カシオ「G-SHOCK」カーボンで武装した新世代フロッグマンの真価

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2021.07.21

ディテールの積み重ねによって進化した最新フロッグマンのデザインと耐久性

「GWF-A1000XC」と「GWF-A1000C」はともに、「MASTER OF G」にふさわしい性能を有する一方で、ファッションアイコンとして支持を得るG-SHOCKらしくデザインにも注力している。とりわけそれを象徴するのが、「GWF-A1000XC」に採用されたカーボンベゼルである。G-SHOCKは2019年にカーボンコアガード構造を採用したモデルを複数発表し、以来カーボンは同ブランドの主要マテリアルに位置付けられているが、軽さと耐久性を併せ持ち、そのうえ加飾性も備えるこの素材が、いよいよフロッグマンにも投入されたのだ。

「GWF-A1000XC」のベゼルは表層部も含めると全6層で構成される。時計本体に近いa層と表面層に近いe層はグレーのGFRP(ガラス繊維強化樹脂)、b層とd層にはブラックのCFRP(炭素繊維強化樹脂)、センターに位置するc層にはオレンジのGFRPを使用。側面のルックスにもユニークな表情を生み出している。

 カーボンを積層させて成型したベゼルは「GWF-A1000XC」のデザインにおいてまず目を引くポイントだ。もっともこの積層カーボンは、2019年にリリースされた「グラビティマスター GWR-B1000」にも採用されており、それ自体は決して目新しい技術ではない。そこでフロッグマンでは新しい構造を取り入れ、デザイン面での進化を図っている。

表面層にカーボンシートを施した積層ベゼルを採用することで、正面と側面のどちらから見ても時計のデザインを楽しめるようにしている。

 カーボンシートを52層にも重ね、熱圧縮によって成型していたグラビティマスターのベゼルに対し、フロッグマンでは複数枚の強化樹脂板を圧縮して層を形成。その組み合わせはユニークで、最下層面となる1層目と上部に位置する5層目にはグレーのガラス繊維強化樹脂(GFRP)、2層目と4層目にはブラックの炭素繊維強化樹脂(CFRP)、そして中間に位置する3層目にはオレンジのGFRPを重ね、さらに表面には綾織のパターンが浮かぶカーボンシートを配している。つまり、時計を正面から見た際にカーボン特有の模様がアクセントになるだけでなく、時計を側面から捉えたときには樹脂の積層がデザインとして映えるクリエイションになっているのだ。

「GWF-A1000XC」はケースの形状に合わせてベゼルの裏面を切削。成型したパーツにさらに切削を施すのも難しいという。

「GWF-A1000C」のベゼルにはステンレススティールを採用。表面にはカシオが得意とするブルーIPを施し、鮮やかな光沢が時計に華を添える。

 もちろん、このクリエイションは単純に加飾だけを考えて採用したわけではなく、時計としての高い性能もクリアすることが念頭に置かれている。また、グレーやオレンジのGFRPを採用した最大の理由は“映え”だが、CFRPの次に高強度な素材である特性を考慮してGFRPが選ばれている。他の素材を選択することも可能だったようだが、強度が低いものを使ったのでは単なるファッションウォッチになってしまう。つまり、強度を担保したうえで加飾性も高められるという総合的判断からGFRPを採用しているのだ。

(左上)「GWF-A1000XC」のカーボンベゼルは、インダイアルに用いられたオレンジとともに存在感を放つ。
(右上)「GWF-A1000C」はブルーIPを施したステンレススティール製ベゼルをセット。精悍なブラックの樹脂製ケースに彩りを添えている。
(左下)両モデルとも、ケースと裏蓋を一体化させたカーボンモノコックケースを採用し、ISO規格200mの防水性を実現。ケースバックにはおなじみのカエルのキャラクターも描かれる。
(右下)中ゴマのエクステンション機構で13mm、バックルのフリーアジャスト機構で18mmの調整が可能なダブルアジャストバックル。日常はもちろん、ウエットスーツの上からでも容易に着用できる。

 また、新しいフロッグマンにおいては、ローレットを施したリュウズもデザインアクセントになっている。こうした意匠は現在、NC加工によって入れられることが多いが、このモデルでは専用の工作機械によってひとつひとつ刻みを施し、手作業ならではの味わい深い表情を生み出しているのも特徴だ。前出の小島氏は「メーカーを訪ねるとさまざまな技術が眠っており、これらは一度失われてしまうと復活させるのが難しい。だからこそ共存して、技術をしっかりと引き継いでいくことが大切」と、その重要性についても付け加える。

ベゼルに用いられたオレンジの差し色に合わせてダイアルも調色。インダイアルのリングは下層にシール状のメタル板があり、上面にクリア塗装を施すことで光沢を生み出している。

一方の「GWF-A1000C」は、ベゼルのブルーIPに合わせてクリアブルーの文字盤を使用。レッドやイエローのカラーもポイントで取り入れ、ダイビングモデルらしい軽快な雰囲気に。

ローレット加工を施したリュウズ。デザイナーとの協議によって考案された意匠は、ひとつひとつの溝が手作業で刻まれており、味のある表情を生み出すとともに、時計に付加価値を与えている。

 時計本体はもちろん、コンポジットバンドを新たに装備することで「MASTER OF G」にふさわしい性能を手に入れ、かつG-SHOCKならではの躍動感のあるデザインも実現。プロフェッショナルダイバーはもちろんのこと、G-SHOCKファンや時計愛好家をも唸らせる隙のないクリエイションこそ、新型フロッグマンの真価である。

GWF-A1000XC

GWF-A1000XC
シリーズ初となるカーボンコンポジットバンドに加え、新しいカーボン積層ベゼルを装備したアナログ表示仕様モデル。初代モデルを踏襲した左右非対称のデザインを継承しながら、蓄光塗料を塗布した大型の時分針によって視認性を高めている。Bluetoothによるスマートフォンとの連携機能も搭載。タフソーラー。フル充電時約30カ月(パワーセーブ時)。樹脂ケース(直径53.3mm)。ISO200m潜水用防水。17万500円(税込み)。
GWF-A1000C

GWF-A1000C
こちらもコンポジットバンドを装備しながらも、中ゴマにはファインレジンを使用して軽さと耐久性を両立。ブルーIPを施したステンレススティール製のベゼルに加え、ダイアルにはイエローの秒針やレッドの防水性能表記を差し色とすることで、ダイバーズモデルらしいアクティブな表情に。タフソーラー。フル充電時約30カ月(パワーセーブ時)。樹脂ケース(直径53.3mm)。ISO200m潜水用防水。13万2000円(税込み)。

Contact info: カシオ計算機お客様相談室 Tel.03-5334-4869
https://gshock.casio.com/jp/products/frogman/gwf-a1000/


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