チャペックは、ラトラパンテ(スプリットセコンドクロノグラフ)を搭載した新作モデル「アンタークティック・ラトラパント “R.U.R.”」を披露した。チェコの作家カレル・チャペックが1921年に発表した戯曲『R.U.R. - ロッサムの万能ロボット』を着想源とし、クロノグラフの動きに合わせて目の色が変わるロボットヘッドを組み込んだ、独創的なタイムピースである。世界限定で77本のみが販売される。

Text by Kento Nii
[2025年9月9日公開記事]
ダイアルで躍動するラトラパンテ機構とロボット
チャペックは、アイコニックな「アンタークティック」コレクションの新作として、「アンタークティック・ラトラパント “R.U.R.”」を披露した。本作は、1921年にチェコの作家カレル・チャペックが戯曲『R.U.R. - ロッサムの万能ロボット』を発表したことを着想源とする。戯曲には後に英語の「ROBOT(ロボット)」となる、チェコ語の「roboti」が用いられており(初期原稿ではラテン語の“labori”であったが、兄ヨゼフの提案でチェコ語のものに変更されたとのこと)、人造人間が人間に反乱を起こすこの物語を通し、科学技術がもたらす非人間化への警鐘を鳴らした作品であったことから、現在のロボットが持つ人型機械の意味を浸透させたもののひとつとなった。

自動巻き(Cal.SHX6)。49石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径42.5mm、厚さ15.3mm)。120m防水。世界限定77本。予価1485万円(税込み)。
本作は、従来の「アンタークティック」のラトラパント搭載モデルと同様に、ダイアル側にラトラパント機構を持つムーブメントが採用されている。さらに、独創的かつ遊び心が感じられるディテールが随所に盛り込まれ、表情に近未来的なロボットのモチーフが大胆に反映されている。

デザインの核となるのが、12時位置のクロノグラフ用のコラムホイール上に鎮座する、チタン製のロボットヘッドだ。このミニチュアは、チャペックのパートナーであるMD’Artが製作したもので、切削、手仕上げ研磨、レーザーエングレービングによって精密に作り上げられている。また、その目は3色のネオンカラーで手作業によってペイントされており、クロノグラフの駆動と合わせて色が切り替わるメカニズムを有している。

ムーブメントは、クロノードと共同開発した自動巻きのCal.SHX6を搭載。ダイアル側からは、クロノグラフとラトラパントのふたつのコラムホイールの連動や、水平クラッチの噛み合い、クランプの動きなどを観察することができる。また、2本のクロノグラフ秒針を完全に切り離すアイソレーター機構も有しており、計測時の不安定さが最小限に抑えられている。
