IWCの腕時計の魅力を解説。代表的なコレクションとおすすめ3選

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2020.07.02

高級時計ブランド「IWC」は、伝統的な時計作りを重んじるスイスメーカーでありながら、アメリカ人により創業され、工房はドイツ語圏であるシャフハウゼンに置くという特異なプロフィールを持っている。そのIWCが有する魅力を探っていこう。


IWCの基礎知識

ビジネスパーソンからファッションの専門家まで、幅広い層が高く評価する高級腕時計ブランドが「IWC」である。

世界的にも高い認知度を誇っているが、ブランドの生い立ちや沿革に独特の背景を持ち、知られざる面も多分に有している面もある。ここで改めて、IWCの姿を確認してみたい。

略称が正式名称の珍しいブランド

IWCが、時計製造の聖地であるスイスで創業したのは1868年のことである。企業名は、「International Watch Company(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)」という。

IWCというブランド名は、その企業名のアルファベットを取ったものだ。略称を正式なブランド名にしているという点で、とても稀有なブランドである。

質実剛健と評される時計づくりは、卓越した技術をもって、時計製造の伝統を守り抜いている。ディテールに細心の注意を払い、ひとつひとつの手作業を自社工場で行い続ける姿勢からは、もの作りへの責任感を強く感じさせる。

名称や会社の沿革

スイスで産声を上げながら、企業名が英語であることに疑問を抱く向きもあるだろう。創業者のフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズは、アメリカ人時計技師なのである。企業名が英語なのはこのためだ。

ジョーンズは、創業後、当時のスイスには見られなかった近代的な生産スタイルを採用する。1人の技師が全ての作業にこだわる風潮の中、分業制を導入し、効率的に良質な時計製造を可能にする技術をいち早く確立した。

本拠地を置いたシャフハウゼンは、ドイツにほど近いスイス北東部に位置している。この場所をジョーンズが選んだ理由は、アメリカの先進的な製造技術を持ち込むのに適していたからだ。

19世紀に入り、シャフハウゼンにはライン川の水流を利用した水力発電所が建設され、工業発展の下地が整いつつあった。工房の駆動力に必要な電力をこの発電所から得ることで、生産力を向上させたのである。

自社規格やモデルチェンジが特徴

世界最高峰の時計製造手法を擁するスイスの技術、ドイツ語圏でもあるシャフハウゼンの職人気質、そしてアメリカ人技師としての知識と経験など、IWCの根底には多様な要素が重なり合っている。

そこから生まれる感性やアイデアが幾重にも重なりあって、IWCは独自の路線を生み出してきたのである。続いて、腕時計ブランドとしての特徴を掘り下げてみよう。

独自の規格を厳格追求

高級品といわれる腕時計のダイアル上で「chronometre(クロノメーター)」という表記を目にしたことがあるだろう。この規格を通過した製品だけが印字することが許されている。

時計業界では、スイス公認の「クロノメーター規格」が大きな権威を有しているが、この規格をクリアすれば、ムーブメントの精度が保証されることになる。

しかし、IWCはあえてこの規格には参加していない。一層厳しい自社規格を独自に設け、高品質をユーザーに対して約束しているのだ。

IWCでは、プロトタイプを衝撃・摩耗・腐食・紫外線・環境の5項目を厳しい基準でテストし、クリアしたものだけが商品化の道を進むことができる。

そして、生産された時計は、最終的に10日間の厳格な検査を経なければユーザーの元には届かない。

継続したモデルチェンジ

IWCのモットーに、「常に作品を進化させる」というものがある。しかも、専門家に評価されることに止まらず、世間・ユーザーに伝わる進化であることを強く意識している。

微細な進化では、専門家には理解されても、一般の時計ファンでは認知できない。世間が評価してこその進化であることに重きを置いているのである。

現在のIWCのラインアップは、大きく6つに分けられる。「ポルトギーゼ」「ポートフィノ」「アクアタイマー」「パイロット・ウォッチ」「インヂュニア」「ダ・ヴィンチ」のいずれかで、毎年のようシリーズの刷新を実施しているのだ。


時計好きを引きつける魅力とは

腕時計ファンが感じる時計の魅力は、ブランドごとに異なれば、人によっても違うだろう。多面的な楽しみ方ができることも、愛好家にとっては時計を愛して止まない理由である。

では、IWCが熱心な愛好家を引きつける魅力とは、いったいどのようなものなのだろうか。その秘密を探ってみたい。

洗練されたデザイン

絶えず継続的にモデルチェンジをしているIWCは、質実剛健な時計への評価と合わせて、ユーザーを飽きさせることのない商品展開や洗練されたデザイン性を両立している点も魅力だ。

ドイツ文化を多分に受けている影響で、スイスブランドに見られる華やかさは影を潜める。貴金属ブランドの時計のように宝石をゴージャスに使用することも皆無だ。

しかしながら、一度見たら脳裏に焼き付くような、独特の気品と存在感をたたえている。そのような不思議な引力が備わっているものが、IWCの時計なのである。

シンプルさの裏に隠された緻密な設計と、それによって実現されたスタイリッシュさと上品さに、IWCの魅力の秘密があるのだろう。

生産終了モデルでも修理対応

IWCのもの作りへの責任感が強く感じられる点に「永久修理」を掲げていることがあげられる。作ったものは直す、この姿勢を徹底して貫き続ける強靭な意思に、IWCの理念が詰まっている。

通常の時計メーカーでは、当該モデルの生産が終了して暫くすると、修理の受け付けは終了となる。販売していないモデルの部品の製造や保管には、販売中の時計のパーツを超えるコストがかかるためだ。

しかし、IWCではこのようなことはない。1868年の創業以来、販売してきた時計全てにおいて、今もなお修理を受け付けている。

アンティーク市場において、一定のポジションを確立しているのも、この永久修理を実践していることが影響しているのだ。