〝定番〟ダイバーズウォッチの美点。エドックス「ネプチュニアン」を着用レビュー

2025.07.29

エドックスのダイバーズウォッチ、「ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック」の日本限定モデルを着用レビューする。腕時計の人気ジャンルであるダイバーズウォッチは各社がしのぎを削っており、ユーザーにとって選択肢は非常に豊富だ。中には独創的なデザインや、陸では使わないであろう超スペックを有したモデルも存在している。対してダイバーズウォッチの“定番”な要素が詰まっているのが本作だ。定番であるがゆえの美点を知ることのできる、本作を海辺と街中で、レビューしていく。

エドックス ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック

鶴岡智恵子(クロノス日本版):写真・文
Photographs & Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2025年7月29日公開記事]


エドックスの“定番”ダイバーズウォッチ、「ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック」

 腕時計と一口に言っても、機能やデザインなど、さまざまだ。そんな中でダイバーズウォッチは、非常に人気が高い。各社が力を入れており、多種多様なモデルが時計市場に出回っている。例えば深海での使用を想定したような超スペックを有していたり、反対に高級な仕上げや装飾、あるいはオシャレなデザインといった、街中で映えるスタイルを備えていたりといったモデルだ。“THE WATER CHAMPION”を標榜するエドックスもまた、豊富なダイバーズウォッチを用意している。1000mの防水性能を持つ「ネプチュニアン オートマティック」やクロノグラフ機能を搭載した「クロノオフショア1」は、スペックや意匠の面で、強いインパクトを与えるダイバーズウォッチだ。一方の「ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック」は、比較的“定番”な要素を備えている。ガツンとインパクトのある超ユニークな腕時計というわけではないけれど、定番だからこその美点がたくさん詰まった本作を、海と街中で使ったので、そのディテールや着用感を読者に伝えたい。

ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック

エドックス「ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック」Ref.80801-3BUCA-BUIN
自動巻き(Cal.808/ラ・ジュー・ペレ G100)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約68時間。SSケース(直径42mm、厚さ12.3mm)。300m防水。30万8000円(税込)。


“定番”なスタイルを楽しむ

「定番」とは、「流行や季節に左右されずに売れる定番商品」といった意味で、ダイバーズウォッチもまた、そんな定番商品であろう(夏のイメージは強いけれども)。そのダイバーズウォッチの中で、ユニークであったり、ハイエンドに振っていたりするモデルでも定番はあるし、今後も売れ続けていくことが容易に推測できる名作は、枚挙にいとまがない。一方で「ダイバーズウォッチと言えばコレだよね」といった、ベーシックなデザイン・機能のものの方が、定番商品としての性格は強い。そしてネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティックは、その定番色がとても強いダイバーズウォッチだと思う。

エドックス ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック

直径42mm、厚さ12.3mmと、メンズ向けダイバーズウォッチとしてのサイズ感もスタンダードな本作。ラバーストラップがしなやかで、手首にフィットさせやすかったため、女性の自分にとっても着用感は悪くなかった。ストラップをカットしてもらったので、剣先の余りも少なめ。

 理由は、ロレックスやオメガ、セイコーといった、長らく定番のダイバーズウォッチを手掛けてきたブランドの製品との、スタイル的な共通点が多いと感じるためだ。例えば逆回転防止ベゼルにガードを備えたねじ込み式リュウズ、小ぶりすぎない40mm径以上のサイズのケースなどは、昔から親しまれてきたダイバーズウォッチの様式だ。本コレクションにはいくつかのカラーが展開されており、ホワイト×ライトブルーという定番外しの配色のモデルがあるものの、本作の濃いブルーはダイバーズウォッチとしてはオーセンティックである。加えてツヤのあるラッカー文字盤や発色の良いベゼルが、やはり昔ながらの仕様を感じさせる。

 私もダイバーズウォッチが昔から好きで、前述したロレックスの「サブマリーナー」などは憧れてきた。だから、そんな定番のダイバーズウォッチと同じスタイルを持った本作をインプレッションする機会を得た時は、正直ラッキーと思ったものだ。なお、誤解のないように記しておくと、あくまでスタイルが同じというだけで、価格や年代、デザインの違いはもちろん、それぞれのモデルである。しかし、一目でダイバーズウォッチであると物語るそのスタイルはアイコニックで、百花繚乱な現代ダイバーズウォッチ市場の中で、共通点と言って良いように思う。また、“定番”だけあり普遍的なスタイルとなっており、自分自身が抱いてきたダイバーズウォッチへの所有欲が、今回のインプレッションによって、かなり満たされたことも事実である。

エドックス ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック

ソリッドバックなことも、昔ながらのダイバーズウォッチといった様相だ。また、本作の裏蓋にはコレクション名の由来にもなった、海の神・ネプチューンの刻印があしらわれている。ねじ込み式のため、メダリオンの向きは個体によって異なる。


高級感のあるディテールを良心的な価格設定で

 定番スタイルであることとともに、本作の大きな美点が、良心的な価格設定だ。税込みで30万8000円なのだ。世界的なインフレに伴う原材料の高騰や為替によって、高級腕時計、特に輸入品の価格は右肩上がりに上昇を続けている。本作のように30万円ちょっとで「良いダイバーズウォッチを買おう」と思うと選択肢はなかなかなく、スイスメイドであれば、さらに狭まってしまう。そんな中で本作は、ある意味稀少な存在と言えるだろう。

 ただ安いだけではなく、高級感のあるディテールを備えていることもポイントだ。前述したツヤのあるラッカー文字盤や、その文字盤と同色のベゼルは光沢があり、手元で分かりやすい存在感と高級感を放っている。

エドックス ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック

デイト表示の小窓の枠も切りっぱなしではなく、処理されている。デイトディスクがブルーだとデザインに統一感があるように思いつつ、白バックの方が判読性には優れている。

 個人的にこの文字盤でお気に入りのポイントが、見返し部分。文字盤と同色で、さらになだらかな傾斜が付けられている。この仕様は文字盤のブルーが途切れずにベゼルにかけてつながり、一体感のあるデザインを生み出している。

 インデックスや針にそこまでの立体感はないものの、ダイバーズウォッチらしい大きな、見やすい針やインデックスが載せられており、また、文字盤やベゼル同様に光沢を放っているため、この点も高級感を覚えやすく、好ましい。

 ちなみに今回、この腕時計をお供に、マレーシアのランカウイ島を旅した(参考:https://www.webchronos.net/blog/141131/)。エドックスの正規輸入代理店であるジーエムインターナショナルの某PR担当者に、「傷とか気にしなくて良いので、ぜひ海に連れて行ってみてください」と依頼され、ちょうどリゾート旅行を計画していたため(ひとりリゾートの模様)、本作を滞在中に着用していたのだ。

 ランカウイ島はのどかな景観が残りつつも、リゾート地として開発されており、高級リゾートホテルやオシャレなレストランが点在している。私もプライベートビーチや屋外プールのあるリゾートホテルでのんびりと過ごし、夜はちょっと良いディナーを楽しむこともあった。そんな時、程よい高級感がある本作は、重宝した。大ぶりでスポーティーなデザインであるため、ガチガチのドレスコードにはそぐわなかったと思うが、リゾートステイのためのちょっとオシャレなワンピースなんかには合わせやすかったのだ。半面、価格的にもダイバーズウォッチという性格的にも、暑くて湿気が多く、ゲリラ豪雨も珍しくない東南アジアで使うのにうってつけだった(借り物なので、さすがに気を遣ったが)。なお、今回インプレッションした日本限定モデルはラバーストラップのみの展開だが、本コレクションにはブレスレットモデルもラインナップされており、シーンや好みに合わせた1本を選びたい。

エドックス ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック

“定番”な見た目が刺さり、いろいろな場所で隙あらばリストショットを撮影してしまった。


使い心地はいかに?

 今回の着用者である私は、手首回り14.7cmの女性だ。対してメンズが多いであろう、直径42mmケースのダイバーズウォッチである本作は、着用感があまり良くないのではないかと、当初思った。直径のみならず、全長も長めであるためだ。しかし本作のラバーストラップがしなやかで、手首にフィットさせることで良好な着用感を得ることができた。調整用の穴も多めのため、幅広い手首回りに合わせられるだろう。もっともやはり私にとっては長すぎたため、12時側の方のストラップをカットしてもらった。

エドックス ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック

個人的にこのラバーストラップで好ましかった点が、ラバーにありがちなペタペタ感が少なかったこと。ゴミも付着しにくかった。もっともラバーは簡単に洗えるので、ゴミや汗で汚れたら洗浄しよう。

エドックス ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック

ラグは長めであるため、着用時にケースが手首幅からはみ出すことはあった。しかしダイバーズウォッチとしては厚すぎず、本文でも記しているように手首にフィットさせることで、着用時に疲れたり、異物感を覚えたりすることはなかった。

 実用性に優れていたことも、本作を使って強く感じた。ちなみにモデル名に付けられた“グランデリザーブ”は「大きいパワーリザーブ」を意味している。本作が搭載するラ・ジュー・ペレ製のムーブメントをベースとしたCal.808のパワーリザーブは、約68時間。現代のスタンダードとしてはすっごく長いというわけではないが、セリタのSW200をベースとしたCal.EDOX80を搭載する「ネプチュニアン オートマティック」が約38時間のパワーリザーブということを考えれば、かなり延長されている。実際、土日に腕時計を着けず、月曜日の朝に手に取った時、まだ動いていて時刻合わせの必要がないというのは、思いの外便利だ。

 細かな精度の実測はしなかったが、本作をPR担当者から受け取る時、「秒単位まで合わせておきました!」と言われ、そのまま1日程度放置(24時間は経過していない)していた状態で、誤差は-1秒だった。優れた静態精度だ。

 ダイバーズウォッチらしい防水性や堅牢性のほかにも、高い実用性を備えた腕時計であった。


いっそうの“定番”ダイバーズウォッチとして

 エドックスが今年リリースした「ネプチュニアン グランデ リザーブ デイト オートマティック」の、日本限定モデルを着用レビューした。

 ベーシックなダイバーズウォッチのスタイル、そして良心的な価格設定は、選択肢が多彩になっているからこそ、そしてインフレが著しいからこそ、今後さらに“定番”としての印象を強め、万人受けする腕時計として普及していくように思う。「独創的なダイバーズウォッチ」「超高級ダイバーズウォッチ」にも美点はあまたあるが、もしこの記事を読んでくれた時計ユーザーで、気軽に、そして長く使えるダイバーズウォッチを探しているなら、本作を選択肢としてお勧めしたい。



Contact info:ジーエムインターナショナル Tel.03-5828-9080


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