NHK連続テレビ小説「あんぱん」でTVドラマ初出演を果たし、圧倒的な歌唱力で視聴者を魅了したMrs.GREEN APPLEの大森元貴。作詞・作曲・編曲・ダンスとマルチに才能を発揮する彼が、インスタグラムでさりげなく着用していた時計が話題だ。レトロフューチャーなセイコー「アルバ AKA」から、ルイ・ヴィトンの「タンブール」まで、その独自のセンスが光る時計選びに迫る。

Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2025年10月5日掲載記事]
NHK連続テレビ小説「あんぱん」放送終了、早くも“ロス”を感じる人が続出中
高い平均視聴率のまま大好評で最終回を迎えたNHK連続テレビ小説「あんぱん」は、アンパンマンの作者・やなせたかしさんの妻、小松暢さんをモデルにした作品だ。生きる意味も失っていた苦悩の日々を乗り越え、戦後の日本で夢を忘れずに生きるふたりの姿が丁寧に描かれ、多くの視聴者の心を掴んだ。朝の連続テレビ小説らしい温かさと希望に満ちたストーリーで、9月末で放送終了となった今、早くも“あんぱんロス”を感じる視聴者が続出している。
この「あんぱん」で、実在する作曲家・いずみたくさんをモデルにした作曲家「いせたくや」役を演じたのが、ロックバンド「Mrs. GREEN APPLE」(ミセス・グリーンアップル)のボーカル・ギター担当である大森元貴だ。ドラマ初出演ながら、演じる役柄と本人が重なる場面も多く、ファンからは「ミセス(・グリーンアップル)が見え隠れしている」と話題になった。
特に注目を集めたのが歌唱シーンだ。「見上げてごらん夜の星を」をアカペラで披露した際には、その圧倒的な歌唱力に感動の声が続出。また、普段のMrs.GREEN APPLEとは異なる歌声に驚いたという視聴者も多く、歳を重ねたヘアメイクで臨んだ姿に対しても「どっちも好き」「俳優であり、アーティストでありお見事です」と好評を博した。NHK朝の連続ドラマ小説に出演したことで、Mrs.GREEN APPLEのファン層とはまた違う層からも注目が集まることとなった。
小学生時代から曲作りを開始。マルチな才能を発揮するアーティスト
大森元貴は、作詞・作曲・編曲・ダンスとマルチに才能を発揮するアーティストだ。その音楽人生のスタートは早く、小学6年生の時にMONGOL800に影響を受け、エピフォン社製のベースを購入し、同級生と先生でバンドを結成。これが音楽活動のきっかけとなった。
その後、コードを学び、独学で楽曲制作をスタート。中学に入ってからはDTMに取り組み、試行錯誤を繰り返しながら技術を磨いていった。
ユーチューブなどの視聴サイトで、曲の冒頭部から30秒ほどしか聴いてもらえない場合を想定し、「Aメロから掴みにいきたい」とイントロのアレンジから制作するスタイルを確立。こうした時代に即したアプローチも、彼らの楽曲が幅広い層に支持される理由のひとつだろう。
Mrs.GREEN APPLEが結成されたのは2013年。2023年、2024年には日本レコード大賞を2年連続で受賞し、2025年にはメジャーデビュー10周年を迎えた。順風満帆に見えるストーリーだが、2024年に突発性難聴の診断を受けたことを公表。それでも活動は継続するとしており、音楽に真摯に向き合う姿勢についてもファンからの共感を得ている。
公式インスタグラムで発見! レトロテイストの腕時計
そんな大森元貴のインスタグラム投稿の中で、興味深い時計を着用している画像を発見した。それは「セイコー アルバ AKA」と思われるモデルだ。「あんぱん」いせたくや役の時代感を漂わせる衣装に、この時計を合わせる意外性が、大森元貴のキャラクターを一層際立たせている。
セイコー アルバは、セイコーのリーズナブルなラインとして、多様化する需要にスピーディーに応えるため1979年に誕生。イタリア語で「夜明け」「黎明」「始まり」を意味する「ALBA」は、高級志向と低価格志向の二極化が進んだ時代に、スタイルを重視する若者層に支持された。
なかでも「AKA」と呼ばれるラインは、レトロフューチャーなデザインテイストのモデルが多かった。無難ではなく、遊び心あふれるデザインが目を引いた。

クォーツ(Cal.V782)。10気圧防水。1997年11月発売。終売品。
アイコニックなデザインが光るハイブランドモデルも愛用
大森元貴の時計コレクションはこれだけではない。過去に投稿された画像では、グッチの「G-タイムレス」を着用していることが確認できる。
このモデルは、2015年から2022年までクリエイティブ・ディレクターを務めたアレッサンドロ・ミケーレによるもの。ダイヤル部分はピンクで、インデックスには12匹の蜂が配置され、追加の3匹の蜂が中央部分に配されている。ジェンダーレスな柔らかさと尖ったマルチな才能を併せ持つ大森元貴の雰囲気にもマッチする印象的な時計だ。
さらにもう一度、記事冒頭の大森元貴の画像を振り返りたい。その手首には、ルイ・ヴィトンの「タンブール」がかがやいている。ベゼル、リュウズ、ブレスレットの中ゴマに18Kローズゴールドを用いて、さりげなく気品を漂わせるあたり、まさに大森元貴イズムと言えそうだ。

自動巻き(Cal.LFY023)、31石、2万8800振動/時。パワーリザーブ50時間。SSケース(径40mm、厚さ8.3mm)。50m防水。455万4000円。(問)ルイ・ヴィトン クライアントサービス Tel.0120-00-1854。
新曲「GOOD DAY」と共にCM出演も
さて、ドラマ撮影を終えたばかりの大森元貴だが、今秋からは書き下ろし新曲「GOOD DAY」と共にキリンビールの新ブランド「キリングッドエール」のCMにも出演。この楽曲は「日本を明るくしたい」という商品コンセプトに寄り添う前向きな曲調だ。2025年は新しいことにたくさんチャレンジしたとインタビューでも語っており、10月末からはドームツアーも始まることから、年末に向けてますます忙しくなることが予想される。
バンドのフロントパーソンとして、俳優として、さらには様々な企業とのコラボレーションを通じて、多方面で才能を発揮し続ける大森元貴。レトロテイストのセイコー アルバから、アレッサンドロ・ミケーレの革新的なデザイン、さらにはルイ・ヴィトンの気品あふれる「タンブール」まで、時代やジャンルを自在に行き来する彼の時計選びは、音楽やファッションに対する柔軟な感性を象徴しているかのようだ。
小学生時代から独学で音楽の道を切り拓いてきた大森元貴が、次にどんな挑戦を見せてくれるのか。突発性難聴の試練を乗り越え、さらなる高みを目指す彼の姿を、これからも応援し続けたい。