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天文表示第4回「均時差」(1/3)

奥山栄一:写真
Photographs by Eiichi Okuyama
菅原 茂:文
Text by Shigeru Sugawara

前回まで取り上げてきたムーンフェイズは、月の周期的な変化を視覚化する機構だが、これに対して太陽の周期的な運動から導き出されたのが時計の時刻表示にほかならない。一般的な時計のダイアルで時針の回転運動が示しているのは「仮想太陽」であり、これも天文表示の一形態だ。

 われわれが日常生活で用いている1日や24時間の時間システムは、仮想太陽を設定してつくられた人工的な「平均太陽時」であり、大まかにいうと以下のようになる。

1.地球から見た太陽は1年を通じて一様の等速運動を行う。
2.1日の長さは常に一定であり、1日を24等分する。
3.太陽は24時間ごとに同一の子午線を通過する。

 しかし、実際の太陽の動きはどうかというと、これほどシンプルではない。古代からの観測によれば、太陽がある地点の子午線を経過してから次に同じ子午線を通過するまで、つまり南中から次の南中までを1日とした場合、1日の長さは必ずしも一定ではなく、年間を通じて周期的に変化することが分かっている。このような太陽の視運動を基準にした時間を「真太陽時」(視太陽時とも言う)と呼ぶ。概念として作り上げられた「平均太陽時」に対して、「真太陽時」はリアルな日時計と言うこともできる。

「真太陽時」で1日の長さが変動する理由のひとつは、地球が太陽の周りを公転する軌道が楕円であること。地球が太陽に近いときは速く、遠いときには遅く動くから、相対的に地球から見た太陽の動きも変動する。地球の地軸が公転面に対して傾いていることもまた理由とされる。

 さてここから本題に入るが、この固定した「平均太陽時」と変動する「真太陽時」との差が「均時差」である。時計用語では英語式の「イクエーション・オブ・タイム」、あるいは単に「イクエーション」と言い表すことが多い。

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