G-SHOCKの最高峰ライン、「MR-G」にはどんな種類があるの?

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2025.08.14

豊富なバリエーションを擁するG-SHOCKの中でも、「MR-G」は最上位ラインに位置付けられたコレクションだ。高い品質が突き詰められているのみならず、日本らしい美意識や、G-SHOCK由来の“強さ”の表現が息づくその顔触れは、大人が着用するG-SHOCKとして申し分ない品格を備えている。本記事ではそのラインナップを構成する、代表的なシリーズを紹介。それぞれの特徴や魅力についてひもといていく。

新居賢人:文
Text by Kento Nii
[2025年8月14日公開記事]


G-SHOCKの最高峰!「MR-G」とは?

 それまでの腕時計の常識を打ち破る「落としても壊れない丈夫な時計」として誕生したG-SHOCK。その最上位に当たる「MR-G」は、1996年に登場した。

 現行のMR-Gは、メタルケースと高い耐衝撃性の両立という設計思想を「フルメタル」G-SHOCKや「MT-G」と共有しつつも、独自の魅力を獲得している。その魅力の最たるものが、日本に根差したものづくりを柱とする、構造や素材、色、仕上げに至るまでの徹底したクォリティの追求だ。ザラツ研磨を施すことでゆがみなく磨き上げられたチタン製ケースや、日本の武具や建築がテーマとなった力強いデザインなどは、その好例と言える。

 また、MR-Gのタフネスを維持するための構造も、その特徴に数えられる。例えば、パーツを細分化して緩衝材を組み込む構造である「マルチガードストラクチャー」は、堅牢性を高めると同時に、パーツの隅々まで美しい仕上げを施すことにも寄与している。さらに、リュウズとプッシャーを一体型のガードパーツで保護する「クラッドガード構造」は、堅牢性と操作性を両立するものとなっている。

 こうした独自の価値を持つMR-Gは、あらゆる面で最高水準を目指した、まさにG-SHOCKのフラッグシップと呼ぶにふさわしい存在である。なお、電池交換の手間が少ない「タフソーラー」や、世界6地域に対応する標準電波受信機能である「MULTIBAND6」、Bluetoothを用いたスマートフォンとの連携機能を搭載するなど、MR-Gは機能面も万全となっている。


「MR-G」の代表的なコレクション

 現行のMR-Gのラインナップには、“オリジン”と呼ばれる初代G-SHOCKや、八角形のベゼルを特徴とする「2100」といったアイコニックなコレクションをベースとしつつ、MR-Gのクォリティで再構築したモデルも登場している。以下に、その多彩な顔触れの中から、代表的なコレクションをピックアップして紹介する。

 なお、本記事ではレギュラーモデルをメインに紹介するが、定期的にリリースされる限定モデルも高級時計市場で高いプレゼンスを示している。特に、職人による手作業で特別な意匠が与えられたモデルは、その製造工程ゆえに販売数が少なく、発売後すぐに完売することもある。

日本の伝統色を取り入れた「MRG-B2000」

 MR-Gの定番として知られるのが、この「MRG-B2000」シリーズである。本シリーズ最大の魅力は、日本の伝統的な強さの象徴をデザインに昇華させている点だ。古来、武士などから縁起が良いとされてきた「勝色(かちいろ)」や、「赤備え(あかぞなえ)」といった色合いを時計のカラーリングに採用し、モデルによっては、日本刀の刃紋や屏風を想起させる装飾をダイアルやストラップに施すなどして、日本に根差したものづくりを大胆にデザインへと反映しているのである。

 また本シリーズは、「MRG-G1000B」で構築された、甲冑をイメージさせるデザインをベースとしている。4本のビスを持ち、差し色で彩られたその佇まいは、力強く華やかな印象だ。さらに、再結晶チタンを用いたベゼルを有するモデルなど、バリエーションが豊富に展開されている点も魅力に数えられる。

MRG-B2000BG-3AJR

G-SHOCK「MRG-B2000BG-3AJR」
タフソーラー。フル充電時約26カ月(パワーセーブ時)。Tiケース(縦54.7×横49.8mm、厚さ16.9mm)。20気圧防水。38万5000円(税込み)。

 Ref.MRG-B2000BG-3AJRは、甲冑や刀剣に用いられる鉄が熱された際に表れる、暗い青緑色を指す“鐵色(くろがねいろ)”をモチーフとしたモデルだ。インダイアルにグリーンを配色し、ケースとブレスレットにカシオ独自のグリーンDLC処理が施されたことで、テーマカラーが腕時計全体で表現されている。また、ゴールドの差し色や、ダイアルに施された亀甲紋様が目を引く、細部まで強さと華やかさが感じられる1本に仕上げられている。

“オリジン”を継承する「MRG-B5000」

「MRG-B5000」は、G-SHOCKの初代モデル「DW-5000C」を、MR-Gのコンセプトに基づき再構築したシリーズである。

 本シリーズでは、細分化したケースの部品の間にフッ素ラバーの緩衝材を組み込む「マルチガードストラクチャー」構造を採用することで、チタン製でありながらもオリジナルの複雑な角形シェイプを再現。さらに、細分化されたパーツがそれぞれ磨き上げられてから組み上げられることで、なじみ深い“オリジン”のフォルムに、メタルの輝きがもたらされている。

 ちなみにその外装では、異なる特性を持つ素材が使い分けられている。モデルによって、純チタンの約4倍の硬度とプラチナ同等の輝きを誇る超硬合金「COBARION®(コバリオン)」や、堅牢なチタン合金「64チタン」、純チタンの約3倍の硬度を持つ「DAT55G」などが使用されており、堅牢性と美観の追求に余念が見られない。

MRG-B5000B-1JR

カシオ「MR-G」Ref.MRG-B5000B-1JR
タフソーラー。フル充電時約10カ月稼働(パワーセーブ時約22カ月稼働)。Tiケース(縦49.4×横43.2mm、厚さ12.9mm)。20気圧防水。49万5000円(税込み)。

 ラインナップのひとつRef.MRG-B5000B-1JRもまた、初代モデルを忠実に再現しつつ、MR-Gとした1本だ。ケースとブレスレットには深層硬化処理とDLCコーティングを施し、全体をオリジナルの樹脂ケースを思わせるブラックで統一。加えて、液晶の周囲のレンガパターンや、フェイスの赤いライン、特定の文字の配色も初代のデザインを踏襲しており、リバイバルモデルとしても完成度の高い1本と言える。

シンプルなのにアイコニックな「MRG-B2100」

 「MRG-B2100」も、MRG-B5000と同様に、アイコニックなG-SHOCKのフォルムをMR-Gのクォリティで再現したシリーズである。本シリーズでは、“カシオーク”の愛称で知られる「2100」のデザインをベースに採用。象徴的な八角形のベゼルはそのままに、もうひとつの特徴であるケースの薄さを維持しながら、各要素をMR-Gとしてアップデートしている。

 ダイアルには、日本の伝統的な建築技法である「木組」をモチーフとした幾何学模様を持つ。この模様は、タフソーラーのための採光口としての役割も兼ねており、立体感の演出と機能性を兼ねたデザインとなっている。一方で、オリジナルにあったデジタル表示は省略されており、他のMR-Gと比較すると、その表情はシンプルな印象だ。

 ベゼルは、27ものパーツに細分化され、ひとつひとつが研磨された後に組み上げられており、八角形のフォルムがよりシャープに際立っている。また、MRG-B5000と同様に、外装の部品ごとに素材が使い分けられており、ベゼル天面にはCOBARION®、ブレスレットのコマにはDAT55G、ケースには64チタンが使用されている。

カシオ「MR-G」Ref.MRG-B2100D-1AJR

G-SHOCK「MRG-B2100D-1AJR」
タフソーラー。フル充電時約22カ月駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(縦49.5×横44.4mm、厚さ13.6mm)。20気圧防水。57万2000円(税込み)。

 Ref.MRG-B2100D-1AJRは、金属の質感を生かしたシルバーカラーを基調とした、高級腕時計らしい風格を漂わせるモデルだ。レッドの差し色が映えるブラックダイアルも精悍かつシンプルで、着用するシーンを選ばない表情を見せている。また、ケースとブレスレット表面にはチタンカーバイト処理が施されており、優れた発色と耐摩耗性が与えられている。

“フロッグマン”をチタンで表現した「MRG-BF1000」

 G-SHOCKのプロフェッショナルラインである「MASTER OF G」に属する “フロッグマン”は、ISO規格に準じた200m防水を備えるダイバーズウォッチである。これをベースとした「MRG-BF1000」は、象徴的な左右非対称のケースデザインや、優れた堅牢性を維持しつつ、MR-Gとしてリビルドされたシリーズだ。

 本シリーズでも、外装が70を超えるパーツに細分化されてから組み上げられており、丁寧な磨き上げと複雑なケース形状の両立が図られている。さらに、パーツ間に気密性を確保するOリングや緩衝体が組み込まれたことで、200m防水がそのまま継承されている。

 また、機能面も充実しており、潜水時間と水面休息時間表示するダイブモードや、潮汐情報と現地時刻を表示するタイドグラフモードが利用できる。加えて、純チタン性の裏蓋の中央部にはサファイアクリスタルが圧入されており、内蔵アンテナの電波受信を妨げない設計となっている。

MRG-BF1000B-1A

G-SHOCK「MRG-BF1000B-1AJR」
タフソーラー。フル充電時約29カ月(パワーセーブ時)。Tiケース(縦56×横49.7、厚さ18.6mm)。200m防水。69万3000円(税込み)。

 ピックアップしたのは、現行MRG-BF1000シリーズの中で唯一メタルブレスレット仕様のRef.MRG-BF1000B-1AJRである。ブラックを基調とし、インダイアルや秒針、リュウズの一部にレッドを配色した、マッシブなサイズ感に見合う力強いデザインが魅力の1本だ。裏蓋のサファイアクリスタルにはテーマカラーであるレッドの蒸着処理が施されており、その中央にはフロッグマンのアイコンであるカエルのキャラクターが刻印されている。

ミッドサイズの「MRG-B1000」

 MR-Gの中でも「MRG-B1000」は、独自の小型化技術によって実現した、小ぶりなケースサイズを特徴とするミッドサイズのシリーズだ。

 本シリーズは、日常的な実用性に着目して設計されており、ダイアルも比較的ミニマルなデザインを採用している。その一方で、先述のMRG-B2000のように、日本古来より受け継がれてきた強さの象徴がデザインの随所に取り入れられており、墨色や勝色をカラーテーマとしたモデルも登場している。オンオフ問わず着用できる、便利なMR-Gと言えるだろう。

 また、小ぶりながら、Bluetoothによるスマートフォン連携機能をはじめ、世界6局の標準電波を受信する「マルチバンド6」や、光で駆動する「タフソーラー」などを搭載しており、機能面も万全だ。価格もMR-Gの中では比較的手頃であるため、エントリーモデルとしての適性も高いシリーズである。

MRG-B1000D-1A_JR

G-SHOCK「MRG-B1000D-1AJR」
タフソーラー。フル充電時約18カ月(パワーセーブ時)。Tiケース(縦52.2×横46.2mm、厚さ14.6mm)。20気圧防水。31万9000円(税込み)。

 Ref.MRG-B1000D-1AJRは、チタンカーバイト処理によって発色の良い金属光沢が与えられた、鎧や刀などの武具をイメージさせる1本だ。ベゼルには、耐摩耗性を高めるDLC処理が施されており、本作の精悍な印象がより高められている。また、ダイアル上のレッドのアクセントは、強さの象徴とされてきた、甲冑の装飾である赤絲縅(あかいとおどし)をイメージさせるものとなっている。



Contact info:カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925


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