カレンダー機構 第4回「年次カレンダー」

FEATURE時計機構論
2017.02.10

菅原 茂:文
Text by Shigeru Sugawara

 英語で「アニュアルカレンダー」と呼ばれることも多い「年次カレンダー」も、今やカレンダー機構の中で重要なジャンルを築くまでになった。それは、1年に1回、3月1日に調整するだけで翌年2月の月末まで、毎日の日付、曜日、月名を自動表示する非常に便利な機構である。その先鞭をつけたパテック フィリップは、この「年次カレンダー機構」の開発に約4年を費やし、1996年特許を取得。同年に最初のモデルを発表した。カレンダー機構としてはまだ約20年という比較的新しい部類に入るが、現代人のライフスタイルに合った、その使いやすさは抜群である。

 何度も繰り返すが、腕時計に組み込まれたごく一般的なカレンダー表示は、実際のカレンダーに存在する不規則に対応できないので、年に何度も人為的な修正が必要である。高度な自動修正機能を有する永久カレンダーなら、そうした手間を省いてくれるが、なかなか高価で近づき難いのもまた事実である。パテック フィリップが着目したのは、ユーザーの使い勝手だった。1年に一度の修正で済む「年次カレンダー」は、通常のカレンダーと永久カレンダーとの間を埋めるための新技術でもあった。