ブレゲは創業250周年を記念する作品群の第5弾として、「マリーン オーラ・ムンディ 5555」を発表した。地球の夜景をとらえたNASAの有名な写真である『ブラック・マーブル』をインスピレーション源としており、2層構造の文字盤に、ギヨシェとサファイアクリスタル上の発光するミニアチュールエナメルを重ね、夜景を表現している。
ブレゲ創業250周年記念モデル第5弾が登場
2025年はブレゲの創業250周年にあたり、それを記念する作品群が発表されている。今般発表されたのは第5弾となる「マリーン オーラ・ムンディ 5555」だ。本作のテーマは地球と、そこに広がる海である。ブレゲが海に注目するのは、1815年にアブラアン=ルイ・ブレゲがフランス王国海軍時計師に任命された歴史に基づいている。当時は、航海には高精度な時計が必須であり、到達困難なフロンティアは海であった。このことから、海を舞台とした挑戦や探求心は、時計の進化と結びつくものであり、本作にはそれが表現されている。

自動巻き(Cal.77F1)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18Kブレゲゴールド(直径43.9mm、厚さ13.8mm)。10気圧防水。世界限定50本。1480万6000円(税込み)。
本作のベースとなる「オーラ・ムンディ」の名はラテン語で“世界の時間”を意味している。ブレゲの時計にオーラ・ムンディと初めて名付けられたのは1990年代で、新しいデュアルタイム機構を説明するにあたってGMTやワールドタイムといった一般的名称を避けたことがきっかけとなっている。以後、オーラ・ムンディは“機械的メモリーによるインスタント・ジャンプ・タイムゾーン表示”を備える独自のデュアルタイム表示と、それを備える時計を意味するものとなっている。
本作においても、カムやハンマー、差動装置などで構成される機械的メモリーにより、8時位置プッシュボタンの操作だけで、あらかじめ設定しておいた第1タイムゾーンと第2タイムゾーンの表示が切り替わるだけでなく、日付やデイナイト表示も調整されるインスタント・ジャンプ・タイムゾーン表示を備える。
地球の夜景である『ブラック・マーブル』を表現した文字盤
本作は、海をデザインの基礎に据えつつ、地球の夜景をとらえたNASAの有名な写真である『ブラック・マーブル』をインスピレーション源とした文字盤デザインとなっている。注目は、奥行きや立体感を生むために採用された多層構造だ。
文字盤はゴールド製ベースと透明サファイアクリスタルの2層で構成される。ベース面は空から海へのグラデーションで装飾され、さらに経線と緯線のギヨシェ彫りが精緻に刻まれている。これにより、平面にもかかわらず球体を思わせる錯視の球面効果が生み出されている。上層のサファイアクリスタルを重ねる目的は奥行きの付与であり、鑑賞者が大気圏の熱圏付近から地球を俯瞰するような視点を得られるように設計されているのだ。

この2層構造の上で展開されるのが3段のエナメル画である。第1段階はサファイアクリスタルの裏面へのミニアチュール・エナメルであり、大陸の輪郭が鏡像で描かれている。第2段階はサファイアクリスタルの表面に連なる雲を描写している。このふたつの段階はいずれも高温焼成を行うグラン フー エナメルによるもので、特有の艶感が与えられる。第3段階は都市の灯を表現する。これを描き出すのは一般的な蓄光材料ではなく、ブレゲが特許を出願中の発光エナメルで、エナメル特有の艶感と発光する能力を備えており、明所では本作のデザインに馴染みつつ、暗所では夜景が浮かび上がる仕上がりとなっている。
18Kブレゲゴールドを用いた特別なケースと、アニバーサリーを祝うデザイン
本作のケースは18Kブレゲゴールド製となる。ブレゲゴールドとは、ゴールドをベースに、シルバー、コッパー、パラジウムを組み合わせたブレゲ独自の合金であり、ブロンド調の温かみのあるほのかなピンクの色調が特徴だ。さらにムーブメントの回転錘にも、初めてブレゲゴールドを採用しており、外装からムーブメント部品まで統一した素材を採用することで、250周年にふさわしい特別感を演出している。これ以外にもアニバーサリーのための特別な意匠があり、ケースバックには「ケ・ド・ロルロージュ」ギヨシェの二重縁飾りを配し、周年モデルであることを表現している。