グランドセイコー注目のクロノグラフ「Tokyo Lion Tentagraph」 企画者に聞いた、デザインコンセプトと色の物語

FEATUREその他
2025.10.04

グランドセイコーが満を持して発表したクロノグラフウォッチ「Tokyo Lion Tentagraph」。言わずもがな今までのどのモデルとも一線を画していることがひと目で分かるデザインだ。今回、このモデルの企画者に話を聞く事ができた。そこで聞いたデザインコンセプトや細部まで考え抜かれたデザインを軸に、色についても解説していこう。

Tokyo Lion Tentagraph

伊藤むつよ:文・写真
Photographs & Text by Mutsuyo Ito
[2025年10月4日公開記事]


企画者に聞いたデザインコンセプト

Tokyo Lion Tentagraph

 グランドセイコーが満を持して発表したクロノグラフウォッチ「Tokyo Lion Tentagraph」。獅子の威風堂々とした姿をモチーフにしたと語られる、4月発表モデルだ。そんな「スポーツコレクション SLGC009」のデザインコンセプトを企画者に聞いたところ、「壮大な大地を踏破するような挑戦心・冒険心」であり、それをデザインで具現化しているという。ここにテンタグラフ(Cal.9SC5)と、強度に優れ、傷付きにくいブリリアントハードチタン、従来の2倍の引張強度を持つラバーストラップの機能性が加わることで、高い次元での融合性を果たしているとの事だ。


SLGC009の外的特徴

Tokyo Lion Tentagraph

 SLGC009は、現行の「Tokyo Lion」シリーズと同じく、獅子からイメージを得てデザインされている。ケースの四隅は、カンを曲線にすることで鋭い爪を表現しており、クロノグラフ用プッシュボタンも爪痕のようにも見える。

Tokyo Lion Tentagraph

 獅子の爪をモチーフとした遊び心のあるデザインは随所に散りばめられているので、後ほど深堀りしていこう。

Tokyo Lion Tentagraph

 そしてストラップの裏側に潜んだ肉球も忘れてはならない。一縷の望みをかけて肉球を触ってみたが、プニプニはしていなかった。

Tokyo Lion Tentagraph

 クラスプはこのようにシンプルであった。

Tokyo Lion Tentagraph

 色の観点から見ていこう。デザインコンセプトである「壮大な大地を踏破するような挑戦心・冒険心」に「百獣の王ライオン」が足されると、サファリを連想する人も多いのではないだろうか。サファリといって浮かぶ色は、カーキ・ブラウン・ベージュ、そして灼熱の太陽をイメージさせるオレンジだろう。

 実際の色を見ていくと、全体的な色はカーキベージュ系に統一されている。ダイアルとストラップはどちらもカーキ色だが、ダイアルの方が黄みを強く感じる。また、ダイアル/ストラップともに彩度(鮮やかさ)は低く、色相は近似しているのでまとまり良く感じられる。

Tokyo Lion Tentagraph

 サブダイアルやクロノグラフ針等に差し色として使われているオレンジ色は、アクセントカラーであるにも関わらず主張しすぎない色味であると同時に、周りのダークブラウンによる効果で、高級感を損ねていない。時計単体で見ると、色味に違和感を覚える方もいるかも知れないが、腕に乗せた瞬間見事に肌になじんだ。

Tokyo Lion Tentagraph

細部の色にも気になるポイントを発見

 さらに色を深掘りしていこう。ダイアルと3時位置サブダイアルは黄味よりのカーキ色だ。ダイアルに関しては新型の打模様による光の反射も相まって、ほのかにゴールドを感じ取ることができる。

Tokyo Lion Tentagraph

Tokyo Lion Tentagraph

 この打模様は、風になびくライオンのたてがみがモチーフとなっているとの事。

 見返しリングと6/9時位置サブダイアルには黒に近いダークブラウンが施されており、全体を引き締める良いアクセントになっている。

Tokyo Lion Tentagraph

 動物園などに行った際にはたてがみの色を観察してみてほしい。

Photograph by Kouki Doi
若干バテ気味のライオン

太陽光下と日陰での見え方の違い

 上の動画は8月のお昼時、太陽光下で撮影したものだ。

 ダイアルが角度によってはゴールド色のようにも見え、打模様はよりハッキリと確認できる。

 こちらは太陽光下の撮影と同時間に、日陰で撮影したもの。

 ゴールド感は息を潜め、打模様もそれほど主張する事なくマットな仕上がりに見える。


ここにもあった⁈隠れ爪モチーフ

 ケースに爪モチーフが使われているのは知られているが、実は他にも爪モチーフが隠れているのをご存じだろうか。

Tokyo Lion Tentagraph

Tokyo Lion Tentagraph

 見返しリングと6時位置、9時位置のインダイアルには爪をイメージしたオリジナルフォントの数字が施されている。また、サブダイアルの目盛り(オレンジ色部)も爪のように中心に向かってシェイプされたデザインになっている。


さぁ冒険へ出かけよう!

 サファリを彷彿とさせる今作。旅やアウトドアに行きたい気分の時にピッタリではあるが、なかなかそうもいかないのが現実かも知れない。そんな時には腕元にこのモデルを着けて、行きたい場所に思いを馳せてみてはいかがだろうか。また、新しいことに挑戦したい時は、力強いデザインがパワーを、カーキ色が癒しをくれるかもしれない。「Tokyo Lion Tentagraph」とともに、あなたはどんな冒険や挑戦をしてみたいですか?


筆者プロフィール

伊藤むつよ
時計メーカーの色彩監修やイメージコンサル、催事会場でのパーソナルカラー診断や接客講師など、販売現場の「品・場・人」にまつわるコンサルティング業務を行う。時計修理技能士2級・J-color認定講師・カラーセラピスト等多数の資格を保有。株式会社parakeITO代表取締役。HP:https://www.mutsuyo-ito-parakeito.com/


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