腕時計用のアラーム機構。その歴史と代表的モデル

FEATURE時計機構論
2019.09.06
GMTアラーム

ブランパン「レマン GMTアラーム」「ヴィルレ GMTアラーム」
ブランパンは、アラームとGMT機能を併せ持つフレデリック・ピゲCal.1241を活用して、2003年から現在までスポーティな「レマン」やクラシカルな「ヴィルレ」などで実用複雑時計を展開。デザイン違いのバリエーションも少なくない。アラーム設定ダイアル(3時位置)、第2時間帯表示(センターGMT針)、アラームのオン/オフ表示(ベルのモチーフ)、パワーリザーブ表示(10時-11時)を持つ。自動巻き(Cal.1241H)。38石。2万8800振動/時。写真は現行品。
(左)「レマン GMTアラーム」。18KWG(直径40mm)。374万円(税別)。
(右)「ヴィルレ GMTアラーム」。18KRG(直径40.3mm)。357万円(税別)。
㉄ブランパン ブティック銀座 ℡03-6254-7233

 最後に、アラームとGMTの両機能を併せ持つ高度な複雑時計を紹介して、この項目を締めくくるとしよう。まず2003年発表のモデルが面白い。ブレゲ「クラシック アラーム」とブランパン「レマン GMTアラーム」だ。同じスウォッチ グループに属する両社が共同開発した特許取得の新型ムーブメントをいずれも搭載し、時針と分針を持つアラーム設定ダイアルと24時間表示のGMTダイアル(第2時間帯表示)、アラームのオン/オフ、パワーリザーブ表示が備わる。ユリス・ナルダンは同じ年に「ソナタ」を発表。こちらは、アラームにカウントダウン機能があるのが特色だ。以上の3モデルともアラーム音は、ハンマーがゴングを打つタイプである。

マリーン アラーム ミュージカル 5547

ブレゲ「マリーン アラーム ミュージカル 5547」
デザインをリフレッシュして2018年に発表された新生「マリーン」コレクションに含まれる最新のアラームGMTウォッチ。搭載ムーブメントのブレゲCal.519F/1は、ハンマーがワイヤー状のゴングを叩いてアラーム音を響かせる機構や24時間のサブダイアルで第2時間帯を表示するGMT機能については、2003年発表「クラシック 5707」のものと同様である。しかし、センターセコンドやシリコン素材の脱進機とヒゲゼンマイを採用した点において進化している。自動巻き(Cal.519F/1)。36石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWG(直径40mm)。50m防水。310万円(税別)。㉄ブレゲ ブティック銀座 ℡03-6254-7211

 ブレゲとブランパンは、同キャリバーをベースにしてそれぞれの派生モデルを現在まで展開してきたが、ブレゲが2018年に新生「マリーン」コレクションに加えた「マリーン アラーム ミュージカル 5547」は、その最新バージョンだ。また、ゼニスは、エル・プリメロをベースにして、クロノグラフにアラームとワールドタイムを合体し、アラーム用パワーリザーブやオン/オフ表示も併せ持つ「パイロット ダブルマティック」を2012年に発表。アラーム付き多機能トラベルウォッチとして話題になった。

パイロット ダブルマティック

ゼニス「パイロット ダブルマティック」
2012年発表のこのモデルはアラームGMTウォッチをさらに複雑に進化させ、世界24都市名と24時間回転リングを装備した本格ワールドタイム機能を搭載する。10時位置のリュウズでタイムゾーンの切り替え、8時位置のリュウズでアラーム用ゼンマイの巻き上げとオン/オフ設定を行う。自動巻きクロノグラフムーブメントは「エル・プリメロ」Cal.4046。41石。3万6000振動/時。SS(直径45mm)。生産終了。㉄LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス ℡03-5524-6420