【インタビュー】セイコーウォッチ代表取締役社長「高橋修司」

2020.05.03
三田村優:写真 Photograph by Yu Mitamura
広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)

世界市場でGSをラグジュアリーとして確立させたい

 日本に限らず、海外でも好調なグランドセイコー。10年前の、日本でしか認知されていなかった時代を知る者としては、隔世の感がある。牽引してきたのはセイコーウオッチ代表取締役社長兼COO兼CMO(チーフマーケティングオフィサー)の高橋修司だ。2015年に同社取締役専務執行役員兼CBO(チーフブランディングオフィサー)に就任して以降、矢継ぎ早に改革を打ち出してきた。

高橋修司

高橋修司
1957年、東京都生まれ。セイコーウオッチ代表取締役社長兼COO兼CMO(チーフマーケティングオフィサー)。1980年に早稲田大学理工学部を卒業後、服部時計店(現セイコーホールディングス)に入社。商品企画、広報宣伝部門などを経て、2012年にはセイコーウオッチ取締役執行役員となる。15年からは同社取締役専務執行役員兼CBO(チーフブランディングオフィサー)に就任。2017年より現職。グランドセイコー躍進の立役者。

「17年の独立ブランド化以前と比べて、海外市場の売り上げは2年で約3倍、アメリカでは約4倍に拡大しました。最新の第4四半期データ(19年12月までの3カ月)によると、アメリカ市場での5000ドルから1万ドルの価格帯における実売ランキングは5位から4位へとさらに上がりました。アメリカではラグジュアリーブランドとしての地位を確立しつつあると言えるでしょう。続いてヨーロッパでも新会社の営業を開始し、現地法人が担当しているGSビジネスを移管します」。高橋はグランドセイコーの立ち位置を冷静に見ている。

「今までのラグジュアリーというのは、足し算が好まれました。対してGSは引き算をやってきた。ミニマルが良いという時代の流れに乗ったと思います。ラグジュアリーは、スペックを比較するものではありません。最大公約数的なモノづくりから、あえて距離を置き、アイデンティティーを打ち出したのも功を奏したのでしょう」

 特に面白いのは欧米への注力だ。すでにGSが支持されているアジアではなく、なぜ攻略が難しい市場を選んだのか?

「ほかの市場も重要ですが、ラグジュアリーでは成熟した市場で認知を得ることが大事だと思っています。ですから、アジアよりもヨーロッパなのです」

 ラグジュアリー化を一層加速させるのが、20年に発表されたふたつのムーブメントだ。いずれも量産機としては驚くべきパフォーマンスを持っている。

「一言で言えばGS史上、最高のハイスペックキャリバーですね。メカニカルは2011年から開発を始めていました。高精度、長い駆動時間、そして薄型化を実現しました。一方のスプリングドライブは、長い駆動時間、薄型化、そして堅牢さを盛り込んでいます。まだ具体的にお話しする段階ではないのですが、時計の本質を極めるという意味では、さらなる高精度の追求があり、移ろいゆく時の表現としてはパーペチュアルカレンダーなども考えられるでしょうね」。彼は話を続ける。「60というのは、時計の針が1周回った状態ですね。60周年を迎えた2020年は、GSが真のグローバルラグジュアリーブランドに向けて新たなサイクルを歩み始める年、新しいステージに上がる年だと思っています」。

グランドセイコー エレガンスコレクション 初代グランドセイコーデザイン復刻モデル SBGW258

グランドセイコー エレガンスコレクション 初代グランドセイコーデザイン復刻モデル SBGW258
GS誕生60周年を記念してレギュラー化された初代モデルのデザイン復刻版。基本仕様は2017年の復刻版に同じだが、バックルが3つ折れ式になり実用性を増した。高級機らしく、インデックスは18Kゴールド製。手巻き(Cal.9S64)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KYG(直径38.0mm、厚さ10.9mm)。グランドセイコーブティック限定。280万円。6月6日発売予定。


Contact info: グランドセイコー専用ダイヤル Tel.0120-302-617

【2020新作時計】グランドセイコー「エレガンスコレクション グランドセイコー60周年記念限定モデル」

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