クロノグラフとは。メーターの種類や使い方、主なモデルを紹介

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2021.04.05

精巧な機構とデザイン、機能性が一体化した「クロノグラフ」は、腕時計の中でも人気が高いモデルのひとつだ。クロノグラフの魅力に触れるために、基本的な機能やメーターの使い方、人気モデルを紹介しよう。

スピードマスター ムーンウォッチ マスター クロノメーター


クロノグラフの基礎知識

クロノグラフとは何か、まずは基礎的な機構や歴史について見ていこう。

クロノグラフとは

モンブラン ヘリテイジ マニュファクチュール パルソグラフ

2020年に世界限定100本でリリースされた「モンブラン ヘリテイジ マニュファクチュール パルソグラフ」。医師が、患者の心拍数を測定するために使用していた時計に着想を得たモデルで、ダイアル外周にはパルスメータースケールを配置。

クロノグラフとは「ストップウォッチ機能を備えた腕時計ないしは懐中時計」を意味する。一般的には、通常の文字盤の中にさらに小さな文字盤(インダイアル)が備え付けられ、時計とは別の時間を計測するために使う。

クロノグラフを搭載した腕時計は時刻だけではなく、経過時間を正確に知ることができるため、例えば会議時間やパーキングメーターの計測など、さまざまな用途に使用できる。

また、経過時間だけではなく、距離や速度、脈拍を測る機能があるクロノグラフも存在するなど、クロノグラフは持ち主にとって必要な情報を数値化してくれる機能を備えているのだ。

そればかりか、文字盤の上で動作する複数の針は見た目にも楽しく、多くの時計好きを魅了して続けてきた存在である。

クロノグラフの歴史

ブライトリング クロノグラフ

1915年、ブライトリングはリュウズの上にプッシュボタンを備えた腕時計クロノグラフ(写真)をリリース。その後、34年には世界初のツープッシャーの腕時計クロノグラフを発表した。

「Chronograph」は、ギリシア語の「Cronos(時間)」と「graphos(記す)」を合わせた言葉だ。

時計師ニコラ・リューセックが1821年、最初の商用クロノグラフを作ったとされていたが、ルイ・モネが16年に1/60秒を計測できる天文観測用のクロノグラフを作っていたという説もある。

やがて20世紀になり、第一次世界大戦時「手を空けたまま時間が見たい」という要望に応える形で、時計の主流は懐中時計から腕時計へと移っていった。そして1915年に、世界初となるクロノグラフを搭載した腕時計が誕生した。

30年代にはリューズの上下に操作ボタンを配置した、現在のようなデザインが登場し、競技シーンや医療などさまざまな場面で利用されたのである。

アメリカ宇宙航空局NASAでは、クロノグラフの腕時計を宇宙飛行士の標準装備としており、その後も時代に適応しながら進化を遂げていった。


主なメーターの種類

クロノグラフには、ベゼルに文字とメモリが記載されたメーターがついているモデルもある。このメーターの種類によって、クロノグラフの持つ機能は大きく変わってくるのだ。

クロノグラフが備えたメーターの種類と、機能について紹介しよう。

平均速度を割り出すタキメーター

スピードマスター ムーンウォッチ マスター クロノメーター

平均速度の計測に用いるタキメーター。写真はオメガ「スピードマスター ムーンウォッチ マスター クロノメーター」で、ベゼルにタキメーターリングを備える。

タキメーターは、1kmあたりの平均速度を測ることができる機能だ。レースや宇宙飛行など、1秒以下の時間を計時する必要がある場で活躍してきた。

たとえば、クルマの走行と同時にクロノグラフをスタートさせ、1kmを走行した時点でストップさせる。そのときにクロノグラフの針が指しているベゼルの目盛りが平均速度だ。

オメガ「スピードマスター」やタグ・ホイヤーの「カレラ」といったスポーツモデルではよく採用されており、これらはクロノグラフの中でも有名な時計と言えるだろう。

距離を割り出すテレメーター

モンブラン 1858 スプリットセコンド クロノグラフ リミテッド エディション 100

2020年に限定発売された「モンブラン 1858 スプリットセコンド クロノグラフ リミテッド エディション 100」。ミネルバのモノプッシャー クロノグラフにインスパイアされたこの限定モデルは、ダイアル中央に渦巻き型のタキメータースケールを、外周にテレメータースケールをそれぞれレイアウト。

テレメーターもまた、クロノグラフの代表的な機能だ。光と音の速度の違いを利用して、距離を計測するものだ。

使い方はシンプルで、光が見えたらスタートボタンを押し、音が聞こえたらストップする。そのときにクロノグラフ針が指している数字が、現在地と光の発信源との距離だ。

これは主に戦時中に、大砲の発砲地点と着弾地点までの距離を計測するのに使われていた。

ほとんどのクロノグラフではタキメーターとともに搭載されており、テレメーター単体で搭載していることは珍しい。