伝統と革新の融合 / オーデマ ピゲ 13年の研究成果が結実した 革新に伝統が息づく唯一無二のミニッツリピーター

2017.08.17

ジュール オーデマ・ミニッツリピーター・スーパーソヌリの文字盤には、高温焼成されたグラン・フーエナメルダイアルが採用される。ブルーのグラデーションが文字盤に深みを与えると同時に、エナメルダイアルらしく、文字盤にくっきりと映り込んだ針の陰影が誇らしくもある。ローマ数字とバーインデックスもホワイトエナメルを重ねたものだ。

裏蓋にはオーデマ ピゲが創業以来、本社を置く、ル・ブラッシュ一帯のジュウ渓谷で活躍する時計師が象徴的に刻印される。


 2015年、オーデマ ピゲは、13年に及ぶ研究開発の成果として「ロイヤル オーク コンセプト RD#1」を発表し、そのよく響く音色で時計ジャーナリストや愛好家に驚きを与えた。これは実際に耳にしてみないと容易には理解できないだろうが、音量自体が単に〝大きい〟というのとは違う、まさしくよく〝響く〟と形容するにふさわしい音色であった。しかもミニッツリピーターの多くが、硬いものの上に置くと比較的大きな音色を奏でるが、実際に腕に装着するとまったく響かず、音が小さくなってしまうという傾向がある中で、オーデマ ピゲは、腕に着けても音が小さくならず、むしろよく聴こえるという特徴を持っていた。

 翌16年には、このプロトタイプが製品化され、「ロイヤル オーク コンセプト・スーパーソヌリ」として正式に市場に投入された。そして今年のSIHHでは、従来のロイヤル オークではなく、オーデマ ピゲのクラシカルな伝統を受け継ぐ、ジュール オーデマのコレクションから「ジュール オーデマ・ミニッツリピーター・スーパーソヌリ」として装いも新たに発表された。それは、他社には真似のできない独自のミニッツリピーター機構をいっそう強調するためか、前2作では併載されていたトゥールビヨンとクロノグラフが省略され、クラシカルに振ったデザインと併せ、より純度を高めたミニッツリピーターとしてお目見えした。

ジュール オーデマ ミニッツリピーター・スーパーソヌリ
ロイヤル オークをベースに開発された2015年発表のコンセプトモデルRD#1と、翌16年に市場投入された「ロイヤル オーク コンセプト・スーパーソヌリ」から、トゥールビヨンとクロノグラフを省略して、ミニッツリピーターに純化した新作。手巻き(Cal.2944)。35石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。Pt(直径43mm、厚さ13.15mm)。20m防水。ブティック限定モデル。時価。