ジャガー・ルクルトとマーク・ニューソンがタッグを組んだ、ふたつの新しい「アトモス」

2026.06.25

ジャガー・ルクルトとデザイナーのマーク・ニューソンがタッグを組み、わずかな温度変化で巻き上げを行う「アトモス」の新作2モデルを発表。ひとつはバカラクリスタル製ケースのモデルで、もうひとつは「テルリウム」を備えたアトモスの中で最も複雑なモデルだ。

Text by Shin-ichi Sato
Edited by Yousuke Ohashi (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2026年7月号掲載記事]


長年の協業が磨き上げた洗練
マーク・ニューソンによる最新のアトモス

 仙人が人知を超えている様子を、空気からエネルギーを取っていると例えた「霞を食う」という言葉がある。そして、仙人のように、霞を食っているかのような不思議な原理で動くのが、ジャガー・ルクルトの「アトモス」だ。

 主ゼンマイを巻く必要のないアトモス。その最重要機構は、気体が封入された伸縮構造のカプセルだ。わずかな温度変化によって内部の気体の体積が変化し、アコーディオンが伸びるようにカプセルが膨張。これが主ゼンマイを巻き上げる力の源となる。霞を食う様子を際立たせるなら、エネルギー供給経路が見えない宙に浮いたデザインの方が面白い。

アトモス・デザイナー 568 by マーク・ニューソン

アトモス・デザイナー 568 by マーク・ニューソン
2016年発表の「568」初代モデルに続く新作。バカラ製クリスタルガラスケースが採用されたのは、ムーブメントを安定して正確な位置で支える強度と精度を備え、透明度の高さを求めた結果だ。また、ムーブメントはモノトーンへと変更され、シンメトリーさの追求が図られており、宙に浮かぶようなデザインが際立つ。温度変化による自動巻き上げ(Cal.568)。120振動/時。クリスタルガラスケース(縦265×横230mm、厚さ147mm)。年間50台限定生産。752万4000円(税込み)。

 そんなアプローチが取られたのが、マーク・ニューソンのデザインによるふたつのモデルだ。「アトモス・デザイナー 568 by マーク・ニューソン」は、透明なクリスタルガラス製ケースでムーブメントを包んだ。ムーブメントと文字盤はモノクロームの配色で、機構の造形を引き立てる。センターに時分針を備え、4087年に1日の誤差しか生じないムーンフェイズ表示や、日の出・日の入り時間、均時差の表示機能を有する。

アトモス・ハイブリス・アーティスティカ・テルリウム by マーク・ニューソン

アトモス・ハイブリス・アーティスティカ・テルリウム by マーク・ニューソン
アトモス・ムーブメントの中でも複雑なCal.590を搭載。太陽を中心に地球が公転し、地球の衛星軌道上を月が公転する様子を再現した「テルリウム」を文字盤上に配する。また、星座カレンダー、高精度ムーンフェイズなどを備える。ドーム状のクリスタルには、カボションカット サファイアを北半球で見られる64の星座の形に配置し、天球儀としている。温度変化による自動巻き上げ(Cal.590)。120振動/時。ガラスケース(縦285×横270mm)。世界限定3台。要価格問い合わせ。

 もうひとつは幻想的な「アトモス・ハイブリス・アーティスティカ・ テルリウム byマーク・ニューソン」だ。本作は、複雑機構を搭載し、地球、太陽、月の軌道を精密かつ立体的に再現する「テルリウム」、月と季節を表示する星座カレンダー、高精度ムーンフェイズ、デイナイト表示を備える。そしてムーブメントを包むのが、北半球で見られる64の星座を描いたガラス製の天球儀だ。

 前者は既存モデルの意匠をより昇華させ、後者は複雑機構をマーク・ニューソンの感性で再解釈した。長年の協業は、アトモスにさらなる洗練をもたらした。



Contact info:ジャガー・ルクルト Tel.0120-79-1833


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