一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は、柔道家の野村忠宏が選ぶ腕時計を紹介しよう!
野村忠宏
1974年、奈良県生まれの野村忠宏。アトランタ(1996年)、シドニー(2000年)、アテネ(04年)のオリンピックで柔道史上初となる3連覇を達成した柔道家だ。身長164cmの小柄な身体から切れのある多彩な技を繰り出す姿より「小さな巨人」「平成の三四郎」とも呼ばれた天才的なアスリートである。2015年に40歳で現役を引退してからは、講演活動やメディア出演でも活動中。今回紹介するのは、2018年7月に行われた「東京2020オリンピック・パラリンピック」の開幕2年前イベントに登場した際の姿だ。提灯を持つ手元に注目してみよう。
8本のネジがベゼルに埋め込まれたオクタゴンケース、文字盤側6時から9時位置にかけて大きくレイアウトされたゴールドカラーのブリッジとテンプ。これは、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク・ダブル バランスホイール・オープンワーク」だ。
オーデマ ピゲ
「ロイヤル オーク・ダブル バランスホイール・オープンワーク」
オーデマ ピゲが2016年に発表した「ロイヤル オーク・ダブル バランスホイール・オープンワーク」。美しく複雑に入り組むムーブメントが見事なオープンワーク仕様の時計だ。最も着目すべき点は、文字盤側の8時位置に配されたテンプにある。モデル名の「ダブル バランスホイール」が表すとおり、ふたつのテンプが同軸上に重ねられているのだ。テンプを2枚にした利点は、振動数を落とすことなくテンプの慣性モーメントを大きくし、等時性を高められることにある。また、各テンプを180°回転させて上下に固定することで、ヒゲゼンマイが伸縮する際の重心のズレ(非対称性)を相殺することも等時性の向上に貢献する。なお、テンプを2枚水平横並びではなく垂直に配したこの設計は、ディファレンシャルギアなどを不要とする非常にスマートな設計だ。オーデマ ピゲはこの設計を既存ムーブメント(自動巻きキャリバー3120)に組み込み、1枚のテンプ使用時に比べて約30%の精度向上を実現、かつ特許も取得した。複雑な見た目が審美性に優れるだけでなく、合理的に作られた設計思想も特筆に値する。
野村忠宏はファッション好きとしても知られ、2004年にはベストドレッサー賞スポーツ部門を受賞している。腕時計では他に「セイコー アストロン」や、フランク ミュラー「コンキスタドール」など個性豊かなものが確認されてきた。「東京2020聖火リレーアンバサダー」などフォーマルなスーツ姿を見かけることの多い昨今は、おおむねこのロイヤル オークが合わせられている。ロイヤル オークといえばラグジュアリースポーツウォッチの先駆けとして知られ、TPOを選ばない「万能時計」と呼ばれる位置付けにあるが、その中でも異彩を放つこのモデルを手にしたところに野村忠宏のキャラクターが光るようだ。
東京2020オリンピック聖火が日本に到着 https://t.co/fIBTgefvdO
— 野村忠宏 (@nomura60kg) March 20, 2020
https://www.webchronos.net/news/44437/