全体の印象として、落ち着いた雰囲気に終始したジュネーブの新作展示会。しかし個別に評価するなら、良作は必ずある。今回はかなり得票が割れたが、キープコンセプトを貫いた両雄がワンツーとなった。

 

マイクロローターの評価基準は?

1位 92point / 5persons

カルティエ / クラッシュ スケルトン ウォッチ

Photo:「クラッシュ スケルトン ウォッチ」。手巻き。Pt。予価810万円。世界限定製造67本。問カルティエ カスタマー サービスセンター ☎0120-301-757Laziz Hamani © Cartier

●1967年初出モデルのラジカルな精神を、最も忠実に受け継ぐ大傑作。素直に欲しいと思った2本のうちの1本である。(古川)
●スケルトンでしかも異形のデザイン。他にはない美学とインパクトが素晴らしい。(菅原)
●特徴的なケースのフォルムは既存。しかしムーブメントまで“クラッシュ”させ、さらにスケルトナイズした遊び心が秀逸。歪んだケースにキッチリ収めるため、リュウズ用輪列の配列にも工夫が凝らされている。(髙木)



今年のジュネーブに心は震えたか?

2位 56point / 4persons

A.ランゲ&ゾーネ/ ランゲ1

Photo:「ランゲ1」。手巻き。18KYG。予価350万円。問A.ランゲ&ゾーネ ☎03-3288-6639

●ダイアルもケースもデザインをほとんど変えず、中身だけを刷新した大英断に拍手。新型ムーブメントは、瞬転式カレンダーや主ゼンマイが巻き戻り切ると秒針がゼロ位置で止まる機構など、ランゲらしい進化がもたらされている。(髙木)
●見た目は旧作に同じ。しかしフリースプラング化したテンワに、より等時性を高めた香箱の設計、ロスの少ないダイレクトセンターセコンドなど、極めて論理的な設計のムーブメントが搭載された。ピューリタンは旧作を選ぶかもしれないが、筆者は新型の性能を評価する。(広田)
●外見はほとんど同じ、しかしムーブメントは最新のものにリプレイス。これはちょっとした英断である。(菅原)


今年のジュネーブに心は震えたか?

3位 34point / 4persons

モンブラン /ヘリテイジ スピリット オルビス テラルム

Photo:「ヘリテイジ スピリット オルビス テラルム」。自動巻き。SS。予価67万5000円。問モンブラン コンタクトセンター ☎0120-39-4810

●昨今流行りのトラベルウォッチ系では、実用性と美を併せ持ったワールドタイムの秀作。世界地図の“透け”にも注目。(髙木)


今年のジュネーブに心は震えたか?

4位 32point / 3persons

フランク ミュラー/ スプリットセコンド ダブルフェイス クロノグラフ

Photo:「スプリットセコンド ダブルフェイス クロノグラフ」。自動巻き。18KWG。価格未定。問フランク ミュラー ウォッチランド東京 ☎03-3549-1949

●どっこい生きてます! またもや復刻されたクロノグラフは永遠の名作だ。(菅原)


今年のジュネーブに心は震えたか?

5位 32point / 2persons

グルーベル フォルセイ /トゥールビヨン 24セコンズ ヴィジョン

Photo:「トゥールビヨン 24セコンズ ヴィジョン」。手巻き。Pt。3950万円。問ヴィタエルーキス ☎03-6421-7533

●地味な時計。しかしエナメル象嵌の文字盤や、卓越した仕上げのムーブメントは圧倒的だ。約4000万円? それだけの手持ちがあれば筆者は間違いなく買っている。(広田)