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オメガ / シーマスター アクアテラ GMT(1/1) 2013年03月号(No.45)

OMEGA SEAMASTER AQUA TERRA GMT

美しく、そして賢く。世の男性が女性に求める魅力を腕時計に凝縮したのが、オメガのシーマスター アクアテラ GMTである。

ユリア・クナウト:文 Text by Julia Knaut
ニック・シェルツェル:写真 Photographs by Nik Schölzel
岡本美枝:翻訳 Translation by Yoshie Okamoto


point
・巧緻を極めた美しいデザイン
・高性能マニュファクチュールムーブメント

point
・ストラップの作りが簡素

世知に長けた時計

化の歴史の中で、適応能力は生き残りがかかっている重要な戦略である。動植物は生き残るために、流線形の形態へと変容し、カムフラージュできるように進化を続けてきた。時計の世界においても、絶え間なく変化する条件に適応できる能力が求められることは、「シーマスター アクアテラ GMT」を見ればよく分かるだろう。モデルネームからも明らかなように、シーマスター アクアテラ GMTは水陸両用の腕時計である。こうした柔軟性だけでなく、ステンレススティール製のシーマスター アクアテラ GMTは、セカンドタイムゾーンや150mの防水性を備えていることから、世界旅行に携行したいアイテムの最有力候補となりそうだ。さらに、スポーティーでエレガントという、ふたつの顏を併せ持っているので、ヨットクルーズに出かける際も、イブニングパーティーに出席する時でも、違和感なく着用することができる。

旅先では誰でも、心地よいモノに囲まれて過ごしたいと願うのではないだろうか。バカンスであろうと、出張であろうと、1日の終わりには柔らかいベッドが待ち遠しいし、翌朝には良質な朝食が取れることを期待する。新型シーマスターを脱着する瞬間には、こうした期待感がいやが上にも大きくなる。シンプルながらも調和の取れたデザインは、見ていて楽しい。艶やかな黒文字盤は、アクアテラ特有の縦ストライプ模様で装飾されており、ホテルのテラスに置いてあるようなチーク材で出来た家具の表面を想起させる。シーマスター・コレクションの一員であることを認識させるのは、ステンレススティール製のケースである。ポリッシュとサテンのコンビ仕上げの面を備え、弧を描くようなケースサイドとストラップ側にすらりと伸びたラグが、このケースの特徴である。この時計は一見、控えめな印象を与えるが、詳細に観察してみるとディテールへのこだわりを随所に発見することができる。ステンレススティール製のクサビ型インデックスは、仕上げの異なる複数の面を持ち、文字盤の中心に向かって薄くなるようにデザインされているため、立体的な印象がより一層、引き立てられている。また、ファセットが施された時分針は、上面がサテン仕上げになっている。インデックスと針の好感度の高さは、丁寧に塗布された白い蓄光塗料によって完成されている。外装の加工品質も非常に高く、ケースやベゼル、リュウズに至るまで、極めて精巧に作り込まれている。ただ、ラグの裏側のポリッシュ仕上げにやや粗さが見られるのが、ごく小さな難点である。

オメガ独自の模様彫りで装飾されたマニュファクチュールムーブメントは、優れた内部機構について多くを語らなくても、美観を備えた強い個性を主張する

旅行において回り道が必ずしも息抜きとはならないように、複雑機構もいつでも道中の慰みになるとは限らない。むしろ、旅の途中では、時刻や日付を合わせるのに長い間、リュウズを回したくはないだろう。こうした声に応え、可能な限りシンプルな操作性を実現するために、シーマスター アクアテラ GMTには扱いやすいリュウズが装備されている。それぞれの設定ポジションは、ねじ込み式リュウズを緩めて解除すると簡単に見つけることができる。リュウズを1段引き出したポジションでは、時針を1時間刻みで進めたり戻したりして合わせることができ、分針を回して時針を合わせるという、面倒な手間はいらない。国際派のユーザーは、リュウズを2段引き出したポジションでセカンドタイムゾーン(ホームタイム)を設定することができる。赤いアロー型のポイントを持つGMT針は分針と連動しており、分針を動かせばGMT針も一緒に動く。正確に時刻を合わせられるようにストップセコンド機能が搭載されており、このポジションでは秒針が止まるようになっている。時刻合わせの利便性とは対照的に、6時位置に配された日付の調整は、1時間刻みでジャンプする時針を使わないと行うことができないので、少し手間がかかる。

旅先での出来事は、一刻も早く家族や友人に電話で伝えたい。とは言え、眠っている相手を叩き起こすことは避けたいものだ。そのためにも、正確な時刻を素早く把握することは必須である。スポーティーでエレガントなシーマスター アクアテラ GMTでは、ひと目で時刻を読み取ることができ、ぬきんでた美観と良質な加工だけではないことが証明されている。ステンレススティール製のインデックスと針は、さまざまな仕上げが組み合わされているにもかかわらず、高い視認性を発揮している。こうした仕上げを持つインデックスや針の場合、繰り返し施されたポリッシュ仕上げによって表面が強く反射し、かえって見づらくなるという問題が発生することがあるが、オメガは上側をサテン仕上げにすることでこの問題を解決している。つまり、複数の面に異なる手法で仕上げを施すことで、良好な視認性が確保されているのだ。さらに、針のフォルムもそれぞれ異なり、インデックスと同様に白い蓄光塗料が塗布されていることから、黒文字盤とのコントラストがより一層、強化されており、GMT針には、ほかの針と区別しやすいようにアロー型の赤いポイントが付けられている。目的地に到着した時刻がすでに日没後であっても、シーマスター アクアテラ GMTなら、強く発光する表示要素によって正確な時刻を知らせてくれるのだ。

これだけ素晴らしい特徴を備えているにもかかわらず、分針がミニッツスケールまで届いていないのは残念な点である。よくよく観察してみると、サイズの小さなアクアテラのベーシックモデルの分針をモディファイせずにそのまま転用していることが分かる。また、6時位置に配された背景の黒い小さな日付窓は、文字盤上のほかの表示要素とは異なり、すぐに認識することができない。

扱いやすいリュウズは、ポリッシュとサテンのコンビ仕上げのケースサイドとよく調和している。

どのような旅においても、時刻は常に重要である。特にビジネスマンは、いつでも移動時間や会議時間を読みながら行動しなければならない。バカンス中は時間にルーズになることもあるが、飛行機や船に乗り遅れないためにも、腕時計にはやはり正確な時刻表示を求めたい。今回のテストウォッチは、オメガ自社製キャリバー8605を搭載しているのだから、信頼に足る精度を備えているはずである。キャリバー8605は、オメガが2007年に発表した名高いキャリバー8500をベースとしており、キャリバー8500同様、フリースプラングテンプとコーアクシャル脱進機、ふたつの香箱を搭載し、クロノメーター証書が付いている上、オメガ独自の模様彫りで装飾されている。キャリバー8605はキャリバー8500にGMTモジュールを加えたものだが、実はこれこそがキャリバー8500の本来の用途と言えるだろう。キャリバー8500は、時針を1時間刻みで調整できることから、ベースムーブメントとして開発された時にGMT機能を載せることがあらかじめ考慮されていたと考えられるからである。歩度測定機を使用したテストで、キャリバー8605はどのような性能を見せてくれたのだろうか。プラス6・2秒/日という平均日差と、2秒という最大姿勢差は、結果としては良好である。ただ、平均振り角は水平姿勢でわずか238度、垂直姿勢では220度にしか達しなかった。テンワの慣性モーメントはベースの8500系と同じなので、テストウォッチの個体差か、もしくは計測方法の問題だろうか。

時計は、いかなる種類であっても常に有価物である。こうした有価物を、自宅から遠く離れた場所で紛失したくはないだろう。シーマスター アクアテラ GMTの場合は、セーフティーフォールディングバックルの恩恵により、その心配はなさそうだ。クラスプ上のピンをストラップの任意の穴に通して、あらかじめ長さを合わせた後で、ステンレススティール製の堅牢なバックルでしっかりと手首に固定することができる。ピンを穴に通すのは手では少し困難で、レザーを傷める懸念もあるが、この作業は基本的に、初めて着用する時にだけ必要なものなので、あまり問題ではないだろう。このバックルにはジョイントがひとつしかないので、ダブルフォールディングバックルに比べて扱いは格段に楽である。

オメガのロゴが配されたシンプルなステンレススティール製バックルで、時計を手首にしっかりと留めることができる。

ストラップとバックルの加工品質はどうだろう。あえて飛行機に例えるならば、ビジネスクラスのレベルと言えるだろう。半へり返し仕立てのアリゲーターストラップは縫い目こそ丁寧だが、裏材の穴のいくつかにはほつれが見えた。バックルは繊細なヘアライン仕上げで装飾されているものの、内側には加工の痕跡が少し観察される。ストラップとバックルは全体的にクリーンな仕上がりだが、文字盤のような精巧さにはやや欠ける。

手首に着けた時の感触は、飛行機のシートと同じように快適である。膨らみを持ったケースバックはほとんど感じられず、圧迫感もない。このように、71万4000円を支払えば、有益な機能を備えた賢く美しい旅の伴侶を手に入れることができる。シーマスター アクアテラ GMTは、デザインが魅力的であることのほかに、旅先で時刻を確認するのに便利なGMT機能を備えたマニュファクチュールムーブメントを搭載していることで説得力がある。また、この時計ではほぼすべての構成要素が丁寧に加工されており、操作も非常に快適である。ただ、同じアクアテラ・コレクションのベーシックモデルに比べて高額なのが、やや気になる点だ。

ベーシックモデルは、3針時計であること以外は今回のテストウォッチと同等のスペックを備えており、搭載ムーブメントはセカンドタイムゾーンも視野に入れて開発、設計されたものであるにもかかわらず、20万円以上も安いのである。だが、他メーカーのGMTウォッチと比較すれば、シーマスター アクアテラ GMTの価格設定はそれほど常軌を逸したものではない。この価格に納得できる愛好家は、ヨットの上でもサファリツアーの最中でも、スポーティーなドレスウォッチに喜びを見いだすことができるだろう。この時計はさらに、きちんとした身だしなみも保証してくれるのだ。

技術仕様
オメガ/シーマスター アクアテラ GMT

製造者: オメガ
Ref.: 231.13.43.22.01.001
機能: 時、分、秒(ストップセコンド仕様)、日付(1時間刻みで合わせられる時針で調整可能)、セカンドタイムゾーン
ムーブメント: オメガ自社製キャリバー8605、自動巻き、クロノメーター、2万5200振動/時、38石、コーアクシャル脱進機、フリースプラングテンプ(マイクロスクリューによる微調整)、直列接続式ツインバレル、耐震軸受け(ニヴァショック使用)、パワーリザーブ約60時間、直径29mm、厚さ5.5mm
ケース: SS製、ドーム型サファイアクリスタル製風防(両面無反射コーティング)、ねじ込み式トランスパレントバック、15気圧防水
ストラップとバックル: アリゲーターストラップおよびSS製セーフティーフォールディングバックル
サイズ: 直径43mm、厚さ14.15mm、重量112g
価格: 71万4000円

*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

精度安定試験 (T24の日差 秒/日、振り角)

平常時    
文字盤上 +7
文字盤下 +6
3時上 +7
3時下 +5
3時左 +6
3時右 +6
最大姿勢差: 2
平均日差: +6.2
平均振り角:
水平姿勢 238°
垂直姿勢 220°

評価

ストラップとバックル(最大10pt.) 8pt.
操作性(5pt.) 4pt.
ケース(10pt.) 8pt.
デザイン(15pt.) 14pt.
視認性(5pt.) 4pt.
装着性(10pt.) 8pt.
ムーブメント(20pt.) 18pt.
精度安定性(10pt.) 8pt.
コストパフォーマンス(15pt.) 12pt.
合計 84pt.

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