年次カレンダーの視認性革命

2017.04.13

インデックスに寄り添い、あるいはインデックスを兼ねる3つの表示窓は、その形状もインデックスの角度に合わせて扇形に設えられ、ダイアル全体のデザインと調和をなす。日付表示窓の上にはふたつのピラミッド型のアワーインデックスをさりげなく置いているのも心憎い。ツートンのカラーリングもシックで、落ち着きある佇まいを見せる。
吉江正倫:写真 Photographs by Masanori Yoshie
髙木教雄、広田雅将:取材・文 Text by Norio Takagi, Masayuki Hirota

年次カレンダーを、ただ永久カレンダーの簡略版などと、ゆめゆめ思ってはならない。パテック フィリップは、まったく新たにこの機構を設計したのだから。
そのメカニズムは、メインレバーを用いずに、多くを歯車によって駆動させることを、パテック フィリップは選び取った。
設計者の多くが嫌う、歯車の増加をあえて選んだのは、生産性に優れ、また機構自体をコンパクトにできるから。
結果、日・月・曜日の各表示窓は、ダイアル外周ぎりぎりにまで寄せられて、大きく開けられ、高い視認性と審美性とを両立させた。