世界のセレブたちがどんな時計を着けているのか、ワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は俳優シルヴェスター・スタローンが着用しているロレックスとパテック フィリップの腕時計を紹介しよう。
Text by Yukaco Numamoto
2023年3月19日掲載記事
数々の出演作でトップ興行を獲得してきたシルヴェスター・スタローン
アメリカ合衆国の映画史上、6つの年代(1970年代~2020年代)における出演作でトップ興行を獲得した記録を持つ唯一の存在がシルヴェスター・スタローンである。多くの人が知るスタローン主演の「ロッキー」シリーズは1976年に制作されて以来、その後の物語を描く続編が製作されており、「ロッキー2」「ロッキー3」「ロッキー4/炎の友情」「ロッキー5/最後のドラマ」「ロッキー・ザ・ファイナル」とシリーズ化され、スピンオフ作品の「クリード チャンプを継ぐ男」「クリード 炎の宿敵」が製作されている。
シルヴェスター・スタローンは米国ニューヨークで、美容師の父と、占星家でありダンサー、女子レスリングプロモーターである母のもと長男として生まれた。生まれる際の分娩中に鉗子の使い方にミスがあったため、顔の左下あたりに麻痺が残り、舌足らずな発音が引き起こされ、少年時代にはいじめを受けていた。その結果、ボディビルディングと演技に打ち込むようになったのが演技を始めるきっかけだという。
デビューして間もない頃はソフトコアポルノ映画に約200USドル(当時)の報酬で出演したり、ホームレス生活を経験したりしながらエキストラ役を務めるハードな毎日を過ごしていたが、1975年3月24日、モハメド・アリ対チャック・ウェプナーの試合を観戦したスタローンはその夜から脚本を書き始め、3日で「ロッキー」の第1稿を完成させた。スタローンは主演を兼任するつもりで、複数のスタジオに脚本を売り込んだ。脚本に興味を示したスタジオはロバート・レッドフォードなど別の俳優を採用するつもりだったが、スタローンは主演でない限り脚本を売らないと拒否し続け、最終的に主役の座を射止めた経緯がある。
1977年のアカデミー賞において、スタローンはアカデミー主演男優賞と脚本賞にノミネートされ、受賞には至らなかったものの、作品賞、監督賞、編集賞を受賞した。1982年には「ランボー」でベトナム帰還兵を演じ、シリーズ化された。こういった役柄のためにスタローンは過酷なトレーニングを実行していた。週6日のジム通い、さらに夜にも筋トレを行い、「ロッキー3」の時には体脂肪率を生涯最低の2.8%まで落とした。
その後もヒット作に出演し、2019年には「ランボー ラスト・ブラッド」の公開初週に約1890万USドルの興行収入を記録した。これはシリーズで最高のスタートを切り、約5000万USドルの制作費に対して全世界での興行収入は約9100万ドルとなった。
現在も戦闘ビデオゲームでランボー役として声の出演をするなど、現代的な需要にも積極的に応えている。
スタローンが愛用する腕時計はロレックスの「オイスター パーペチュアル デイデイト」
2022年11月11日にニューヨークのシリウスXMスタジオを訪問した際のシルヴェスター・スタローンの手元を見ると、着用されていたのはロレックスの「オイスター パーペチュアル デイデイト」である。
日付とフルスペルの曜日表示をふたつの小窓にそれぞれ表示するオイスター パーペチュアル デイデイトは開発当初、スケジュールを完全に管理する必要がある人々に大きな解決策をもたらす腕時計として誕生した。1956年に発表され、一説によると同年に当時のアメリカ大統領アイゼンハワーに贈られている。最も特徴的なポイントは曜日表示だろう。この曜日表示は26カ国の言語から選択が可能である。ロレックスの中でも特別な存在となっているデイデイトはバリエーションが多く存在しているが、スタローンが愛用しているモデルはターコイズブルーの通称「ステラダイアル」を備えたものである。1970年代に初めて市場に登場したこのダイアルは、ラッカー仕上げで艶がある。ステラはイタリア語で星を意味し、ダイアルが輝いていることにちなんで名付けられた。
シルヴェスター・スタローンはパテック フィリップの「ノーチラス」も着用
シルヴェスター・スタローンのもう1本の愛用時計を紹介しよう。パテック フィリップの「ノーチラス」だ。1976年に発表されたノーチラスは現在でも進化を続け、さまざまな素材、デザインで展開されている。丸みを帯びた8角形のベゼルと水平に刻まれたダイアルは角度によって表情を変える。
シルヴェスター・スタローンの着用モデルはクロノグラフ搭載モデルだ。クロノグラフ表示をひとつに絞ることによって、日付表示部分に十分なゆとりが残されている。
家族を愛するシルヴェスター・スタローン
スタローンは3回結婚している。実は2022年の夏ごろには25年連れ添った妻のジェニファー・フレイヴィンに離婚を申請され、関係は回復不可能だと言われていたが、話し合いを行った結果、離婚を免れることができたという。これがきっかけで家族の重要性に気付くことができたとインタビューでも語っている。「あれにはとんでもなく動揺したと言っておこう」と語るスタローンは私生活においては無敵ではないようだ。自身のInstagramにも度々妻や娘と寄り添う写真が投稿されており、幸せいっぱいなように見えるが、これは努力の賜物なのである。
ヒット作、シリーズ作に次々と出演した多忙な毎日の代償ともいえる突然の離婚申請であったが、スタローンは「子供たちが成長する間、十分な注意を払ってこなかった」と反省しきりだ。娘たちに対して失った時間を取り戻し、彼女たちの生活に少し関わることができるようになったと語るスタローン。2023年で77歳になるが、まだまだ第一線での活躍は続きそうだ。9月には「エクスペンタブルズ4」の公開が予定されており、公開を楽しみにしている日本のファンも多いことだろう。
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