オーデマ ピゲ CODE 11.59 New Complication

FEATURE本誌記事
2020.12.11

伝統と革新が交叉する場所
MUSEE ATELIER AUDEMARS PIGUET

1875年にジュウ渓谷のル・ブラッシュに創業したオーデマ ピゲ。現在の本社機能は、近隣に新設された工房に移されているが、創業当初の建物もまだ同地に残っている。こうした歴史的建造物のリノベーションプロジェクトがようやく一段落し、新たに「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」も落成。山深いル・ブラッシュの地に突如出現した近代建築には、同社が19世紀から培ってきた伝統と革新性が交叉する。

 2014年頃から水面下で進められてきた、ジュウ渓谷ル・ブラッシュに残る歴史的建造物のリノベーションプロジェクト。そのハイライトとなる「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」が、ついに落成の時を迎えた。1875年の創業当初から残る社屋に隣接して建てられた新しいミュージアムは、オーデマ ピゲの歴史と伝統のすべてを収蔵するのみならず、BIG(ビャルケ・インゲルスグループ)の手による近代的な外観が与えられた。本稿ではCODE 11.59の本質的な魅力を、歴史と伝統の再解釈と、その拡散だと定義してきたが、まさしくここは伝統と革新が交叉する場所だ。

スパイラル状に構築されたガラスのパビリオン(BIGによる設計)と、隣接する19世紀の旧社屋。新旧の景観が交錯する様子は、伝統と革新を貫くオーデマ ピゲの姿勢そのものだ。

 スパイラル状に構築されたミュージアムスペースの中心部には、ふたつの専門アトリエが設けられており、高級時計製造の中でも卓抜した手技が必要とされる、グランドコンプリケーションとメティエダールが、ここで実際に手掛けられている。ミュージアムのハイライトとなる「オーデマ ピゲ・ヘリテージコレクション」の展示スペースは、グランドコンプリケーション工房の目の前。中央部に置かれた1899年製の超大作「ユニヴェルセル」を取り囲むように、300本を超える収蔵品が展示されている。スパイラルの外周部分にはワークベンチが据え付けられ、外光を効率良く取り込むことができる場所で、実際に時計師の作業を見ることも可能だ。現代建築にセノグラフィー(舞台美術)の手法と、ジュウ渓谷で19世紀から培われてきた伝統が融合した、実に印象的な光景だ。現在はまだまだ難しいとしても、筆者自身、COVID-19が収束したらすぐにでも訪れてみたい場所の筆頭なのである。

スパイラルの外周に設置されたワークベンチ。現代建築と舞台美術の妙を融合させるコンセプトが見事。雪に閉ざされながら作業に没頭した19世紀のキャビノチェたちからは、想像もつかないほど近代的な景観だ。

Contact info: オーデマ ピゲ ジャパン TEL:03-6830-0000
https://www.audemarspiguet.com


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