MR-G「フロッグマン」の新作MRG-BF1000Bをレビュー。チタンブレスレットと深紅の挿し色で着用シーンをさらに拡げた1本

FEATUREインプレッション
2024.04.01

数あるG-SHOCKの中でも、とりわけ高い人気を誇るのがダイバーズウォッチの「フロッグマン」だ。2023年にはこのフロッグマンを最高峰シリーズのMR-Gで表現した「MRG-BF1000R」を発売して話題となったが、今回インプレッションする「MRG-BF1000B」はその最新作。バンドをチタンに変更し、アクセントカラーにレッドを用いた、いわゆる“バリエーション”のひとつだが、実際に着用すると、過去2作とはまた違う魅力を感じ取れる。

フロッグマン MRG-BF1000B-1AJR

G-SHOCK「MR-G フロッグマン MRG-BF1000B」
クォーツ。タフソーラー。フル充電時約29カ月(パワーセーブ時)。Tiケース(縦56×横49.7、厚さ18.6mm)。200m防水。69万3000円(税込み)。2024年4月発売予定。
竹石祐三:文・写真 Text & Photographs by Yuzo Takeishi
[2024年4月1日公開記事]


独創のフォルムをチタンで再現したMR-G フロッグマン

 2023年3月、MR-G フロッグマンの第1弾となるMRG-BF1000Rの発売がアナウンスされたときの興奮はよく覚えている。むしろ個人的には、G-SHOCKの初号機をMR-G化した「MRG-B5000」の登場よりもエキサイティングな出来事だった。

 G-SHOCKがブーム真っ只中だった1990年代、筆者はフロッグマンの特徴である左右非対称フォルムが純粋にカッコいいと感じていたし、ケースバックに描かれた、どこか惚けた雰囲気のあるカエルのキャラクターにも大いに引きつけられた。それは単純に昔からキャラクターものが好きだったからなのか、それとも幼少期に『ど根性ガエル』やタミヤの「マイティフロッグ」に触れたことで、カエルの存在をどこか身近に感じていたからなのか……。

 さておき、デザインはもちろん、その価格設定も含めて腕時計への入り口を作ってくれたのがG-SHOCKであるとするならば、フロッグマンはさらに一歩踏み込んで、より腕時計に対する親しみを感じさせてくれるモデルであったように思う。だからこそ、数あるG-SHOCKの中でもフロッグマンは今もなお、特別な存在になっているのだ。

フロッグマン MRG-BF1000R

2023年にリリースされたMR-G フロッグマンの第1弾モデル「MRG-BF1000R」。海に着想を得たブルーをアクセントカラーに、しなやかなフッ素ラバーのストラップを組み合わせた。クォーツ。タフソーラー。フル充電時約29カ月(パワーセーブ時)。Ti(縦56×横49.7、厚さ18.6mm)。200m防水。59万4000円(税込み)。

 フロッグマンの左右非対称フォルムは、水中におけるプッシュボタンの操作性を高めつつも、衝撃によるボタンの破損を回避するために考案された形状で、それは結果的に手の甲が時計に当たりにくくなるメリットも生んだ。そうした特徴的なフォルムはそのままに、外装パーツを76個に分割して最高峰シリーズのMR-Gにふさわしい研磨を施し、しかもISO規格に準拠した200mの潜水用防水を実現したのが、MR-G フロッグマン MRG-BF1000Rだ。


レッドの挿し色とチタンブレスレットで雰囲気が一変

 第1弾のMRG-BF1000R、イエローを取り入れた限定モデルMRG-BF1000Eに続いて発表されたのが、2024年の新作となるMRG-BF1000Bだ。ハイライトは、先の限定モデルで付属されていたチタン製のブレスレットをレギュラーモデルで初採用したこと。ケースサイズは縦56×横49.7mm、厚さも18.6mmと、過酷な環境での使用を想定したマッシブなプロポーションではあるものの、ケースやベゼル、ブレスレットをはじめ、リュウズやボタンといった小型のパーツにまでチタンを用いたことで、フルメタルモデルでありながらもずっしりとした重さは感じられず、軽快に着用できる。

 しかも、ブレスレットはピッチの短いH駒を採用したことで細かく可動。手首に滑らかに沿うため、良好な装着感が得られるようになっている。そして手首に乗せて実感するのが、ブレスレットにまで徹底された仕上げだ。ひとつひとつの駒に深層硬化処理とDLCコーティングを施してから組み上げるという、手間のかかる工程を経て製造したことで、高級ラインにふさわしい質感が楽しめるのもMRG-BF1000Bの魅力だろう。

フロッグマン MRG-BF1000B-1AJR

MR-G フロッグマンのために新開発されたチタン製ブレスレット。駒のピッチを短くしたことで手首に馴染みやすくするのみならず、1駒ごとに深層硬化処理とDLCコーティングを施すことで上質感を生み出している。

 もうひとつの特徴が、G-SHOCKのキーカラーであるレッドをアクセントとしたデザインだ。しかも、第1弾モデルがFROGMANの文字や、LIGHT、STARTといった表記をホワイトで強調していたのに対し、本作ではこれらをブラックで統一。ダイアル3時位置にレイアウトされたタイドグラフのモチーフもブルーからブラックに変更するなど、細部の色使いにも手を加えることで、従来のモデルとは異なる引き締まった表情を生み出している。カラーバリエーションであることはたしかにその通りなのだが、一方では「ダイバーズルックでありながら、よりタウンユースしやすくなったMR-G フロッグマン」とでも位置付けられるモデルではないだろうか。

フロッグマン MRG-BF1000B-1AJR

ベゼルに刻印された各種表記をブラックに統一し、アクセントカラーをフランジと8時位置のインダイアルリングにとどめることで、グッと引き締まった顔つきになっている。


プロ用ダイバーズモデルにふさわしい性能と仕様

 もちろん、基本的な設計は従来モデルを踏襲しているため、G-SHOCKの象徴である耐衝撃性能や、ダイビングで有用な──言い換えれば、日常生活でも安心して使い続けられる性能はそのまま。リュウズやプッシュボタンにはクラッドガード構造を用いてモジュールへの衝撃を和らげるとともに、ベゼルと3時側/9時側のプロテクターの間に緩衝体を挟み、プロテクターをわずかに滑らせながら動かすことで、衝撃を吸収する構造も取り入れられている。耐衝撃性能に定評のあるG-SHOCKではあるが、造形に合わせて耐衝撃構造がアップデートされていることを知れば、さらに安心感は増す。

フロッグマン MRG-BF1000B-1AJR

細部まで徹底した研磨を実施するべく76個の外装パーツに分割しながらも、ISO200m潜水用防水を実現。リュウズには気密性の高いねじロック式を採用し、さらに耐水性に優れたフッ素ラバーの緩衝材を用いるなど、耐衝撃性を高めるクラッドガード構造もダイビング用にアップデートされている。

 また限定モデルにも付属されていたチタン製ブレスレットは、装着感や上質さもさることながら、ダイバーズウォッチに組み合わせるのにふさわしい機能も。バックルには従来のMR-Gでも使われていたロックシステムを備えるだけではなく、このブレスレットのために開発されたエクステンション機構を取り入れることで伸縮が可能になり、ダイビングスーツの上からでも着用できるようになっている。

フロッグマン MRG-BF1000B-1AJR

従来のMR-Gで使われていたロックシステムはMRG-BF1000Bでも踏襲。ダイビング中に万が一の脱落を防ぐことはもちろん、日常で着用する際にも有用なディテールだ。

フロッグマン MRG-BF1000B-1AJR

バックルには折り畳み式のエクステンション機構を追加。ブレスレットを引き出すことで、ダイビングスーツの上からでも容易に着用できるように。

 そして、ファンにはお馴染みとなったカエルのキャラクターは、このモデルでも健在だ。ダイアルに合わせて、レッドの蒸着を施したサファイアガラスにレーザーでカエルのイラストを刻印しているのだが、描かれているのは1993年に誕生した初代フロッグマンと同じ“潜水ガエル”。新しいG-SHOCKファンも、この愛嬌のあるキャラクターにはほっこりさせられるのではないだろうか(筆者がそうであったように)。

フロッグマン MRG-BF1000B-1AJR

レッドの蒸着を施したサファイアガラスには、初代フロッグマンに描かれていたものと同じ、潜水ガエルのイラストを刻印。製品自体はハイスペックなのに、愛嬌のあるイラスト……。このギャップも、フロッグマンの魅力のひとつ!?

 MR-G フロッグマンは限定モデルも含めると3作目となったが、フロッグマンに思い入れのある筆者としては、MRG-BF1000Bが細かいデザインチューニングを施したことで精悍な顔つきになり、単なるカラーバリエーションのひとつではなく、コーディネートする服装や着用シーンの広がりをも予感させるモデルに仕上がっていることに感心させられた。その一方で、アナログ表示になっても、外装が金属になっても、最大の特徴である左右非対称フォルムはやはりオンリーワンの魅力であると実感する。だからこそ、今もなおコアなフロッグマン フリークは多く存在しているのだろうし、この独創性と愛らしいカエルに引かれて、これからもファンは増え続けていくことだろう。


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