セイコー「プロスペックス」の機械式クロノグラフに、新作SBEC027が登場。搭載するムーブメントはCal.8R48と既存作と同様だが、ブラックダイアルに同じくブラックのベゼルを備えた、オーソドックスな印象を与えるモデルだ。
ストップウォッチとクロノグラフの雄、セイコー
1960年代、セイコーはスポーツ計時の国際舞台において、高精度の新世代タイマーを発表した。これらは多くの国際的な競技連盟から高く評価され、世界の主要なスポーツ大会で公式計時機器として採用された。
その成功の中心にあったのが、セイコー独自の「ハートカム(心臓形カム)」機構を備えたストップウオッチ群である。このメカニズムにより、手動式の計時機器としては、かつて到達不可能とされた精度が実現されたのである。
1969年、セイコーは革新的なCal.6139を搭載したスピードタイマーを発表。これは、世界初のコラムホイールと垂直クラッチを備えた自動巻きクロノグラフであり、経過時間の測定精度を大幅に向上させた。両機構は現在に至るまで、機械式の高機能クロノグラフウォッチに欠かせない要素であり続けている。
「プロスペックス スピードタイマー SBEC027」
この伝統を継ぐのが、新たに登場した「プロスペックス スピードタイマー SBEC027」だ。ブラックダイアルには、ルミブライト蓄光が施されたインデックスが配され、アンスラサイトカラーのサブダイアルが立体感を与える。
明快なデザインは、どの角度からでも優れた視認性を確保。ベゼルにはタキメーター目盛りが刻まれ、平均速度の測定が可能だ。セイコープロスペックスの機械式クロノグラフにはタキメーターが風防内のインナーベゼルに配されたモデルと、外周に配された(一般的なベゼル)モデルがあるが、本作は後者だ。

自動巻き(Cal.8R48)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。ケース(直径42.0mm、厚さ14.6mm)。10気圧防水。37万4000円(税込み)。
さらに、4時位置と5時位置の間には日付表示が配置され、オールラウンダーとしての実用性を高めている。
構造と仕上げ
ケースとブレスレットには、セイコー独自の硬質コーティングであるダイヤシールドを施したステンレススティールを使用。ヘアラインとポリッシュの仕上げが交互に施され、スポーティーかつ上質な印象を演出している。
風防には両面無反射コーティング付きデュアルカーブサファイアクリスタルを採用し、視認性と耐傷性を両立。スクリューバック仕様の裏蓋は、10気圧の防水性能を確保する。
ケースサイズは直径42.0mm、厚さ14.6mm。存在感のあるケースながらも、装着感にも優れる。防水性能は10気圧だ。
クロノグラフムーブメントCal.8R48を搭載
自社製のクロノグラフムーブメントCal.8R48が本作には搭載。両方向巻き上げ式であり、セイコーおなじみのマジックレバーを備えた自動巻きで、手巻きにも対応する。
パワーリザーブは約45時間のであり、振動数は2万8800振動/時だ。1/8秒単位で最大12時間までの計測が可能なクロノグラフ機能を備える。秒針停止機構も装備し、正確な時刻合わせを行うことが可能だ。