スクアドラ・コルセとのパートナーシップによって実現したモデルで、23年に発表された「ランボルギーニレヴエルト」をデザインのインスピレーションソースとした。

エクスカリバー スパイダー レヴエルト フライバック クロノグラフ

エクスカリバー スパイダー レヴエルト フライバック クロノグラフ
ランボルギーニ・スクアドラ・コルセとのパートナーシップによって製作され、ランボルギーニ レヴエルトを想起させるエレメントが随所に確認できる。自動巻き(Cal.RD780)。39石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。カーボン×セラミックケース(直径45mm、厚さ15.7mm)。10気圧防水。1512万5000円(税込み)。

 搭載するのはCal.RD780で、エクスカリバー スパイダー フライバック クロノグラフとは機能・性能面での違いはないものの、こちらはオレンジにグリーンを組み合わせたカラーリングや、レヴエルトのヘッドライトを想起させるY字パーツをダイアルに配置するなど、よりスピード感のある表情を作り上げている。

エクスカリバー スパイダー レヴエルト フライバック クロノグラフ

Y字型パーツはレヴエルトのヘッドライトに着想を得たもので、このモデルのみに与えられるデザインエレメントだ。

 ロジェ・デュブイの名を冠した初期のクロノグラフモデルに敬意を表し、フライバック機能を付与してこれを復活させるのみならず、デザインにおいても新しいアプローチを加えたふたつの新作。これらによって、ロジェ・デュブイの新章はいよいよ幕を開けた。

エクスカリバー スパイダー レヴエルト フライバック クロノグラフ

両モデルとも、トランスパレント仕様のケースバックからはスーパーカーのホイールリムを思わせる5本アームのローターに加え、垂直クラッチも確認できる。

エクスカリバー スパイダー レヴエルト フライバック クロノグラフ

独特のパターンが刻まれたグリーンのラバーストラップにはオレンジのステッチが施され、軽快な印象に。両モデルともクイックリリースシステムが備わり、2024年より新しく発売されるスペアストラップへの交換も容易に行える。

独創のハイパー オロロジーを堪能できる、ロジェ・デュブイ 銀座ブティック

機械式時計の常識を超越する“ハイパー オロロジー”なコレクションを取りそろえるのが、2016年より東京・銀座の並木通りに店舗を構える「ロジェ・デュブイ 銀座ブティック」だ。今回紹介した「エクスカリバー スパイダー」のフライバッククロノグラフ機能搭載モデルは12月8日(金)、ここ銀座ブティックにていよいよお披露目。独創性あふれるタイムピースを店頭で手に取りながら、その魅力を確かめてほしい。

住所/東京都中央区銀座6-7-19
電話/03-5537-5317
営業時間/11:00~19:00 
火曜定休



Contact info: ロジェ・デュブイ Tel.03-4572-4910


ロジェ・デュブイ、ランボルギーニのマイルストーンに敬意を払う「エクスカリバー スパイダー レヴエルト フライバック クロノグラフ」を披露

https://www.webchronos.net/news/102386/
【インタビュー】ロジェ・デュブイCEO「ニコラ・アンドレアッタ」

https://www.webchronos.net/features/86129/
2023年 ロジェ・デュブイの新作時計まとめ

https://www.webchronos.net/features/94113/