2023年 ジャガー・ルクルトの新作時計まとめ

FEATURE2023年新作時計
2023.03.29

“機械屋”として屈指の開発力を持つジャガー・ルクルト。毎年のように新型ムーブメントを載せた複雑系を披露してきたが、それは今年も変わらない。両面に表示を持つ「レベルソ・ハイブリス・アーティスティカ キャリバー179」には、新たなデザインの意匠が加えられた。


レベルソ・シークレット ネックレス

 レベルソの誕生直後からラインナップされてきた女性用モデルの系譜を引き継ぎ、特徴的な反転式ケースを再解釈してネックレスとして仕立てた「レベルソ・シークレット ネックレス」が発表された。

レベルソ・シークレット ネックレス

ジャガー・ルクルト「レベルソ・シークレット ネックレス」
手巻き(Cal.846)。17石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。18KPGケース(縦36.78×横18mm、厚さ9.51mm)。価格要問い合わせ。

 かつてのルクルト社では、レベルソに限らず、ジュエリーやアクセサリーとして身に着けることができる腕時計のデザイン性および技術的な可能性に気づき、早い段階から女性用の腕時計の製造を行ってきた。また、ジュエリーの技術を組み合わせ、コルドネ ブレスレットに装着するモデルや、ブローチやハンドバック クリップ、ペンダントとなるモデルをラインナップしてきた歴史を持つ。

レベルソ・シークレット ネックレス

 本作はこのようなジャガー・ルクルトの技術力と創造力が発揮されたモデルであり、アイコニックなシルエットとアイコンであるゴドロン装飾を取り入れたピンクゴールド製の反転式ケースは、裏側全面にアール・デコに着想を得たホワイトダイヤモンドとブラックオニキスによる幾何学模様を施している。

このケースを、ダイヤモンドがセットされたリンクとオニキスビーズを使ったチェーンによって吊り下げ、ロングネックレスとして仕立てている。




レベルソ・トリビュート・デュオ・トゥールビヨン

 1993年発表のレベルソ・トゥールビヨンにインスパイアされた「レベルソ・トリビュート・デュオ・トゥールビヨン」が発表された。

 2018年発表のCal.847を搭載する本作はデュオコンセプトを取り入れており、両面で異なるデザインを採用しつつ、裏ダイアルには第2時間帯およびデイ/ナイト表示を備える。

レベルソ・トリビュート・デュオ・トゥールビヨン

ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・デュオ・トゥールビヨン」
トゥールビヨンと第2時間帯およびデイ/ナイト表示を備えつつ、ケース仕上がり厚さは9.15mmに抑えられており、エレガントなプロポーションを実現している。手巻き(Cal.847)。31石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。18KPGケース(縦45.5×横27.4mm、厚さ9.15mm)。30m防水。価格要問い合わせ。

 フライング トゥールビヨンとデュオ コンプリケーションを組み合わせたCal.847は厚さ3.9mmと薄型に仕上げられている。この実現のために、テンプを固定する上側のブリッジを削除するだけでなく、トゥールビヨンケージをボールベアリングシステムに変更し、トゥールビヨンの中心にテンワを取り付けている。

 また、ひげぜんまいは通常は外側のトゥールビヨンケージに取り付けられるが、そのケージがないため、独自のS字型ひげぜんまいを開発し採用している。

レベルソ・トリビュート・デュオ・トゥールビヨン

 表面はサンレイブラッシュ仕上げのシルバーダイアルに時分表示のエレガントなデザインである。これに対し、裏面は部分的にスケルトン加工が、ゴールドのブリッジにはクル・ド・パリ ギヨシェ彫りが施され、第2時間帯を表示するブラックダイアルとのコントラストを生み出している。また、ダイアル2時方向のデイ/ナイト表示には、星空があしらわれている。




レベルソ・ハイブリス・アーティスティカ キャリバー179

 ジャガー・ルクルトのシグネチャーである多軸トゥールビヨンの第4作「レベルソ・ハイブリス・アーティスティカ キャリバー179」が発表された。多軸で作動するトゥールビヨンを搭載する空間を確保しつつ、黄金比を備えるレベルソのプロポーションを実現している。

レベルソ・ハイブリス・アーティスティカ キャリバー179

ジャガー・ルクルト「レベルソ・ハイブリス・アーティスティカ キャリバー179」
手巻き(Cal.179)。52石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。18KPGケース(縦51.2×横31mm、厚さ13.63mm)。30m防水。世界限定10本。価格要問い合わせ。

 搭載するCal.179は、6時位置に多軸トゥールビヨンを備える。これは、ダイアル垂直方向を軸に回転するペリフェラルキャリッジは秒表示として機能し、それと直交する軸を中心に半球状のひげぜんまいやジャイロラボが回転するものだ。

 特徴的な半球状のひげぜんまいは、デザイン上のアクセントになっているだけでなく精度および作動効率も高いもので、ジャガー・ルクルトの長年にわたる研究開発の成果である。さらにこのトゥールビヨン機構は、従来のブリッジではなくボールベアリングのリングで支えられており、フライング・ジャイロトゥールビヨンがレベルソの両ダイアルの間の空間に浮かんでいるように見える視覚効果を生み出している。

レベルソ・ハイブリス・アーティスティカ キャリバー179

 また、Cal.179はデュオムーブメントであり、両ダイアルに異なるタイムゾーンを表示するだけでなく、裏ダイアルには24時間表示の第2時間帯も備える。

 表面のダイアルは、ブルーラッカーのディスクから放射状にサンレイ仕上げのパターンが深く彫り込まれている。表面はブルーを基調にゴールドの網目模様が施され、ブリッジもブルーで装飾されており、その造形がダイアルデザインの一部として調和している。