満足のいく1本に出合うためのガイドでありサポーターとして、時計愛好家のみならず、入門者からも好評を得ているISHIDA。中でも都心の店舗とは思えない、ゆったりとしたスペースを構えるのが、旗艦店のひとつであるISHIDA表参道だ。スタッフとの会話を愉しみながら、ワンフロアの店内を巡るひととき。それは単なるショッピングでは得られない、至福のリラクシングタイムである。
Photographs by Masahiro Okamura (CROSSOVER)
竹石祐三:編集・文
Edited & Text by Yuzo Takeishi
[クロノス日本版 2026年3月号掲載記事]
35のブランドが会する都会の隠れ家「ISHIDA表参道」

住所/東京都渋谷区神宮前4-25-15 B1F
営業時間/12:00~19:30(土日祝11:00~19:00)
定休日/無休
時計専門店やブランドブティックが増え、より多くの人が行き交うようになった東京・表参道。ランドマークである表参道ヒルズのほど近くには、うっかりすると通り過ぎてしまいそうな地階への階段が佇み、これを下った先にISHIDA表参道はある。
2006年3月にオープンしたISHIDA表参道は、当初より「海外リゾートのような非日常空間での時計選び」をコンセプトに掲げてきた。それもそのはず、エントランスを抜けるとまず目に飛び込んでくるのは、都心にある店舗とは思えないほどの広々とした空間。通路に十分なスペースを確保しているのみならず、地上の喧騒もまったく届かない静かな店内は、まさに“隠れ家”と呼ぶにふさわしい。店長の三枝淳仁さんは「ISHIDA新宿の1階から5階までーーつまり、ヴィンテージウォッチの売り場を除くすべてのフロアを合わせた面積がワンフロアに広がっています。そのため上下階の行き来がなく、すべてのブランドを見られるようになっている」と説明する。フロアごとにブランド属性の統一感を持たせた新宿の店舗とは異なり、ISHIDA表参道はワンフロアですべての取り扱いブランドを横断して見られるため、比較検討しやすいのが魅力だ。
また同店では基本的に、最初に声掛けをしたスタッフが終始アテンドする接客スタイルを採っている。スタッフはそれぞれが特定のブランドを担当しつつ、幅広い知識を有しているため、さまざまなブランドやモデルを勧められる、提案型の接客が行えるのも強みだ。

ISHIDA表参道が取り扱うマイクロメゾンのひとつが、H.モーザー。本作は、ダイアル素材に光を99.965%吸収するベンタブラックを採用。3針のみをレイアウトしたことで、ミニマルで幻想的な表情に仕上げた、同社の独創性が感じられる1本。自動巻き(Cal.HMC200)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.2mm)。3気圧防水。481万8000円(税込み)。
ISHIDA表参道が取り扱っているのは、時計だけでも実に35ブランド。ここに紹介するカルティエやオメガ、パネライ、ショパールといったメインブランドはブースを構え、またG-SHOCKについては、全国に7店舗しかないコンセプトショップで、限定品も数多く扱う「EDGE」を展開するなど、時計愛好家から入門者まで、来店客の要望に幅広く応えられる店舗になっている。
新しい取り組みとしては、高い品質と独創性を備えたマイクロメゾンの取り扱いを増やしていること。「定番のブランドは押さえつつ、一方では、ごく限られた店舗でないと購入できないマイクロメゾンを扱うことで、ISHIDA表参道のラインナップを広げ、より多くの方が楽しめる売り場を目指しています」と三枝さんが説明する通り、同店ではモリッツ・グロスマンやH.モーザーといった時計愛好家垂涎のブランドを展開。さらに今年は、レデラーやオートランスの取り扱いも始まるというから、店舗に足を運ぶ楽しみがまたひとつ増えそうだ。

ISHIDAのみで販売される限定モデル。トレンブラージュ彫金を施したダイアルをダークグレーのガルバニックコーティングで仕上げ、ムーブメントの3/5プレートにはブランド名が筆記体で刻印されるなど、スペシャルな意匠が目を引く。手巻き(Cal.102.1)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRGケース(直径37mm、厚さ9.2mm)。日常生活防水。世界限定3本。1067万円(税込み)。18KWGケースも展開。
そしてISHIDAの各店舗と同様、表参道のスタッフも大半が、日本時計輸入協会が主催する資格検定制度「ウオッチコーディネーター(CWC)」を取得。時計に関する十分な知識があるため、購入に際しては些細な疑問にも丁寧に答えてくれる安心感がある。さらに同店では、ジュエリーのラインナップも拡充しており、現在7ブランドを展開。CWCと同様、全スタッフの「ジュエリーコーディネーター」取得を目指しており、今後のサービス向上にも期待がかかる。
充実のホスピタリティと、喧騒から離れられる非日常的な空間ーー。ISHIDA表参道には時計選びの伴走者にとどまらない、オンリーワンの魅力がある。
Message for Customers

ISHIDAの企業精神は“Change&Challenge”で、お客様に“感動”と“笑い”と“夢”をお届けし、楽しんでいただくことです。ISHIDA表参道店はオープンして20年余り、表参道の街並みとともに変化してきました。
今はジュエリーの世界に新たに挑戦し、個性的なジュエリーを扱うことでメインの時計と併せて老若男女問わず楽しんでいただける場所になりました。ぜひ、ISHIDA表参道のスタッフと語らいながら人生のマイルストーンになる記念の時計・ジュエリーを選んでください。
CARTIER

正面奥にコーナーを構えるカルティエ。ゴールドの壁面をベースに、ブランドの象徴であり、1930年代より続く赤色をアクセントに加えたブースが、カルティエらしい高貴な雰囲気を漂わせている。
「お客様の層が広く、指名で来店される方が圧倒的に多いのがカルティエです。デザインが独創的なので、比較するブランドが他にないのが理由かもしれません。そのため、ファッション感度の高い方が来られる印象です。お客様の中でも特に男性に人気なのが『サントス』と『タンク』。女性は『パンテール』と、こちらも『タンク』を選ばれる方が多いですね。ブティックとはまた違う、落ち着いて時計をご覧いただけるのも、当店のカルティエ コーナーのメリットです」(佐藤さん)

OMEGA

エントランスを抜けると、すぐ目に留まるのがオメガ。ブースは最新のコンセプトでデザインされ、真紅の絨毯とシンメトリックな佇まいが威風堂々とした印象を与える。中央に設置されたモニターに映し出される映像もドラマティックで、現在はオフィシャルタイムキーパーを務める、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック関連の映像が流れる。
「ブランドバリューが高く、人気が上昇しているオメガは、指名で来られる方と、当店からの提案によって購入されるお客様が半々。多くのモデルをご用意していますが、中でも人気が高いのは『スピードマスター ムーンウォッチ』と『シーマスター ダイバー300M』。安心できる定番モデル2型が特に売れ行き好調です」(三枝さん)

PANERAI

エントランスから左手奥に位置するパネライのコーナーは最新のコンセプトでデザイン。大理石調の床やウッドとスティールを組み合わせた内装によって、ブランドの核である海やテクノロジーを感じさせる世界が構築されている。
「コアなファンが多いイメージですが、当店には初めてパネライに接するようなお客様も多くいらっしゃいます。当店の特長は、ブティックではすぐに売れてしまうようなモデルも比較的購入しやすいこと。そして、2025年に発売された『ルミノール マリーナ』には、工具を使わずにストラップを交換できるPAM クリックリリース システムが付いたので、これに合わせて交換用ストラップの種類も数多く揃えるようにしています」(梶さん)

CHOPARD

正面奥にコーナーを構えるもうひとつのブランドがショパール。2025年11月に移設・拡張したばかりのコーナーは、エレガンスを感じさせるゴールドで統一され、ショパールの描くラグジュアリーな世界観が堪能できる。
ショーケースに並ぶのは、スティールとダイヤモンドを組み合わせた「ハッピースポーツ」に代表されるレディースモデルを中心に、メンズモデルでは、今やショパールの新たなアイコンとして高い支持を得るアルパイン イーグルをはじめ、伝統的なレースとのパートナーシップによって生み出される「ミッレ ミリア」など、名門の魅力が感じられるラインナップだ。



