漫画界の巨匠ユニット「ゆでたまご」の嶋田隆司と中井義則。45年の歴史を持つ『キン肉マン』の新作アニメで再び脚光を浴びる彼らが愛用する腕時計に迫る。原作担当の嶋田隆司はセイコーを、作画担当の中井義則はカシオ G-SHOCKを愛用と推定。時代を超えて愛される作品を生み出すふたりが選んだ、ふたつの腕時計。その魅力と、作品に込められた想いとの共通点に迫る。
Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2024年8月18日掲載記事]
時代を超えて愛される超人バトル。その魅力的な作品を生み出す漫画家ユニット「ゆでたまご」
45年の時を経て、今、再び注目を集める伝説的マンガ『キン肉マン』。1979年の連載開始以来、世代を超えて愛され続けてきたこの作品が、2024年、最新アニメシリーズ「キン肉マン 完璧超人始祖編(パーフェクト・オリジン編)」として蘇った。日曜夜11時30分に全国28局ネットで放送されるだけでなく、Netflixでの配信も行われ、SNSを中心に大きな話題を呼んでいる。
この不朽の名作を生み出したのが、漫画家ユニット「ゆでたまご」こと、原作担当の嶋田隆司と作画担当の中井義則である。彼らの50年以上に及ぶ友情は、作品に込められた「友情・努力・勝利」のテーマを支える礎となっているのだろう。デジタル時代になった今も、彼らの創造力は衰えを知らず、新たなファン層を魅了し続けている。
キン肉マンとはプロレス系格闘マンガだ。シリーズ累計発行部数は7700万部を超え、集英社刊行の『週刊少年ジャンプ』に1979年から1987年の長期間にわたって掲載されたことは多くの知るところである。
初代主人公“キン肉スグル”は、不器用で子供っぽいスーパーヒーロー志望者から、強くて献身的、そして周囲から尊敬されるファイターへと進化していく。その成長物語が、多くの読者の心を掴んだ。また、作中に登場する多彩な超人レスラー・怪獣たちは読者の声から誕生しており、その応募ハガキは2ヶ月で16万通を越え、300以上のキャラクターが生まれた。
ロビンマスク、ラーメンマン、ウォーズマン、バッファローマンといった主要キャラクターも読者のアイデアをもとに考案されている。インターネットが普及していなかった当時、ハガキによる読者参加型マンガは少年たちの心を鷲掴みにしたのではないだろうか? 元は敵として戦った超人たちと心を通わせ、キン肉マンの仲間となっていく様子も、作品の見どころのひとつである。
原作者・嶋田隆司が愛用するはセイコー「アストロン SBXC017」
これがやりたかったぁ、イギリスのタワーブリッシの前でキン肉マンにタワーブリッジをかける!! #キン肉マン #今年40周年 #イギリス取材旅行 #ロビンマスク #タワーブリッジ #今度こそ決める pic.twitter.com/UW71VcYu0a
— ゆでたまご嶋田 (@yude_shimada) September 1, 2019
ゆでたまご嶋田氏のX(@yude_shimada)に2019年9月1日付けで投稿された写真。「これがやりたかったぁ」というコメントとともに、ロンドンのタワーブリッジの前でキン肉マンにタワーブリッジをかけるというもので、即座に多くのファンからリプライが付いた。
上の写真で嶋田隆司が着用しているのは、セイコーのGPSソーラーウオッチ「アストロン SBXC017」である。これはブランドのイメージキャラクターを務め、当時ロサンゼルス・エンゼルスで活躍していた大谷翔平とそのチームカラーをイメージした数量限定モデルだ。
赤色がアクセントカラーとして採用され、セラミック製ベゼル上にレイアウトされる都市コードはエンゼルスのホームタウンであるアナハイムを意味するANAの文字が記されている。裏蓋には大谷翔平のサインと限定モデルであること、シリアルナンバーが記されている。キン肉マン原作者の嶋田隆司が、現在も超人的な活躍を続ける大谷翔平モデルを選んだことを考えると感慨深い。
セイコー「アストロン SBXC017」
GPSソーラー(Cal.5X53)。SSケース(直径42.9mm)。100m防水。販売当時価格24万円(税別)。1700本限定。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012
作画担当・中井義則の愛用時計はG-SHOCK「マッドマスター GWG-1000-1A3JF」
タワーブリッジきました。#kキン肉マン #今年40周年 #タワーブリッジ #ロビンマスク #ゆでたまご pic.twitter.com/Sv8txqANGG
— ゆでたまご嶋田 (@yude_shimada) August 25, 2019
ゆでたまご嶋田氏のX(@yude_shimada)に2019年8月26日付けで投稿された写真。中井義則(右)の手には、マッドマスターが確認できる。
瓦礫や土砂が山積・散乱する災害現場のような極限状況下での使用をも想定したG-SHOCKの「マッドマスター」シリーズ。その名の通り、泥(マッド)にも負けない堅牢さを誇るモデルだ。その電波ソーラーモデルを愛用している推定できるのが、作画担当の中井義則である。
土砂や泥濘の中など過酷な環境下でも対応できるよう、ボタンやシャフトに多数内装したガスケットで泥の侵入を防ぐのが特徴である。また電動カッターや粉砕機といった大型機材から受ける振動にも耐える構造が採用され、トリプルセンサーによる方位・気圧・高度・温度情報取得も可能としている。
キン肉マンの作画者という立場を隠して現在も絵画教室に通うなど、不断の努力を続ける中井義則の琴線に触れたのは、高い実用性とあらゆるタフな環境でも信頼に足る相棒となる一本だった。
G-SHOCK「マッドマスター GWG-1000-1A3JF」
タフソーラー。樹脂×SSケース(直径56.7mm、厚さ18mm)。20気圧防水。9万6800円(税込み)。(問)カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925
小学生時代から漫画家になる夢を追い続け、その夢を実現させたゆでたまごのふたり。彼らが愛用する腕時計は、高機能ウォッチの最先端を行く、国産2モデルだ。その腕時計と「キン肉マン」には、興味深い共通点がある。
嶋田隆司が選んだセイコー アストロンは、世界中どこにいても正確な時を刻み続ける。これは、キン肉マンが世代を超えて、常に読者の心に寄り添い続けていることと重なる。一方、中井義則の愛用するG-SHOCKは、どんな困難な状況下でも機能し続ける強靭さを持つ。これは、キン肉マンの主人公たちが、どんな苦境に立たされても決して諦めず、最後まで戦い抜く姿勢を思わせる。
ゆでたまごのふたりが選んだ腕時計は、彼らの作品を体現しているかのようだ。読者に信頼され、時代とともに歩み、そしてキャラクターたちは常に困難に正々堂々立ち向かう。これらの要素こそが、45年間愛され続けるキン肉マンの存在理由なのかもしれない。彼らの腕に輝く腕時計は、その創作哲学を静かに物語っている。
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