ユリス・ナルダン / 歓喜の歌を奏でる日本限定のミュージカルピース

2018.02.02
Photographs by Masanori Yoshie
Text by Hiroyuki Suzuki

歓喜の歌を奏でる日本限定のミュージカルピース

 ユリス・ナルダンが得意とするミュージカルピース。特にディスク状のオルゴールを可視化した「ストレンジャー」は、同社らしい独創性の象徴だ。日本限定のユニークピースが奏でるのは、第九である。



ストレンジャー日本限定モデル
 毎正時、またはプッシャー操作でディスクオルゴールを作動させるミュージカルウォッチ。リュウズ同軸に配されたプッシャーは、巻き上げや時刻合わせなどのセレクター。10時位置のプッシャーでサイレントモードに切り替え、8時位置のプッシャーが演奏のスタートトリガーとなる。自動巻き(Cal.UN-690)。64石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KWG(直径45mm)。30m防水。各色1本限定生産。各1474万円。

 ユリス・ナルダンが2013年に発表したミュージカルウォッチは、いわゆるオルゴールウォッチの一種なのだが、従来のドラム式オルゴールではなく、ダイアル半径にも達する巨大なディスク内に曲が収められている。このモデルが「ストレンジャー」と呼ばれるのは、初作にフランク・シナトラなどが歌ったポップナンバー『Strangers in theNight(夜のストレンジャー)』が収められたことに由来する。その後、ヴィヴァルディの『ヴァイオリン協奏曲ホ長調』などを奏でるバリエーションが製作されたが、日本では最も有名な楽曲のひとつであるヴェートーベンの『交響曲第9番第4楽章』を収めた最新作は、2カラー各1本のみのユニークピースとして登場した。もちろん日本市場限定である。

 毎正時、もしくはプッシャー操作時にディスクが回転を始め、ディスクに植え込まれたピンが、ダイアル上に取り付けられた10枚のブレードを弾いてゆく。ディスクの回転スピードを調速するガバナー制御の秀逸さは、ミニッツリピーターやエロティックオートマタなどを得意とするユリス・ナルダンの真骨頂だろう。ケースバックも特別仕様とされており、歌詞の一節(喜びよ、美しい神の閃光よ、神の閃光よ)がドイツ語で刻まれる。実際の動きは動画で確認されたし。

 鍵盤のレリーフがあしらわれたバックケース。センターの楽譜には「GOTTERFUNKEN」の刻印が入る。ユニークピースであることを示す「01/01」のプレートも誇らしげだ。

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