オリエントスター “掩蔽”の表現を可能にする文字盤製造術

FEATURE本誌記事
2024.04.07

月の影がすばるを隠す掩蔽(えんぺい)がテーマの「M45 F7 メカニカルムーンフェイズ」限定モデル。型押しとクリアなラッピング層で奥行きを生み出しつつ、層状に積み重ねて印刷したインデックスの立体感が特徴だ。

オリエントスター「M45 F7 メカニカルムーンフェイズ」

M45 F7 メカニカルムーンフェイズ
モノトーンで「すばる」を表現したモデル。ラッピングの上から複数にわたって施されるタコ印刷が文字盤に立体感を与える。自動巻き(Cal.F7M65)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.8mm)。5気圧防水。国内限定200本。33万円(税込み)。(コードバン替えバンド付きは34万1000円)。
Photographs by Masahiro Okamura
Text by Shin-ichi Sato
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年5月号掲載記事]


オリエントスター「M45 F7 メカニカルムーンフェイズ」

 グレーとブラックを基調として、宇宙の奥深さを表現した「M45 F7 メカニカルムーンフェイズ」の限定モデルが発表された。M45とは「すばる」と呼ばれる星団にちなんだ名である。これまでもオリエントスターは、M45コレクションに夜空をテーマとしたモデルをラインナップしてきた。本作は、月とすばるが重なる「掩蔽」の中でも、欠けた月が重なることで明るいすばるの星々を月の影が隠す様子をテーマとしている。

オリエントスター「M45 F7 メカニカルムーンフェイズ」

星々が煌めく夜空の広がりや奥深さを表現するため、型押しによる細かな凹凸を設けたダイアルベースに、通常のクリア塗装よりも厚く、研磨に手間のかかるラッピング層を与えている。ここにフラットなパワーリザーブ表示とインダイアルを加えて月の影による掩蔽を表現する。

 本作の注目点はそのダイアルだ。型押しによる凹凸を設けたダイアルベースにグラデーションを含めた塗装を施した後、クリアなラッピング層を与えている。更にその上に、ルラーと呼ばれる柔らかな部材を用いて立体物に印刷するタコ印刷を繰り返し行い、ラッピング層の上に層状にインクを重ね、立体的なローマンインデックスを生み出している。このような多層構造によって、本作はトーンを抑えながら永遠に広がる宇宙の奥深さと、そこに広がる無数の星々を表現している。そして、光が射し込むことで表情を大きく変えつつ、インデックスが陰影をもって浮かび上がるものとなっている。

 ダイアル12時位置にはパワーリザーブ表示、6時位置にはポインターデイト表示を備え、各インダイアルをフラットな仕上げとすることで掩蔽を思わせる影を生み出しつつ、月齢表示によってテーマに沿った輝く月を添えている。時分針には鏡面と筋目の仕上げが使い分けられ、ダイアルとのコントラストが低いながらも視認性が確保されている。ケースは黒メッキ仕上げであり、神秘的な天体ショーの静けさを伝える仕上がりだ。本作は、機能とダイアルの仕上げ、全体のデザインが、そのテーマと深くリンクした1本として仕立てられていると言えよう。



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