ジョージ・カーンの退社後、体制が大きく変わったリシュモン グループ。新設されたCOO(Chief Operating Officer=最高執行責任者)に元ジャガー・ルクルトCEOで、前モンブランCEOのジェローム・ランベールが就任した。なお今後も彼は、現職であるリシュモン グループのウォッチ・ジュエリー以外の部門と財務、人事を除く全オペレーション責任者も兼任する。

 ジェローム・ランベールは1996年に経理監査役としてジャガー・ルクルトに入社。99年には経理部門の責任者、2002年には同社のCEOとなり、ジャガー・ルクルトの業績を大きく伸ばした。その後、09年から12年まではA.ランゲ&ゾーネの経営に携わり、13年にモンブランのCEOに就任した。そして17年より、彼はリシュモン グループのウォッチ・ジュエリー部門を除くオペレーションの管理責任者となった。なおカルティエ、ヴァン クリーフ&アーペル、そしてA.ランゲ&ゾーネの3ブランドを除く時計部門の責任者を務めていたのが、IWC出身のジョージ・カーンである。しかしカーンの退社に伴い、COOとなったランベールが時計部門の責任者も兼ねることとなった。

 ドイツの時計ジャーナリストであるギズベルト・L・ブルーナーはリシュモン グループの決定を高く評価する。

「ジョージ・カーンがブライトリングへ去って以降、この決定はリシュモン グループのカルティエとヴァン クリーフ&アーペルを除く傘下のブランドにとって大変重要となる。IWC、ジャガー・ルクルト、モンブラン、ピアジェ、ヴァシュロン・コンスタンタンといった多くのブランドは非常に若いCEOを迎えた。彼らは強いインプットと新製品の立案、マーケティング、そしてディストリビューションに知識を持つ、カリスマ性に富んだ上司を求めている。ジェロームはワーカホリックであり、この職には適任だろう」(キズベルト・L・ブルーナー)


 なお2017年11月8日には、リシュモン グループの2017年中期決算が発表された。結果は以下の通りである。
・売り上げは56億50万ユーロ(前年同期比約10%増)
・ジュエリー部門の売り上げは2桁成長
・営業利益は11億6600万ユーロ(前年期月比46%増)

 時計関係者の間では、業績改善の大きな要因は2016年に決定された価格の引き下げ、という声がある。ランベールの就任と業績の大幅な改善を受けて、その方向性が変わるのかを注目していきたい。