【2023年新作時計】ミニマルデザインと時計技術が呼応するヴァシュロン・コンスタンタン「パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト」

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2023.04.07

ヴァシュロン・コンスタンタンの、1920年代から30年代にかけての革新的な表示を彷彿とさせる新作「パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト」が発売になる。プラチナケースとサーモンカラーダイアルに、複雑なレトログラード機構を組み合わせたブティック限定モデルだ。

パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト

ヴァシュロン・コンスタンタン「パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト」
自動巻き(Cal.2460 R31R7/3)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。Ptケース(直径42.5mm、厚さ9.7mm)。3気圧防水。価格要問合せ。


ブランドを象徴するレトログラード表示から着想を得たミニマルなデザイン

パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト

ダークブルーのミシシッピアリゲーターレザーのライナーはカーフスキンレザーでブルーのステッチが施される。プラチナ950製ピンバックルとポリッシュ仕上げの半マルタ十字のクラスプが付属する。

 ヴァシュロン・コンスタンタンにおいて、技術は常にエレガンスのために役立てるものだと考えられている。1755年の創業以来、時計の洗練性を芸術の域にまで高め、1919年に創設されたバウハウス(建築、絵画、工芸、写真など様々な芸術の総合的な教育を行う学校)の原則のひとつである「Less is more」(少ない方が豊かである)に通じるものがある。シンプルなデザインを追求することにより、より美しく豊かなものが生まれるという考え方が本作にも反映されている。

 創業以来、時代を超越したスタイルを追求するブランドの精神を受け継ぐ、この2023年限定生産モデルは、ディテールへの入念な配慮と、ミニマリズムの表現と高い技術力が一体となっている。プラチナ950製の直径42.5mmのケースに囲まれたサーモンカラーダイアルにはサンバースト仕上げが施され、「パトリモニー」コレクションのデザインコードが用いられている。

パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト

サーモンピンクのダイアルとプラチナ針の組み合わせが、控えめでありながら柔らかなコントラストを描く。

 12時位置のインデックスの真下には、ヴァシュロン・コンスタンタンのシンボルマークであるマルタ十字が配されている。18Kピンクゴールドで作られたマルタ十字は、片面がサンドブラスト、もう片面がポリッシュ仕上げとなっており、異なる表情を見せる。

 曜日と日付、ふたつのレトログラード表示は伝統に従ってブルースティール針が使用され、時間と分は18Kホワイトゴールドの針で表示される。1950年代のクラシカルなスタイルの時針と分針は、ドーム型のダイアルの形状に合わせて先端がわずかにカーブしている。ダイアル外周に並ぶミニッツトラックも同じく1950年代のデザインから着想を得られている。


自社製自動巻きムーブメントCal.2460 R31R7/3

Cal.2460 R31R7/3

パトリモニー・レトログラード・デイ/デイトには、約40時間のパワーリザーブを備えた自社製自動巻きムーブメントCal.2460 R31R7/3が搭載されている。オープンワークのマルタ十字のローターは、ヴァシュロン・コンスタンタンを象徴するデザインだ。

 276個の部品で構成されるムーブメントは、マルタ十字から着想を得たオープンワークの22Kゴールド製ローターが備わり、約40時間のパワーリザーブを持つ。ブリッジ部分の角には手作業でポリッシュ仕上げが施されている。部品の側面を完璧に滑らかにするストレートグレイン仕上げも手作業で行われ、歯車類も入念に磨きあげられている。

 メインプレートは両面にペルラージュ模様、ブリッジはコート・ド・ジュネーブ模様で装飾されている。サファイアクリスタルのケースバックからはムーブメントを観賞することができる。

Cal.2460 R31R7/3

さまざまなサイズに仕上げられたペルラージュ模様が、メインプレートの両面に施されている。


ヴァシュロン・コンスタンタンとレトログラード表示

 ヴァシュロン・コンスタンタンのスタイル・アンド・ヘリテージディレクターを務めるクリスチャン・セルモニは、ヴァシュロン・コンスタンタンに最初にレトログラード表示が登場したのはいつか、という質問にこう答える。

「ブランドは自社の保存記録を熟知しているとはいえ、まだ発見されていないタイムピースもあるでしょう。とはいえ、レトログラードデイトを装備した最初の時計は『ドン・パンチョ』でした。コレクターが付けたこのニックネームは、この時計を注文した人物の名前に由来します。1935年にマドリードの正規販売店であるブルッキング社からの注文で、複雑機構を搭載する懐中時計に用いられていたミニット・リピーターとレトログラード針によるカレンダー表示を搭載する腕時計でした。この注文に応える時計は4年の年月をかけて作られ、1940年に納品されました。それがリファレンス3620のドン・パンチョです。

 18Kイエローゴールドのトノー型ケースを用い、12時位置のリュウズやミニッツリピーターについては、意図的に音量を下げたチャイム音やケース右側の作動ボタンなどの際立った特徴がありました。ドン・パンチョ本人がこの時計を7年着用したあとは、60年も行方が分からなくなっていました。再び姿を表したのは2019年のフィリップス、バックス&ルッソのオークションです。この時、ヴァシュロン・コンスタンタンの腕時計としては史上2番目の高値で落札されました。

 1994年にはまた別の注目すべきモデルが登場します。異例のダイアルが話題を独占した『メルカトル』です。16世紀の地理学者ゲラルドゥス・メルカトルを称えたこの時計は、エナメルや彫金ダイアルの上で時針と分針が異動するダブル・レトログラード表示が特徴でした。12時位置に軸を置く針は“メティエ・ダール”コレクションに属するこのモデルにおいて理想的な表現をもたらす存在です」


サーモンカラーダイアルに宿るブランドのエスプリ

パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト

2022年以降は、限定生産で登場することがあるサーモンカラーダイアル。

 1930年以降、カラーダイアルが開発され、手元に新しいスタイルのエレガンスを表現することが可能となった。ヴァシュロン・コンスタンタンにおいて1940年代から採用されているサーモンカラーダイアルは、ホワイトメタルのケース、特に伝説的存在であるクロノグラフ リファレンス4178のようなステンレススティール、そして稀少なプラチナと組み合わせたモデルも存在する。

 プラチナケースとサーモンカラーダイアルとの組み合わせは、複雑機構とともに1990年代に再び採用された。例えば、クラシカルなクロノグラフのリファレンス47101や、1992年に発表された自動巻きパーペチュアルカレンダー・クロノグラフのリファレンス49005などがある。

 プラチナとサーモンカラーの組み合わせはメゾンのヘリテージの一部であり、2022年以降は、年間限定生産で様々なコレクションに登場している。パトリモニー・レトログラード・デイ/デイトのデザインと技術は、このように伝統を見直すと同時に、その伝統から着想を得て新たな進化を続けている。



Contact info: ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755


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