ジャガー・ルクルトのトゥールビヨンモデルは?種類とおすすめ6選

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2022.05.14

数々の複雑機構を製作することで知られるジャガー・ルクルトは、トゥールビヨンにおいても圧倒的な技術力と創造性を見せつける。独自機構と組み合わせた時計も秀逸な、ジャガー・ルクルトのトゥールビヨン搭載モデル6選を紹介しよう。


トゥールビヨンの進化

トゥールビヨンは3大複雑機構のひとつとして知られるが、1980年代以降、さまざまな時計メーカーが技術を刷新するべく尽力している。

調速脱進機をキャリッジに格納して回転させるこの機構が、どのような派生形を生み、進化しているのかを見ていこう。

トゥールビヨンの主な種類

「トゥールビヨン」はブリッジで固定したキャリッジが一定周期で回転する構造だ。60秒周期で1回転する動きを利用して、秒針を取り付けるモデルもある。

「フライングトゥールビヨン」は、ブリッジを巧妙に隠したり部品を透明にしたりして、キャリッジが浮いているかのように見せる機構。

そして「ジャイロトゥールビヨン」は球体のキャリッジを採用し、2軸以上で複数方向に回転する仕組みを持つ。ジャガー・ルクルトは、同じく多軸球体トゥールビヨンの「スフェロトゥールビヨン」も採用する。

マスター・グランド・トラディション・ジャイロトゥールビヨン

トゥールビヨン・ブリッジがないため、まるでジャイロトゥールビヨンが浮いているかのように見える2019年発表の「マスター・グランド・トラディション・ジャイロトゥールビヨン 3 ‘メテオライト’」。手巻き(Cal.176)。82石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KPG(直径43.5mm)。50m防水。世界限定8本。

各メーカーでの実用的な進化

トゥールビヨン搭載モデルは1000万円以上の超高級腕時計となることが一般的だが、タグ・ホイヤーなど一部の時計ブランドは、100万円台や200万円台のモデルも展開している。

基本的に、機構の複雑さと耐振動性や耐衝撃性はトレードオフの関係にあるが、リシャール・ミルではV字ブリッジの採用により「耐振動トゥールビヨン」を完成させた。

また、キャリッジの小型化や新機軸のローターなど技術開発も進んでおり、最薄トゥールビヨンウォッチで知られるブルガリの「オクト フィニッシモ トゥールビヨン オートマティック」に至っては、わずか1.95mmのムーブメント厚を実現している。


マスターの搭載モデル

「マスター」は「1000時間コントロールテスト」を初めて実施したコレクションである。クラシカルなラウンドケースにトゥールビヨンを搭載した、高度なコンプリケーション2モデルを紹介しよう。

マスター・トゥールビヨン

マスター・トゥールビヨン・デュアルタイム

マスター・トゥールビヨン・デュアルタイム
自動巻き(Cal.978B)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWG(直径41.5mm)。5気圧防水。968万円(税別)。

「マスター・トゥールビヨン・デュアルタイム(Ref.1563480)」は、ベゼルやインデックスにダイヤモンドをセットした、エレガントなトゥールビヨン搭載モデルだ。

サンレイ仕上げのブルーダイアルは外周に日付インデックスを配し、針で日付を指し示す。6時位置のトゥールビヨンによって15日と16日は分断されており、この間は日付針が4時間弱で移動する仕組みになっている。

ダイアル12時位置の24時間表示は、24時の表示を下部にレイアウトすることで、ホームタイムの昼夜をひと目で判断できる。上品なデザインだけでなく、機能性にも配慮が行き届いたモデルだ。

マスター・ウルトラスリム・ミニッツリピーター・フライングトゥールビヨン

マスター・ウルトラスリム・ミニッツリピーター・フライングトゥールビヨン

マスター・ウルトラスリム・ミニッツリピーター・フライングトゥールビヨン
自動巻き(Cal.362)。72石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KWG(直径41mm)。3気圧防水。

「マスター・ウルトラスリム・ミニッツリピーター・フライングトゥールビヨン(Ref.1313520)」は、ミニッツリピーターとフライングトゥールビヨンを搭載した極薄モデルだ。

566の部品からなるCal.362は厚さ4.7mm、ケース厚もわずか7.8mmで、搭載する複雑機構に対して驚異的な薄さを誇る。

ダイアルは、表示要素を最小限に抑えたミニマルなデザインだ。6時方向のフライングトゥールビヨンに加え、ダイアル外周の12カ所の窓から、リズミカルに駆動するペリフェラルローターを静かに鑑賞できる。