【83点】パネライ/ルミノール サブマーシブル 1950 3デイズ クロノ フライバック オートマティック チタニオ-47mm

FEATUREスペックテスト
2016.04.03

PANERAI
Luminor Submersible 1950 3 Days Chrono Flyback Automatic
Titanio-47mm

パネライは、1930年代から1960年代まで
イタリア海軍特殊潜水部隊に装備品を供給したことで
有名なブランドである。
だが、パネライはヴィンテージなモデルだけではなく、
クロノグラフを搭載した近代的なダイバーズウォッチも展開している。
今回のテストウォッチがそれを証明する。

イェンス・コッホ: 文
Text by Jens Koch
ニック・シェルツェル、パネライ: 写真
Photographs by Nik Schölzel, Paneraiv
岡本美枝: 翻訳
Translation by Yoshie Okamoto

point

・完成されたデザイン
・自社製ムーブメント塔載
・極めて高い加工品質

point

・高額
・トランスパレントバックではない

ルーツを踏襲した
スタイリッシュなモダンダイバーズウォッチ

ネライの時計でヴィンテージの要素を持たない時計はない。ブランドのルーツは、1930年代から1960年代までイタリア海軍のために開発された特殊潜水部隊員用の時計である。大まかに言って、パネライにはふたつのモデルがあり、これらは今日もなお、クッション型ケースを備え、ラジオミールとルミノールという名で発展し続けている。ルミノールの特徴的なリュウズガードは、時計に完璧な防水性を与えるべく、パネライが1950年代の中盤に開発したものである。
 パネライの現行モデルのほとんどは、ルーツであるこれらのモデルの様式に極めて忠実である。そのため、パネライウォッチはすべて同じように見えると主張する、辛辣な意見もある。だが、これは正しい見方だろうか。ブラウンの文字盤やチタン製ケースでの展開など、小さな変化がいかに大きな効果をもたらすかを教えてくれるブランドは、逆に数えるほどしかないのではなかろうか。
 今回テストするダイバーズクロノグラフも、伝統を背景に持つ時計であることは興味深いが、パネライは、社史の中では特殊な背景を持つモデルに範を求めたようである。1943年、海軍准士官のためのクロノグラフが作られたことはあまり知られていない。「マーレ ノストゥルム」と呼ばれたこのモデルのケースは、当時のパネライの他のモデルとは異なり、クッション型ではなくラウンド型で、直径52㎜と大きかった。あまり多く生産されなかったこともあり、フラットで幅の広いベゼルを備えたこのクロノグラフのオリジナルは、たった1本しか現存していない。このように、テストウォッチのクロノグラフ機能とふたつのサブダイアルを持つ文字盤には、歴史的な裏付けがあるのだ。
 伝統的意匠は、とりわけ回転式ベゼルに強く表れている。ルミノール サブマーシブル 1950 3デイズ クロノ フライバック オートマティック チタニオ‐47㎜の回転式ベゼルは、1956年に作られた「エジツィアーノ」という珍しいモデルのデザインを踏襲している。特殊潜水部隊員のための時計は回転式ベゼル非装備なのが常だったが、パネライは1956年以降、直径60㎜の堂々たるケースを備えたエジツィアーノをエジプト海軍のために作るようになる。このモデルのケースもクッション型ではなくラウンド型で、当時、開発されたばかりのリュウズガードが装備されていた。また、回転式ベゼルには、15分ごとに数字を配した、少し出っ張った大きなピンと、5分ごとに小さなピンが付いており、テストウォッチと同様、12時位置には丸い蓄光マーカーが配されていた。当時のパネライの他のモデルと同じように、エジツィアーノにも、数字の丸の部分が閉じていないフォルムを持つ数字の6と9が与えられていた。これらの特徴的な数字はもちろん、テストウォッチでも見られるものである。
 新しいモデルはこれらの特徴を備えながら、よく知られたルミノール 1950のクッション型ケースにその身を包む。パネライがこの新モデルをルミノールのコレクションにカテゴライズしているのはそのためである。