男性のためのカルティエとは? お勧めの腕時計を5本紹介

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2025.09.02

カルティエの現行コレクションより、男性にお勧めしたいモデルを5つ紹介する。ジュエリーウォッチや女性向けの華やかなモデルのイメージが強いカルティエ。しかし、同社は世界で初めて実用的な腕時計「サントス」を製作したことをはじめ、時計史に名を残す男性向けの傑作モデルを数多く生み出してきたブランドでもある。今回は、華やかさと実用性を兼ね備えるカルティエのメンズウォッチに焦点を当てる。

野島翼:文
Text by Tsubasa Nojima
[2025年9月2日公開記事]


歴史を刻んできた、男性に愛されてきたカルティエの腕時計

 世界的なジュエラーとして名を馳せるカルティエ。同社は同時に、専業ブランドにも劣らぬ実力派の時計ブランドでもある。煌びやかなジュエリーウォッチをはじめ、女性向け腕時計の印象が強いカルティエだが、メンズウォッチでも数多くの名作を生み出してきた。

 1904年にブラジル出身の飛行士、アルベルト・サントス=デュモンのために三代目当主であったルイ・カルティエが考案し、やがて世界初の量産腕時計ともなった「サントス」や、戦車をモチーフとしてデザインされ、アメリカ軍のジョン・パーシング将軍に贈呈された「タンク」など、同社のコレクションには、歴史を刻んできた男性に愛用されてきたものも少なくない。

 今回は、カルティエの現行コレクションより、男性にこそ着用してほしい、5つのモデルを紹介する。上品さと実用性を兼ね備える傑作とともに、日々を華やかに彩ってみてはいかがだろうか。

「サントス ドゥ カルティエ」Ref.WSSA0071

カルティエ サントス ドゥ カルティエ

Antoine Pividori © Cartier
カルティエ「サントス ドゥ カルティエ」Ref.WSSA0071
スポーティーさを感じさせる、マルチパーパスウォッチ。深いブルーのダイアルが上品な印象をもたらす。自動巻き(Cal.1847 MC)。23石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(縦47.5×横39.8mm、厚さ9.38mm)。10気圧防水。130万6800円(税込み)。

 飛行士であったアルベルト・サントス=デュモンが、航空機の操縦中にポケットウォッチを取り出すことなく時刻を確認できるよう、ルイ・カルティエへ相談したことで1904年に誕生した「サントス」。黎明期の腕時計が懐中時計にラグを溶接したものであったことを考えると、スクエア型のケースと、ケースに一体化したラグを備えたサントスは、最初から手首に装着することを前提として設計されたエポックメイキングなモデルであった。1911年にはサントスの市販が開始され、以降、さまざまな派生モデルが誕生する。

 2018年に登場した「サントス ドゥ カルティエ」は、オリジナルのデザインを踏襲しつつも、随所にスポーティーさを忍ばせた万能なモデルだ。ローマ数字インデックスにバトン型の時分針を組み合わせたエレガントなダイアルに、リュウズガードを備えたシャープなケースを組み合わせ、10気圧もの防水性も相まってオンオフどちらでも使いやすい。

 ステンレススティールブレスレットには、簡単にコマを抜き足しすることができるスマートリンクシステムと、ボタンを押下するだけでケースとブレスレットを分離させることができるクイックスイッチシステムを搭載。ブルーのアリゲーターレザーストラップが付属し、工具を使うことなくブレスレットと交換することが可能だ。

「サントス デュモン」Ref.WSSA0032

カルティエ サントス デュモン

Vincent De La Faille © Cartier
カルティエ「サントス デュモン」Ref.WSSA0032
ドレッシーなデザインが魅力のサントス デュモン。手巻きムーブメントを搭載し、リュウズを用いて主ゼンマイを巻き上げる操作を楽しむことができる。手巻き(Cal.430 MC)。18石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(縦46.6×横 33.9mm、厚さ7.5mm)。日常生活防水。109万5600円(税込み)。

 アルベルト・サントス=デュモンが愛用した初代サントスのデザインを色濃く受け継ぐモデルが、「サントス デュモン」だ。細身のローマ数字インデックスやすっきりとしたケースデザインなど、サントス ドゥ カルティエよりもさらにドレッシーな印象に仕上がっている。

 シルバーのダイアルは、ノンデイト仕様。シンプルな中に、青焼きのバトン型時分針がアクセントを添えている。レイルウェイミニッツトラックなど、アールデコ調のデザインも魅力だ。ステンレススティール製のケースは、ミドルケースをヘアラインに、ベゼルをポリッシュに仕上げることでメリハリを利かせている。パール状の装飾が施されたリュウズには、シンセティックのブルーカボション スピネルがセットされている。

 本作が搭載しているムーブメントは、手巻き式のCal.430 MC。ケースの薄型化を実現していることに加え、毎日主ゼンマイを巻き上げる楽しみも味わうことができる。

 ベルトはアリゲーターレザーストラップにアルディロンバックルを組み合わせ、クラシカルな仕様にまとめられている。

「タンク マスト」Ref.WSTA0054

カルティエ タンク マスト

Vincent Wulveryck © Cartier
カルティエ「タンク マスト」Ref.WSTA0054
シンプルなデザインを特徴とする「タンク マスト」。バーガンディーカラーのラッカーダイアルが魅力。クォーツ。SSケース(縦33.7×横25.5mm、厚さ6.6mm)。日常生活防水。57万2000円(税込み)。

「タンク」コレクションの中でも、より初代モデルに近いデザインを持つ「タンク ルイ カルティエ」。そのタンク ルイ カルティエにインスピレーションを得て誕生したのが、「タンク マスト」だ。縦横のバランスや無駄のないミニマルなデザインに共通点が見られる。

 複数のバリエーションが存在するタンク マストだが、ここで紹介するのはバーガンディーカラーのラッカーダイアルを備えたモデル。ダイアル上にはインデックスがなく、時分針とロゴのみが配されている。秒針もなく、正確な時刻を知ることは難しい。しかし、スマートフォンやパソコンなど、至る所に時計が存在する現代だからこそ、ゆったりとした時間を感じることのできる本作には独特の魅力が宿っている。

 ケースはステンレススティール製。内部にはクォーツムーブメントが搭載されている。リュウズトップを飾るのは、シンセティックスピネルだ。

 ストラップは、ダイアルと同色のアリゲーターレザーストラップ。カルティエを象徴するアルディロンバックルが装着されている。

「タンク マスト」ソーラービート™ Ref.WSTA0122

Antoine Pividori © Cartier
カルティエ「タンク マスト」ソーラービート™ Ref.WSTA0122
高効率な光起電発電のソーラービート™ムーブメントを搭載したモデル。ダイアルに設けられた微細な穴から光を取り込み、動力としている。光発電クォーツ。SSケース(縦33.7×横25.5mm、厚さ6.6mm)。日常生活防水。61万500円(税込み)。

 タンク マストのバリエーションのひとつ、「タンク マスト」ソーラービート™は、光起電発電のソーラービート™ムーブメントを搭載したモデルだ。定期的な電池交換が不要であることは、ランニングコストが抑えられるだけではなく、環境にもやさしい。

 一般的にソーラーウォッチは、ダイアルから光を取り込むため、光を透過しやすいプラスティック製のダイアルを採用することが多い。しかし本作では、ダイアルに全面的に配した微細な穴から採光するため、従来と変わらぬ高級感のあるダイアルを実現することに成功している。

 直線を基調としたタンクらしいデザインのケースには、スポーティーなステンレススティールブレスレットが組み合わされ、日常使いにも便利だ。レザーストラップを装着したモデルもラインナップされ、よりドレッシーなデザインが好みの場合は、そちらも検討すると良いだろう。もちろん、ベルトを単品で買いそろえ、付け替えることも可能だ。

 パール状の飾りが付いたリューズには、シンセティックスピネルがセットされ、ブルーの時分針に調和している。

「バロン ブルー ドゥ カルティエ」Ref.WSBB0060

カルティエ バロンブルー

Eugénie Baschet © Cartier
カルティエ「バロン ブルー ドゥ カルティエ」Ref.WSBB0060
まるで風船のような優雅なフォルムが魅力の「バロン ブルー ドゥ カルティエ」。一味違ったカルティエを求めている方にもぴったりだ。自動巻き(Cal.1847 MC)。23石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径40mm、厚さ12.4mm)。日常生活防水。114万8400円(税込み)。

 フランス語で風船を意味する“バロン”。「バロン ブルー ドゥ カルティエ」は、その名の通り風船のようなフォルムを与えられたモデルだ。カルティエらしさを感じさせつつも、サントスやタンクとは一味違った魅力を持つ。

 放射状に光が走るサンレイブラッシュ仕上げを施したダークグレーのダイアルには、ローマ数字インデックスとバトン型の時分針、日付表示が配されている。3時側は、まるでリュウズに押し出されたようなデザインが与えられ、躍動感を感じさせる。

 ケースも同様に、3時位置に膨らみを持たせたデザイン。全体的に丸みを帯びた形状は、まさに風船と表現するにふさわしい。ステンレススティールブレスレットは、H型のリンクを組み合わせたデザイン。ワンタッチでケースから取り外すことが可能なインターチェンジャブルシステムが搭載されている。

 ムーブメントは、機械式自動巻きのCal.1847 MCを搭載している。シリコン製の脱進機による優れた耐磁性と、リシュモングループ内各社のベースムーブメントにも選ばれている高い信頼性が特徴のムーブメントだ。

Contact info:カルティエ カスタマー サービスセンター Tel.0120-1847-00


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