ヤーマン&ストゥービ「トランスアトランティック」スコアカウンターを備えたゴルフプレーの相棒

2023.04.03

近年、各社が目を向けるようになったゴルフウォッチというジャンル。しかし、完成度の高さで言えば、今なおヤーマン&ストゥービのコレクションは、頭ひとつ抜きんでた完成度を持つ。見やすく、使いやすく、そして壊れにくい。ゴルファーが作り上げたヤーマン&ストゥービの時計は時計とゴルフを好む人たちにとって、うってつけの相棒となるに違いない。

トランスアトランティック

トランスアトランティック
ヤーマン&ストゥービの代表作。すべてのゴルフカウンターは、8、9、10時位置のプッシャーとボタンだけで操作可能。加えて、初出から15年以上経つスコアカウンターモジュールは、信頼性にも優れている。プロが使用するのも納得だ。C.O.S.C.認定クロノメーター。自動巻き。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径44mm)。100m防水。109万7800円(税込み)。
吉江正倫:写真 Photographs by Masanori Yoshie
広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
Edited by Kouki Doi (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2023年5月号掲載記事]


ヤーマン&ストゥービの作り上げたスコアカウンター付きウォッチ

トランスアトランティック

9時方向のリュウズとプッシャーだけで操作可能なヤーマン&ストゥービのスコアカウンター。他社が模倣できない理由は、機構だけでなく、ハンディキャップを比較するベゼルなどでも特許を取得したためだ(ヨーロッパ特許1806682)。

 ゴルフのプレー時に使われるスコアカウンターを腕時計に組み込むというアイデアは昔からあった。かのジェラルド・ジェンタも、この機構を腕時計に加えたことがある。しかしスコアカウンター付きの腕時計は、あくまで好事家向けのガジェットに過ぎなかった。ヤーマン&ストゥービの創立以前は、である。

 同社を起こしたウルス・ヤーマンは、ゴルフのプレー中に、ヤードをメートルに変換したり、ストローク数を数えることが集中力を削ぐと感じていた。彼はたまたま時計師のパスカル・ストゥービと出会い、共にゴルフ場で使える、ゴルフ専用の時計を作ろうと考えた。ふたりはサプライヤーの協力を得て、2007年に、かつてない機械式のゴルフウォッチを完成させた。これは腕に巻ける大きさにもかかわらず、ホールごとのストローク、総ストローク、そしてプレーしたホール数がカウント可能なものだった。

トランスアトランティック

 加えてヤーマン&ストゥービのゴルフウォッチは、ふたつの点で革新的だった。見やすく、操作が簡単で、しかも耐衝撃性に優れていたのである。スイング時には、1ミリ秒間に20〜40Gもの重力加速度が発生するため、そもそも機械式腕時計はゴルフに向かない。対してヤーマン&ストゥービは、ムーブメントの中枠にショックを吸収するラバーを加えただけでなく、ゴルフカウンターを頑強にすることで耐衝撃性能を改善した。創業者がゴルフ愛好家なればこその設計である。

 今や、各社も追随するようになったゴルフウォッチ。しかし、見やすさ、使いやすさ、そして信頼性を考えれば、ヤーマン&ストゥービの腕時計は、今なお群を抜いている。多くのプロに好まれるのも当然ではないか。

トランスアトランティック

ゴルフ愛好家が練り込んだだけあって、ヤーマン&ストゥービのスコアカウンターは操作性、視認性ともに優れたもの。ストローク用のプッシャー❹を押すと、ストローク数がストローク表示❷に加算される。次ホール用プッシャー❼を押すと次のホールに移って❷はゼロにリセットされるが、総スコアは加算され続ける。プレーが終わる時は、リセットボタン❺を押すとすべての表示がリセットされる。また、回転ベゼルにメーターとヤードの変換表とハンディキャップ数を記したのも、ゴルファーにはうれしい配慮だ。耐衝撃性を高めるため、スコアカウンターはセラミックス製のボールベアリングを内蔵する。初出から15年以上経つが、今なお、スコアカウンター付き機械式腕時計の代表作だ。

<凡例>
❶ 総スコア表示 ❷ ストローク表示 ❸ リュウズ ❹ ストローク用プッシャー ❺ リセットボタン ❻ ハンディキャップ比較ベゼル ❼ 次ホール用プッシャー ❽ ホール数カウンター



Contact info: ミスズ Tel.03-3247-5585


ヤーマン&ストゥービ 常識を打ち破った機械式ゴルフウォッチという挑戦

https://www.webchronos.net/features/75817/