「子育てと教育は愛とロマン」を信条に掲げる“尾木ママ”こと教育評論家の尾木直樹は、高校・中学校と大学で計44年間教壇に立ち、230冊を超える著書(監修含む)を世に送り出してきた。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」への出演をきっかけに、幼児からお年寄りまで幅広い世代に親しまれる存在となり、79歳の今もテレビ、講演、SNSと精力的に活動を続けている。そんな尾木ママの手元を彩る愛用時計に注目した。

Text by Yukaco Numamoto
編集:土田貴史
Edited by Takashi Tsuchida
[2026年10月4日掲載記事]
79歳にして、SNSでも話題をさらい続ける尾木ママ
今年3月、バラエティ番組「相席食堂」に出演した際の“土に埋まった”衝撃写真がInstagramで拡散。千葉県佐倉市の風車をバックに、土に埋められた尾木ママを捉えたダイナミックな1枚だ。コメント欄には「AIかと思った」「理解が追いつかない笑」と、驚きの声が相次いだ。79歳という年齢を気遣い、身体を張った出演を心配する声まで寄せられたほどだ。
4月には、抹茶アイスとチョコクッキーでティータイムを楽しむ様子を投稿。こちらも「粋」「お洒落」と話題を呼んだ。実は「趣味はインスタ」と語る尾木ママ。投稿数は記事執筆時点で2978件にのぼり、“映える”1枚を届けることを日々の生きがいにしているという。テレビ出演や全国各地での講演活動に加え、SNSでも存在感を放つその姿からは、年齢をまったく感じさせない現役ぶりがうかがえる。
尾木ママが本当に“ママ”だった理由
そもそも“尾木ママ”という愛称の名付け親は、明石家さんまだ。初めて出演したバラエティ番組「ホンマでっか!?TV」で、さんまから突然「ママー!」と呼ばれたことをきっかけに、その呼び名が定着していった。この番組出演を境に人生は一変。“尾木ママ”としてテレビに出ることが楽しくなり、教育評論家としての活動も大きく変わったという。
教員時代、勤務先が男子校から共学の中学校に変わった際、女子生徒の気持ちを知りたくなって交換ノートをやりとりするうちに、その口調がうつったのだという。プライベートでも妻と娘2人に囲まれていたため、自分の話し方が女性的になっている自覚はなかったそうだ。
“尾木ママ”になってから気付いたのは、“ママ語”のほうが言いたいことが伝わりやすい、ということだった。「所さんの目がテン!」では、先生役の男性俳優が“オネエ言葉”と普通の口調で、それぞれ10人ずつのグループに同じ内容を話し、どれだけ覚えているかをテストする実験を行った。すると、“オネエ言葉”で聞いたグループの正答率は、そうでないグループの約1.5倍にのぼったという。
また、尾木ママの講演会には、赤ちゃんや2~3歳の子どもを連れた母親が来場することも多いが、泣き出す子はほとんどいない。それを不思議に思って言語学の専門家に尋ねたところ、尾木ママの話し方は、母親が赤ちゃんに語りかけるときの“マザリーズ(母親語)”の特徴を備えていることが分かった。「ボクは本当に“ママ”なのねって実感したわ」と、自身の連載コラムでつづっている。
柔らかな語り口の一方で、いじめや体罰をはじめとする教育問題には、子どもの立場から鋭く切り込む。疑問を感じればすぐに専門家に相談し、自ら調べる姿勢は、まさに研究者そのものだ。この親しみやすさと鋭さのギャップこそが、世代を問わず愛される理由なのだろう。
教育評論家・尾木直樹の歩み
尾木直樹は1947年、滋賀県生まれ。早稲田大学を卒業後、海城高校、東京都の公立中学校で22年間教鞭をとった。この間、東京大学教育学部学校教育学科や日本福祉大学社会福祉学部の非常勤講師も務めている。1994年に国分寺市立第一中学校を退職し、同年、臨床教育研究所「虹」を設立。東京経済大学、成蹊大学、法政大学などで非常勤講師を務めたのち、2004年からは法政大学キャリアデザイン学部教授、早稲田大学大学院客員教授として教壇に立った。中学・高校での22年に大学教員としての22年を合わせ、教員生活は計44年に及ぶ。
現在は法政大学名誉教授、臨床教育研究所「虹」所長として調査・研究を続ける。2023年には東京都立図書館の名誉館長に就任し、2024年4月からは読売新聞「人生案内」の回答者も務めている。テレビでもEテレ「ウワサの保護者会」で長年MCを務めたほか、討論番組への出演も多数。評論家としての実績は枚挙にいとまがない。
そんな尾木ママは、ブローチ集めを趣味とするおしゃれ上級者でもある。帽子やストール、カーディガンを取り入れた着こなしに、さまざまなブローチやピンバッジを日常的にプラスして楽しんでいる。そして、その手元に目を向けると、ロレックスの「デイトジャスト」が確認できるのだ。
ロレックス「デイトジャスト」Ref.16234Gを色違いで所有!?
2026年9月13日のInstagram投稿。北海道出身のシンガーソングライター、半﨑美子のコンサート「人生案内と私」に駆けつけた尾木ママ。癒しの中にもパワーと勇気を与えてくれる歌声への感謝をつづっている。手元にはシルバーダイアルのデイトジャストがのぞく。自動巻き(Cal.3135)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SSケース(直径36mm)。18KWG製フルーテッドベゼル。100m防水。生産終了。
1枚目の写真で尾木ママが着用しているのは、シルバーダイアルのデイトジャストだ。一方で、ブラックダイアルのモデルを着けている姿も見られる。ロレックスでは、原則として購入から5年以上が経過していれば、同一リファレンスの現行または過去に展開されたデザインに限り、文字盤を有償で交換できる。しかし、短期間のうちに、黒→シルバー→黒と着け替えている様子が投稿から確認できるため、文字盤を交換したとは考えにくい。色違いで2本を所有し、コーディネートやその日の気分に合わせて選んでいるのではないだろうか。
また、投稿を見る限り、尾木ママは毎日欠かさず時計を着けるタイプではないようだ。時間を確かめる道具というより、ブローチと同じく、装いを仕上げるアイテムのひとつとして楽しんでいるのだろう。
デイトジャストは、ロレックスの創業40周年にあたる1945年に誕生した、ブランドを代表するクラシックモデルである。現在も定番として愛され続けるこの普遍的な1本が、「最もロレックスらしい」と評される理由のひとつは、ブランドの3大発明をすべて備えている点にある。1926年に開発された、高い防水・防塵性を誇る「オイスターケース」。1931年に開発された、腕の動きに合わせてローターが両方向に回転する自動巻き機構パーペチュアル。そして、モデル名の由来にもなった1945年誕生のデイトジャスト機構だ。
デイトジャスト機構は、文字盤の窓に表示された日付が深夜0時前後に自動で切り替わる、当時としては画期的なカレンダー機能だった。1953年には、日付を拡大して見やすくする「サイクロップレンズ」が風防に採用され、1955年には日付が0時ちょうどに、瞬時に変わる機構へと進化を遂げている。
ケースサイズは、メンズの36mmと41mm、レディースの28mmなど展開も豊富だ。ちなみに尾木ママの愛用モデルは36mmと考えられる。ブレスレットは、ドレッシーな5連リンクの「ジュビリー」を選択。デイトジャストのアイコンともいえるフルーテッドベゼルを備え、ダイアルに10ポイントのダイヤモンドインデックスをあしらっている。そのエレガントな佇まいは、コレクションのブローチとも華やかに響き合いそうだ。
流行に左右されない普遍的なデザインと、確かな実用性を兼ね備えたデイトジャスト。その存在は、長年ぶれることなく子どもたちと真摯に向き合い続けながら、テレビからSNSへと、時代とともに発信のかたちを柔軟に変えてきた尾木ママの生き方に重なる。80歳を目前にしてなお、軽やかに“現役”を走り続ける尾木ママ。その手元とともに、今後の変わらぬ活躍にも注目していきたい。



