ノルケインが「ワイルド ワン スケルトン クロノ」で打ち立てた“ハイパフォーマンス・クロノグラフ”という新ジャンル

FEATURE その他
2026.06.01

ノルケインが2026年新作として発表した「ワイルド ワン スケルトン クロノ」は、「ワイルド ワン」の比類ない耐衝撃性と、自社製フライバッククロノグラフムーブメントCal.NK24/1を組み合わせた、クロノグラフウォッチだ。同社が“ハイパフォーマンス・クロノグラフ”と位置付けた本作の、その実力に迫る。

ノルケイン ワイルド ワン スケルトン

ノルケインが2026年新作として発表した、「ワイルド ワン スケルトン クロノ」。「ワイルド ワン」で培った耐衝撃構造と、自社製フライバッククロノグラフムーブメントCal.NK24/1を組み合わせた、“ハイパフォーマンス・クロノグラフ”だ。
千太(SIGNO):写真
Photographs by Senta(SIGNO)
野島翼:取材・文
Text by Tsubasa Nojima
[2026年6月1日公開記事]


ノルケインの人気を牽引する「ワイルド ワン スケルトン」にフライバッククロノグラフモデルが登場

 2018年に創業したスイスの時計ブランド、ノルケイン。同社は翌2019年よりクラシカルな「フリーダム」、スポーツウォッチの「アドベンチャー」、そしてフラッグシップの「インディペンデンス」の3つのコレクションを軸に豊富なラインナップを展開し、世界各国で注目を集めてきた。日本においても早期から販売を開始し、特に全国各地の老舗時計店がこぞって取り扱いを始めたことは話題となった。

 グループに属さない小規模な独立系ブランドでありながらも、伝統的なスイスの時計製造を継承するという明解なビジョンを示すことで名だたるサプライヤーの賛同を獲得し、かつ革新的な創造性を発揮することで存在感を示してきた同社は、時計業界を代表する有力なプレイヤーの協力を得ることにも成功している。

 この成功を象徴するのが、2020年に始まったケニッシとのパートナーシップ、そして2022年のジャン-クロード・ビバーの経営顧問就任だろう。こういったノルケインの歩みはハイスペックなマニュファクチュールムーブメントと、類まれな堅牢性を誇る「ワイルド ワン」コレクションに結実し、老舗ブランドが幅を利かせるミドルレンジにおいて、強力なアドバンテージを発揮してきた。

 年々新たな試みを実行に移し、業界に驚きを与えてきたノルケイン。同社は今年、新作「ワイルド ワン スケルトン クロノ」によって腕時計の新たな世界を切り開いた。そのベースとなったのは、軽量かつ堅牢なスポーツウォッチとして開発されたワイルド ワンだ。ジャン-クロード・ビバーが構築したサプライヤーチームによって実現したワイルド ワンは、同社が“ハイパフォーマンスウォッチ”と定義するのも納得なハイスペックなコレクションだが、今回はさらに、スケルトン構造とクロノグラフ機構を組み合わせることで、より傑出した“ハイパフォーマンス・クロノグラフ”に仕上げている。

ノルケイン ワイルド ワン スケルトン

ノルケイン「ワイルド ワン スケルトン クロノ」(左から)Ref.N3002.40Q01.B07、Ref.N3002.40Q02.B01、Ref.N3002.40G01.B01
ラインナップは3種類。ターコイズブルーの差し色が際立つオールブラックモデルや、バーガンディーのNORTEQ(ノルテック)を採用したモデル、さらにはラグジュアリーな18Kレッドゴールド製ケージを採用したモデルもラインナップされる。自動巻き(Cal.NK24/1)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約62時間。NORTEQまたは18KRGケース(直径42mm、厚さ13.6mm)。200m防水。(左)140万8000円(税込み)。(中央)世界限定400本。143万円(税込み)。(右)世界限定75本。363万円(税込み)。


フライバッククロノグラフと耐衝撃性の両立

 機械式腕時計は一般的に、水と磁気、衝撃を苦手とする。時計愛好家の多くは、水や磁気に気を配る習慣が身についているだろうが、衝撃に関してはついつい忘れがちではないだろうか? 水は手洗いや水仕事、雨など、おおよそリスクとなるシーンが限定される。また、磁気に関してもバッグの留め具やスマートフォン、イヤホンなど、発生源となる製品を把握しておけば良い。しかし長時間手首に装着して使用する以上、不意に壁やドアにぶつけるなど、腕時計への衝撃を完全に避けることは難しい。日に複数回繰り返す脱着も、実はリスクのある行動だ。うっかり落としてしまえば深刻な故障につながる可能性がある。

 機械式腕時計の中にも、特に衝撃を避けるべきものが存在する。薄型のドレスウォッチはもちろん、ムーブメントにオープンワークを施したスケルトンウォッチや、レバー類や板バネをはじめとしたムーブメントの構成パーツが多くなるコンプリケーションウォッチは、構造上一般の機械式腕時計に比べて衝撃を苦手とする傾向にある。

 ワイルド ワン スケルトン クロノが異質であるのは、5000Gの耐衝撃性を備えるワイルド ワンとしての堅牢性を損ねることなく、スケルトン仕様のフライバッククロノグラフムーブメントを採用している点にある。

 並外れた耐衝撃性をもたらしているのは、ワイルド ワン独自の多層構造のケースだ。ムーブメントをチタン製のコンテナで包み込み、その上にラバー製ショックアブソーバーを被せ、さらにカーボン複合材であるNORTEQ(ノルテック)製ケージをベゼル側、ケースバック側の両側からサンドイッチさせた構造とすることで、外部から受けた衝撃がムーブメントへ直接伝わることを防いでいる。

 また、ショックアブソーバーやノルテックは、それぞれ着色することが可能であり、カラーリングの自由度もワイルド ワンの魅力のひとつだ。今回発表されたワイルド ワン スケルトン クロノでは、ダイアルにターコイズブルーをちりばめ、ショックアブソーバーとノルテックをオールブラックで統一したモデルと、ブラックのショックアブソーバーとバーガンディーのノルテックを組み合わせたモデル、さらには耐衝撃性に影響を与えることなく、ノルテックの代わりに18Kレッドゴールド製のケージを採用したモデルがそろえられる。腕時計が個性を物語るアイテムとして認知されてきた現代において、選択肢の幅が広いことは、自身に合ったモデルを見つけやすいことにもつながる。

ノルケイン ワイルドワン スケルトン クロノ

ワイルド ワンの特徴である多層構造のケース。ムーブメントをチタンコンテナに収め、ラバー製ショックアブソーバーと、独自の複合材であるノルテックを組み合わせている。このユニークなケースは、ジャン-クロード・ビバーが結成したサプライヤーチームのBIWI社の協力によって実現したものだ。

 内部に搭載されているムーブメントは、2024年の「インディペンデンス スケルトン クロノ」でデビューした、8KことCal.NK24/1だ。AMT社との協業によって開発されたこのムーブメントは、耐衝撃性を考慮した独自のスケルトン構造が採用されている。8Kの名前には、地球上に14座しか存在しない、世界最高峰の「8000m」級の山々という意味が込められている。常に高みを目指すノルケインらしいネーミングだ。

8Kキャリバーと名付けられたCal.NK24/1。AMT社と共同開発した自社製フライバッククロノグラフムーブメントだ。ブラックとシルバーのカラーリングやオープンワーク構造など、ハイスペックなだけではなく見た目にも楽しむことのできるムーブメントである。


メカニズムの審美性を追求したデザイン

 多層構造のケースやスケルトン仕様の自社製フライバッククロノグラフムーブメントなど、本作には機械式腕時計ならではのメカニカルな意匠が盛り込まれている。特に注目すべきは、大胆なオープンワークが施されたダイアルだろう。オープンワークの隙間からは、ダイアルに調和したブラックカラーとしつつ、ヘアライン仕上げを加えることでコントラストを創出したムーブメントの地板がのぞき、歯車やテンプの動きを視覚的に楽しむことができる。

 特筆すべきは、12時位置の30分積算計と6時位置のスモールセコンドだろう。一般的なインダイアルでは針が目盛りを指し示すが、本作では代わりに三角形のポインターを配した透明なディスクを取り付けることで、まるでポインターが浮いているようなミステリアスな外観に仕上げている。

ノルケイン ワイルド ワン スケルトン

多層構造のダイアル。透明な回転ディスクを備えたインダイアルやフランジに配されたパルスメーターなど、遊び心と実用性を両立させたデザインが与えられている。スケルトン仕様でありながら視認性が高い点も魅力だ。なお、この回転ディスクはポリカーボネートとサファイアクリスタルを混ぜ合わせて製造されている。ポリカーボネート単体にしなかったのは「乳白色を出さず、透明にしたかったから」。このディスクもBIWI社の開発力の賜物だ。

 ユニークな見た目である半面、デザインだけに気を取られることなく、実用時計としての基礎がしっかりしていることもノルケインらしいポイントだ。ワイルド ワン スケルトン クロノは、日常生活のみならずゴルフやテニスといった手首に負荷のかかるスポーツでも実際に着用可能な、本格的なスポーツウォッチである。フランジに配されているのは、クロノグラフと併せて使うことで脈拍を測定することのできるパルスメーター。アスリートが自身のコンディションを知りたいときに、いつでも簡単に脈拍を知ることができるのだ。頑強なフライバック機構は競技中でも使用しやすく、2時位置のプッシュボタンでスタートとストップ、4時位置のプッシュボタンでフライバックとリセットを行うことができる。

ノルケイン ワイルド ワン スケルトン

ショックアブソーバーとノルテックは、個別に着色することが可能な素材だ。さまざまなカラーバリエーションが作りやすいことも特徴である。9時位置にはノルケインプレートが取り付けられ、好きな言葉や記念日などをエングレービングすることができる。

ノルケイン ワイルド ワン スケルトン

シースルーバックからもムーブメントを鑑賞することが可能だ。コラムホイールやテンプなど、機械式クロノグラフならではのメカニカルな構造を楽しむことができる。

 視覚的な要素の多いスケルトンダイアルでありつつも、十分な視認性が確保されている点も見逃せない。立体的なインデックスとミニッツマーカーはホワイトやターコイズ、ゴールドカラーに彩られ、その存在感を主張することで判読しやすい仕様となっている。これらの針とインデックスにはそれぞれ蓄光塗料が塗布され、暗所でも容易に時間を確認することが可能だ。


ノルケインは新たに“ハイパフォーマンス・クロノグラフ”という強みを獲得した

ノルケイン ワイルドワン スケルトン クロノ

“ハイパフォーマンス・クロノグラフ”という新境地を開拓したノルケイン。ゴルフやテニスのプレイ中も着用可能なタフさを備えた本作は、アスリートをはじめとするアクティブなライフスタイルを送る人々に寄りそう存在となるに違いない。

 機械式腕時計のウィークポイントである衝撃を克服したワイルド ワン。創業以来、常に躍進を続けてきたノルケインは、自社製フライバッククロノグラフムーブメントを組み合わせた「ワイルド ワン スケルトン クロノ」によって、さらなる高みに到達したと言える。

 世の中にスポーツウォッチと称される機械式腕時計は数あるものの、実際にスポーツで着用できるものはそう多くない。一方で本作は、ラバー製ショックアブソーバーとノルテックを組み合わせたケースが、ゴルフやテニスの強烈なインパクトにも耐える耐衝撃性と、激しい運動でも負担にならない軽量性を実現しつつ、競技時間やインターバル、さらには脈拍を瞬時に計測できるフライバッククロノグラフを搭載している。200mの防水性や高い視認性、肌なじみの良いラバーストラップも、使い勝手を向上させる重要な要素だ。

 ワイルド ワン スケルトン クロノが切り開いた“ハイパフォーマンス・クロノグラフ”という境地は、ノルケインの創造性を象徴するジャンルとして、アクティブなライフスタイルを送る人々に愛されていくことだろう。



Contact info: ノルケインジャパン Tel.03-6864-3876

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