ブライトリングの新たな選択肢「プレミエ B01 クロノグラフ 42」の実力

FEATUREWatchTime
2020.02.23

2018年に誕生した「プレミエ」コレクションは、ブライトリングらしさを残しつつも、これまでの同社のクラシカルなパイロットウォッチやダイバーズウォッチとは一線を画す存在だ。今回は、この新しいラインにおけるフラッグシップモデル「プレミエ B01 クロノグラフ 42」をレビューし、その魅力を探ってみたい。

プレミエ B01 クロノグラフ 42

「プレミエ」のコレクション名とデザインは、1940年代に発表されたエレガントなモデルがベース。ムーブメントには自社製のキャリバー01を搭載する。
Originally published on watchtime.com
Text by Martina Richter
Edit by Yuzo Takeishi

 「プレミエ」コレクションは、ダイアル外周に回転計算尺を設けた「ナビタイマー」や逆回転防止機能付きベゼルを備えた「クロノマット」とは対照的だ。しかし過去を振り返ると、このモデルがブライトリングらしさを携えた時計であることは明白だ。もちろん、現在の「プレミエ」を手に取る多くの人は、40年代に最初のモデルが発表されたときには生まれてもいなかっただろうから、それを知る由もないだろう。混乱と新たな始まりがあったこの時代、「プレミエ」は信頼性と価値、エレガンスを伝えるものであった。そしてスピードが加速した現代でも、ゆったりとした時の流れを感じられるこれらの要素は市場から歓迎されている。

 新しい「プレミエ」は、そのネーミングによって当時を想起させるだけではなく、デザイン面でも40年代当時の雰囲気を感じさせてくれる。そしてブライトリングのCEO、ジョージ・カーンによれば、このコレクションは「日々の生活にエレガンスをもたらす、初のブライトリングによるモダンピース」であるという。


現在のトレンドを踏まえた“パンダ”ダイアル

 今回のテスト機である「プレミエ B01 クロノグラフ 42」は新コレクションのフラッグシップモデルだ。モデル名からも分かるとおり、ムーブメントには自社製のキャリバー01を搭載。シルバーまたはブルーの文字盤にブラックのインダイアルを組み合わせたレギュラーモデルに加え、ベントレーモーターズとのパートナーシップを記念したモデルもラインナップしており、「プレミエ B01 クロノグラフ 42 ベントレー」にはブリティッシュ・レーシング・グリーンの文字盤を、限定モデルの「プレミエ B01 クロノグラフ 42 ベントレー センテナリー リミテッドエディション」は18Kレッドゴールドケースとブラウン文字盤をそれぞれ採用している。この中で私たちがテストしたのは、ステンレススティール・ケースを採用したレギュラーモデルだ。

プレミエ B01 クロノグラフ 42

2カウンターの端正なパンダダイアルには、6時位置にデイト表示、外周にタイメーターを配している。

 まずデイト表示は文字盤の6時位置に配しており、視認性は良好だ。これはキャリバー01が12時間積算計をなくしたことで、従来は4時と5時の間に設けられていたデイト表示を6時位置にシフトできるようになったためである。3時と9時位置にある2つの黒いインダイアルは、文字どおりの“パンダ”フェイスで、ホワイトダイアルとのコントラストによって判読しやすくなっている。そのインダイアルは3時位置が分積算計、9時位置がスモールセコンドという配置。この2カウンターによって「プレミエ B01 クロノグラフ 42」はバランスの取れたルックスを実現し、トレンドもしっかりと捉えたモデルとなった。もっとも、クロノグラフの計測時間は最長30分となったわけだが、スピードが求められる現代社会において30分以上の時間計測は必要だろうか。ましてや「プレミエ B01 クロノグラフ 42」は“ゆったりとした”時の流れを感じられるようにデザインされているのだから。


自社製ムーブメントはロングパワーリザーブを実現し、動作も軽快

 ゆったりとした生活の中で、ブライトリングの自社製ムーブメントはパフォーマンスを発揮する。なぜなら、70時間以上のパワーリザーブを実現しているため、手首から時計を外し、置いたままにしても止まってしまう心配がないからだ。今回テストしている間も、振り角は少しずつ落ちているものの、安定した作動状態を見せた。これは、クロノグラフの動作についても同様だ。振り角は約265°で、日差は+2.4秒。あらゆる状況でクロノメーター取得ムーブメントの実力を発揮しており、それは長年にわたってブライトリングがすべての時計で実践してきた基準である。

プレミエ B01 クロノグラフ 42

今回テストしたムーブメントはクロノメーターを取得し、70時間以上のパワーリザーブを保持する。

 「プレミエ B01 クロノグラフ 42」はクロノメーターを取得しているのみならず、ブライトリングの名を広めることとなった“計器”としての実力も示している。クロノグラフ針は繊細ながらも先端を赤くすることで判読性を高め、文字盤外周に記されたセコンドトラック上を滑らかに移動する。レトロな魅力を放つ反射防止加工が施されたドーム型サファイアクリスタルの下で、ブライトリングが誇る高精度が実現されているわけだ。40年代に発表された「プレミエ」は、ブライトリングで初めて文字盤にモデル名を配した時計だったが、「プレミエ B01 クロノグラフ 42」も文字盤には「PREMIER」の文字を記している。また、時分針にはわずかな蓄光塗料を塗布。照明の状態によってはやや時刻が判読しにくいものの、これが時計のさり気ないエレガンスを演出。もちろん、日中の判読性は優れていることを付け加えておく。

プレミエ B01 クロノグラフ 42

サイドのプッシュボタンで開閉する折りたたみ式のバックル。


スポーティかつエレガントなケースが手首に馴染む

 ポリッシュとサテン仕上げを組み合わせたスポーティなステンレススティール製ケースは100mの防水性を実現。42.5mmのケース径は小さいとは言えず、ケース厚も13.81mmだが、考え抜かれた構造によって厚すぎる印象を受けない。ベゼルには幅の狭いステップを設け、ケースバックはシースルー仕様。リュウズは非ねじ込み式で、掴みやすく巻き上げも行いやすいうえに、必要な操作ポジションに引き出して操作できる。2時位置のモダンな長方形のプッシュボタンはクロノグラフ操作の際にある程度強く押す必要がある一方、4時位置のプッシュボタンによるリセットは比較的スムーズな押し心地だ。ラグは鋭角で、表面をポリッシュ仕上げとしていることで、全体的にエレガンスな雰囲気を与えていると言えるだろう。またこの鋭角なラグによって、手首が細い人でも高いフィット感を得られるはずだ。

プレミエ B01 クロノグラフ 42

スポーティなケースにはドーム型サファイアクリスタル、ステップベゼル、モダンなフォルムのプッシュボタン、そして傾斜のあるラグを組み合わせている。


「プレミエ B01 クロノグラフ 42」はブライトリングの新たな選択肢の1つ

 「プレミエ B01 クロノグラフ 42」は、ブライトリングの他モデルにはない時代を超えたエレガンスを放っているうえに、搭載する自社製ムーブメントも高性能なタイムピース。これまでブライトリングの時計に対してトゥーマッチなイメージを抱いていた人にとっては、間違いなく新鮮な印象を与えてくれるはずだ。

ブライトリング「プレミエ B01 クロノグラフ 42」
自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径42mm)。100m防水。91万円(税別)。


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